第58話 シウラは疲れている
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次話更新までそんなに時間はかからないと思います
本日私の誕生日です
「発言のある方は遠慮なくお申し下さい
その為の会合です」
エルフの王シウラの主導による種族会合が再開されると、先程まで意見を言い合っていた人間の王達の口は重く開かなかなくなっていた。この時シウラは決して威圧的になり周囲を黙らせているわけではない。しかし人間の王達はシウラにきぃう不振を抱き、強く出ることはできなかった。過去に人間の王が下らない理由でエルフの王の怒りを買い、一国が滅んだという事がありエルフの王の怒りを人間の王達は買わないようにしているのだ。その国を滅ぼしたエルフというのもシウラだったりする。
「それじゃあ俺から…近頃、鬼人国の周辺で魔物が活発に動き出しているのだが
調査したところコレといった原因がつかめなくてな
他の国でも同じようなことはないか?」
(鬼人国の周辺……古代龍の封印場所が確かあのあたりだったな)
「それは私のところにはそのような報告はありませんね」
「ワシのところもないぞ」
「同じく」
「では他に何かありますか?」
「噂程度のことだが、彼の者が何やら動き始めているということを耳にした」
「ほぅ…彼の者が
目的は何だね?」
「そこまではわからない
だが彼の者が動けば王である俺たちの耳に入る
それがないとなると……」
「………本格的に動き出しましたか
しかし噂程度ならば彼の者が玉座から立ち上がるということではないですね
今のところ問題はないでしょう」
「様子見じゃな」
これは言わば近況報告に近かった。周辺の変化や国同士の戦争について報告されていた。世界に精略図が変われば種族会合の度に報告され、同じ種族同士の争いが広がりその争いの相手の矛先が別の種族にまでいかないようにするためのものだった。これは主に人間の王からの報告だけであり、他の種族は同じ種族同士の争いは起きていなかった。
そしてその後の彼の者に関する会話が行われ、それを理解できた王は極僅かであり、その中に人間の王はいない。彼の者が誰の事を指しているのかさえ分からずにいた。そして理解していない一人に入っているヤマトがマスク越しに小声でエルへ聞く。それをセンとミカルが聞き耳を立てる。
「なぁエル、彼の者って誰だ?」
「亜人の王」
「亜人の王?それが何で彼の者なんだ?」
「種族の頂点と言われる人狐の長、人狐族は他の種族と違って魔力を使う魔法とは別に神力というのがある
これは人狐族だけが使えるもので文字通り神の力を使う、とは言っても予知とかそういうレベルだ
でも神の力を使えるということで何故か恐れ多いという理由で彼の者と呼ぶようになったんだ」
「人狐って獣王の支配下じゃないのか?」
「獣王の治める国とは別だ
人狐族は獣人と同じに見えるが違う種族だ」
「へぇー…アーシはてっきり天翼族が種族の頂点かと思った」
「天翼族は魔族と同じ部類だ
違うところは住むところが違うだけで、天翼族は地上に干渉しない
他は翼の生えた人間と変わらない」
「良く知ってるなぁー」
「まぁな」
知らない単語が出てくるたびにエル先生による解説が行われ、そして解説が終わったところで種族会合も終わりに近づいていた。ある問題を残して
「これで終わりですか?それでは注意を払い解散ということで」
「ちょっと待ってほしい」
「はい?」
「……その勇者の件についてなのだが」
「勇者……ですか?」
「勇者が行方不明になっている件なのだが
魔王を倒しに向かった勇者が何人も消えているのだ」
「
新たな勇者を召喚し…」
「それについては問題ありません」
「へ?」
「ですから勇者を召喚する必要はありませんし、信託によって選ばれても魔王を倒すようにする必要もありません
魔王を倒さずとも世界は平和ですからね
別の世界からわざわざ召喚する必要はありません
魔王が国境を越えて攻めてくるということもありませんし…そもそも勇者がいなくともこの世界は問題ありません」
「しっしかし…」
「魔王を倒さなければならないというのはあなた方人間が勝手に作り出した幻想です
過去に魔王が大軍を引き連れて攻めてきたことは一度もないのですから
魔王を倒さずともこの世界は平和です
なので勇者召喚の許可は出しません」
シウラの意見に反論をする者はいなかった。反論できるわけがなかったと言った方が正しいのかもしれない。勇者召喚を急ぎ魔王を倒そうとしている人間の王達へシウラは勇者がこの世界に必要のない理由を次々と述べ人間の王達を黙らせる。実際この世界には勇者は必要なかった。この世界は一般的なファンタジーとは違い魔王は倒される存在ではなく、何度も説明をしているが魔王はこの世界を守っているのだ。しかし人間たちは魔王は倒されるべき存在であるという考えが定着しており、魔王は悪であると勝手に決めつける人間にエル、シウラは心底呆れていた。
「はぁ…勇者何ていてもいなくても同じ、存在しているだけで活躍しなくとも周りから支援してもらえる穀潰しです
対して実力もないくせに言うことだけは一人前で困ります」
(……疲れてるのか?)
