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第69話 逆異世界転移

新章です!!

そしてこの話から暫くエル達はお休みします

ここはデスゲームが起こったプレイヤー達の元の世界である現代世界。デスゲームの騒動は衰えることを知らずに世間を賑わかせていた。

時刻は昼過ぎ、昼食を終えた生徒たちが午後の授業を受けていた。教壇に立ち生徒に教えている教師、真面目に授業を受けている生徒、携帯をいじっている生徒、友人と会話をしている生徒、寝ている生徒が一つの教室にいた。デスゲームで帰らない人がいたが、今は何もない平和な日常だった。問題はあるが大きな争いのない世界で坂本シュウは教室の窓からぼんやりと空を眺めていた。授業が終わり、それぞれが帰宅の準備をしてカバンを持ち教室を出ると一人で帰路に就く。そんなつまらない日常を送っていた。

毎日毎日同じことの繰り返し、朝起きて、家を出て、登校して、授業を受けて、帰宅してからバイトに行き、家に帰り、寝る。毎日同じ行動をして一日を終える。唯一違うのが休日の二日間だけである。その他は機械のように予定通りに動き、生活をしていた。この日もいつもと同じ一日を過ごしていた。



「坂本」

「…………」

「今日、私と日直」

「わかった」



一人の女子生徒に声をかけられ、仕事に取り掛かる。クラスの簡単な雑務、これを同じクラスの男女で行うのだが、一つ問題があった。



「泉!何してるの?」

「日直……今日私だから」

「え~真面目

そんなの坂本に全部任せればいいじゃん!」

「でも……」

「気にするな、あとはやっておく」

「そう…」



大抵、シュウと同じ当番になった女子はこうして友人たちに連れていかれてしまう。だがこれは問題でなかった。



「相変わらず怖っ……」

「何考えてるかわからないって言うかね」

「人殺してるように見えるもんね~」

「泉、大丈夫だった?」



この陰口が問題だった。女子たちがシュウに向けられた悪口に数々が耳に入ってくるのだ。これは彼女たちが大きな声で話しているのではなく、シュウの耳が普通の人よりも良いだけでありこれが煩わしいと思っていた。



「確か坂本って松井君と柳瀬さんと幼馴染なんだよね」

「えー!!そうなの?あの二人って付き合ってるよね?

まさか坂本とあのカップルが幼馴染なんてね~」

「でも坂本とあの二人が一緒にいるところは見たことないよ?」

「あれじゃない?スクールカースト上位の二人と比べられるのが嫌で自分から離れたとか」

「いやいや考えられる理由はそれじゃないでしょ」

「もしかして柳瀬さんのこと好きだったんじゃ…」

「あー、幼馴染に好きだった人を取られて一緒にいるのがつらくなったんじゃない」

「「「ありえるーー!!」」」



そんな女子たちの会話が嫌でも耳に入って来ていた。しかし陰口をどうこう言うつもりはなく、聞こえても知らないふりをするだけだった。そして女子たちが言うように、幼馴染の二人が付き合っているのは知っていた。二人は隠しているが、シュウは二人の態度を見て察していた。二人が付き合おうがシュウにはどうでもよかった。だから何も言わずに離れた。その次の日からシュウは一人で過ごしていると変なうわさが飛び交うようになったのだ。一人を除いた陰口はしばらく続き、夕暮れ時に日直の仕事を終えたシュウは一人帰路に着く。この日はバイトが休みであり、アパートで独り暮らしをしているシュウは家に帰ってからはゆっくりと体を休めた。その夜、シュウは夢を見ていた。



(懐かしいな)



そこはこの世界みたいな文明が栄えたところではなく、世界最極寒の地。その場所にある国で暮らしている夢。世界最極寒の地にある国など現実的にはありえないことなのだが、シュウはこの夢を見て懐かしく感じていた。自分の生まれ故郷を見ているそんな感じになり、自然と枕に一滴の涙が零れ落ちる。これはシュウの記憶が夢となって頭の中で映し出されたものである。シュウはこの世界で生まれたのではない、別の世界の住民だった。それが何故、この世界に居るのかは勇者召喚が関係していた。

向こうの世界、エル達のいる世界では勇者を別の世界から召喚するのだが、勇者を召喚をした時、別の場所で関係のない人が勇者として召喚された人の世界に転移することがあった。逆異世界転移、向こうの世界で勇者を召喚すれば誰かがこちらの世界に移される。これはまだ誰も知り得ていないことだった。シュウも勇者召喚時に起こった被害者である。シュウは幼少期にこの世界に転移させられ、家もなく親もいないシュウは警察に保護された後に施設で育った。よく施設を抜け出していたシュウは公園で同じ年齢である二人と知り合い、よく遊んでいたのだ。この時、シュウは何の違和感もなくこの世界の住人として溶け込み、生活していた。周りと違うと言われるとすれば寒さに強いということだけで、元気な子供と思われるだけだった。過去を思い出し早朝になり目を覚ますと、いつも通りの生活を送る。

何も変わらないいつも通りの日常…の筈だった。

何故か次の日からシュウは不良グループに絡まれることになる。理由はくだらないことだった。暗い奴、邪魔、目つきが気に入らない、そんな理由でシュウはいじめの対象となった。その日からシュウに近づく人はいなくなった。幼馴染二人はシュウが自分から離れていったので見て見ぬふりをする。仲良くしていた友人たちも自分が対象にならないように無関係を装う。シュウに告白して断った女子はいじめ側に回り、シュウの悪口や噓の悪評を流していた。

クラスメイトから無視、暴力をされていたがシュウは抵抗することはなかった。その様子を見て笑う者や異常だという人がいる中でたった一人だけシュウを味方する者がいた。校舎裏で不良グループに暴力を振るわれ倒れているとサイドポニーテールの髪形をした少女がシュウの元へやってくる。



「坂本…大丈夫?」

「朝比奈…問題ない」

「今の坂本を見て大丈夫という人はいない」

「いや、そうでもない…皆、無視しているからな

朝比奈…俺と関わるといずれお前もこうなる

だから俺と関わるな」

「そういうわけにはいかない

困っている人がいるなら誰であろうと手を差し伸べるべき…

私のおじいちゃんの教え」

「………フッ、そうか」

「うん、そう

だから私は坂本が何て言おうと関わる

これが正しいことだと思っているから

本当なら坂本をいじめている人たちに止めるように言うのが本当にするべきこと

でも私は力不足でみんなに言っても効果がない」

「気持ちだけで十分だ」

「ごめん」



彼女は倒れているシュウの治療を続ける。友人に関わらないように言われても、変な噂が立っても彼女はシュウを治療する。正しいことが何なのかを自分の目で見て考えた結果、クラスメイトの行いが間違いでありいじめられているシュウは間違ったことをしていないと考えた。いじめの理由に彼女、朝比奈泉が関わっていることは知らなかった。シュウを治療している朝比奈泉はミステリアスな雰囲気で大人の魅力が溢れ出ておりクラスでは人気の存在だった。しかし彼女に告白する人は過去に一人もいない。誰も手は出さないようにというオン目のルールが存在しており、多くの男子が陰で見守っていた。男子のこの行動は女子も承知していた。そして朝比奈泉の知らないところで隠れファンクラブが創設されたいた。そんな人気の朝比奈泉がシュウと仲良く話していた。そんなことでいじめが行われるようになったのだ。



「もう大丈夫だ」

「ん、平気?」

「お陰様で」

「一応、病院行った方がいい」

「わかった」

「……じゃあ」



朝比奈泉が離れていくと、シュウは首の関節を鳴らしながら立ち上がると何もなかったかのように普通に歩いて帰って行った。

まだまだ続きますよぉ!!


人物紹介した方がいいのか?

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