『シウラちゃんが毒を吐くなんて珍しいね』
正直シウラは人間の王達に対して頭に来ていた。何度も何度も勇者の必要性を感じないことを言い、勇者召喚の許可を出さずにいたら無断で各国は勇者を召喚していることを知るたびに殺意が湧き上がりストレスが溜まっていくのだ。言うことを聞かない、言われたことを守らない、子供でもできるようなことを国を治める身である王ができない。その度にシウラはこの会合は意味がないのではないかと思っていた。こうしたことを考えていると、ふと勇者に対する悪口が出たのは無意識である。
するとこの後にバカみたいに大声をあげて登場をしてきた者が部屋の中へ入ってきた。
「ちょっと聞き捨てならないなぁ!!」
「? どなたですか?」
「シウラ…疲れているのはわかるが「面倒なのが来た」みたいな顔をしない」
「失礼…顔に出てましたか
それで?貴方はどなたですか?」
「俺か?俺は勇者だ」
「……勇者が一体何の用で?」
現れたのは勇者であった。存在していても大して役に立たない勇者が種族会合に乗り込んできたのだ。この勇者に対して普段のシウラならば表情を変えずにいるところだが、疲れ切っていたシウラはポーカーフェイスが崩れ、嫌そうな顔、生理的に受け付けないという顔を向けていた。
「これから世界を救うべく魔王を倒しに向かうところですが、ここで種族の王が集まっていると聞いたもので挨拶をと」
「はぁ?」
「シウラ、行儀悪いぞ」
『限界に近いのかな?』
「勇者は必要ないと聞こえたもので」
「事実ですからね」
「ですが、俺は勇者です魔王を倒し世界を救うことは指名なのです」
「だからそれは必要ないと」
「魔王を倒してこその勇者であり、俺が勇者に選ばれた時から運命は決まっているのだ
そして俺は既に結婚を約束して妻に迎える女性がいながらもう一人妻に迎えたい女性が現れてしまった」
「話を聞かないな…コイツ」
「嫌いなタイプだ」
「気持ち悪い」
この勇者を見て思ったことは気持ち悪いの一言だった。一方的に話し、人の話を聞かない
勇者にヤマト、ミカルの二人は嫌悪を抱いていた。仮面を着けているお陰で顔を見られずに済んでいるが、シウラが勇者の被害にあっていた。二人に対しエルは何故召喚、若しくは選ばれた勇者は皆女たらしなのだろうと疑問を抱いていた。後はセンが先ほどから静かであることが気になっていた。
「魔王を倒し世界に平和が訪れた暁には俺の第二の妻になってもらいますか?」
「……何を仰っているのかわかりませんね
私は貴方の戯言を聞くほど暇ではないのでお引き取りを」
(机の下で握っている拳をどうするつもりなんだろう)
「魔王を倒した勇者と結ばれるなんてこんなチャンス………ん?どうしたんだい?」
「………やっぱり」
「「「「?」」」」
勇者から求婚を迫られているシウラの怒りが頂点に達しようとしたとき、勇者の後方から視線を向けられていることに気づく。だがそれはエルに向けられたものではなく、求婚を申し込まれているシウラでも、その後ろで待機をしているミカルでもヤマトでもなかった。視線を向けているものは勇者の後ろにいる賢者らしき女性だった。シウラと比べれば劣るが賢者も美人といっても過言ではない。他にも勇者一行に中に女性がいるが、勇者のそばにいることから彼女が勇者の妻になるのだと察した。すると視線を向けていた勇者の後ろに控えている賢者がエル達の元へ歩み寄るとセンの前で止まった。そして
「…………久しぶりセン」
「…………」
何やら訳ありの再会のようだ。
まだまだ続きますよぉ!!




