第55話 不気味な笑顔
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お久しぶりです。久々の更新でふざけんなという方が多いと思います
それでも更新を待ってくださっている方は本当に申し訳ないです
話の流れはある程度決まったので頑張って書いていきます
[金色の兎]のリーダーは背中に装備している剣を抜くとそのままエルへ振るい、両手でエルの背後から右斜め上から剣を振り下ろそうとしていた。この[金色の兎]のリーダーの行動にシウラは我慢できずに飛び出してしまいそうになると、エルが首を横に振り止める。
シウラは[金色の兎]のリーダーを睨む下唇を少量の血が流れるくらい強く噛み、悔しさをにじませ座る。このエルとシウラのやり取りが行われたのは一瞬であり見えたものは他の冒険者を除きヤマトしかいない、それは今では当然とも思えることだった。
そしてエルが右手の二本の指で背後から迫る剣に触れると
「〈重量増加〉」
「きゃっ!!」
[金色の兎]のリーダーは体が地面に吸い寄せられているかのように両手が地面につき、剣がエルに当たる前に[金色の兎]のリーダーは横で倒れこむ。この出来事に他の冒険者や[金色の兎]のメンバーは一瞬のことで何が起きたのかわからず混乱していた。それは[金色の兎]のリーダーも同じであるが、何が起こったのかはわかっていた。自分の剣の重さが急激の増し、あまりの重さに自分の力では耐え切れず剣を持ったまま地面に倒れたのだ。何故こうなったのか理解はできたが、何で急激に剣が重くなったのかは理解できていなかった。混乱した状態のまま[金色の兎]のリーダーは見上げ、エルを見ると欠伸をして腕を組みなおしていた。そして騎士の格好をした女がエルの横で四つん這いになっているところを登録が完了して戻って来たミカルが目撃した。
「何しているの?」
「……おかえり遅かったな」
「受付で細かい説明を聞いていたからかしら
それにしても冒険者ギルドって意外としっかりしているのね
ちょっと驚いちゃった」
「そうかい」
「センはもう少し時間がかかるみたい」
「わかった」
「それで?この状況は……何?」
「俺は何も悪くないぞ」
ミカルは周囲を見渡し冒険者たちの視線が[金色の兎]のリーダーに注がれ、驚いた表情をしている。これでミカルは大体を察した…というかシウラの表情を見てエルが確実に絡んでいることを察した。シウラの[金色の兎]のリーダーに向けられた汚物を見るような視線がここで何があったのかを教えてくれたようなものであり、エルのこととなるとシウラは感情に任せて行動を起こしてしまうことは、頭を悩ませる問題である。ミカルは前々からシウラのエルに依存し過ぎている理由がわからなかった。
確かにエルは顔が良いことはミカルも認めているが、エルの二人の姉やシウラが依存する理由にはならない。ミカルが疑ったのはエルが〈魅了〉スキルを使っているということである。ミカルの姉、セイラ第一王女の求婚事件と女好きのヤマトのおかしな行動を引き起こしたのがエルの〈魅了〉スキルを使っているからであるとミカルの中には今根拠のない自信があった。どうでもいいことの気づき、考えているうちにミカルは段々と全然関係のないことを考え、考えるべき問題から脱線していることに気づいていなかった。
そして無意識にエルを凝視していた。
(あのお姉ちゃ…姉上が一目見た瞬間にエルに求婚を申し込んだくらいだから〈魅了〉を使っていても……)
「…………何だよ」
「! ううん少し考え事をしていただけだよ!
エルの横で四つん這いになっているこの人に聞いた方が早いかなと考えていただけで、別に変なことは考えていないよ!」←(めちゃくちゃ考えていた)
「? 何を慌てているんだ?」
「とにかく!詳しいことを聞かせてくれる?」
ミカルは強引に話を戻し、[金色の兎]のリーダーの横に行ってしゃがみ話を聞く事にした。決して話を逸らしたのではなく、この問題を解決するために取った行動であると余りにも苦し紛れのミカルの行動だった。
「何であなたはエルを襲うようなことをしたの?」
「…………」
「うーん……話を聞かないとコイツをぶっ飛ばせないんだけどな~」
「は?俺ぶっ飛ばされるの!?」
エルにとってミカルが[金色の兎]のリーダーへ向けているものは恐ろしいものだった。質問をしているその顔は人々を魅了する笑顔だが、エルにはミカルの笑顔が不気味に感じて仕方がなかった。
そして[金色の兎]のリーダーの口が開く。
「……彼はアイヘス王国に位置するノルミ公爵領の勇者に重傷を負わせたと言っていたの」
「ん?」
「人類の希望となる勇者に重傷を負わせるなど一番やってはいけないことを彼はやったと言ったのよ!!彼は人類の希望である勇者を…」
「勇者勇者って……この国は冒険者まで毒されているな」
大きな口を開けて欠伸をしながらエルは小声でボソッと本音が出た。その一言はすぐ近くにいる[金色の兎]のリーダーの耳に当然届いておりいる。問題を起こした張本人がまた新たな問題を作ったことにエル自身は気づいておらず、シウラとヤマトは視線を逸らした。ミカルはエルが話し始めると同時に[金色の兎]のリーダーから離れ席へ座る。
実際、この国は勇者を信仰しすぎているのだ。国を治める王も貴族も国民も冒険者も、勇者が世界を救う存在であり最強であると信じていた。勇者が第一に、次に王、貴族という並びであった。魔王を倒す存在、それが勇者である。しかしこの世界に居るものは知らないのだ。今勇者が行おうとしていることは世界を破滅に導いていることを…
六人のうちの一人でも魔王を倒せば結界が破壊されゼロの世界入口が開きゼロの世界に生息する魔物がこの世界へなだれ込んでくる。それを知るものはこの世界には魔王の他に数人程度しか知らない。
「今何て……」
「人類の希望?違うな
勇者は世界を破滅に導く存在だよ
なのにどの国も勇者が世界を救ってくれるとか魔王を倒してこその勇者だとかバカの一つ覚えみたいに」
「勇者が破滅に導くって…あなたちょっと顔が良いからってそんなでたらめが通用するわけがないでしょ!!」
「? 顔が良い?誰のこと言ってんだ?」
(お前だよ!!)(あんたよ!!)
「事実なんだけどな…
うーん…なら過去に魔王を討伐しに行った勇者はその後どうなったか知っているのか?」
「え?」
勇者に選ばれた者、そして別の世界からこの世界へ召喚された勇者が魔王を討伐しに向かった後どうなったか、答えは簡単である。勇者一行は魔王に挑む前に倒されていたからである。それは過去にも魔王の元までたどり着いた勇者一行は存在していないのだ。魔王を倒せばその先で待っているのは破滅であり平和ではない。しかしそのことを知らない勇者は魔王を倒す使命があり魔王を倒そうとする。そんな勇者の行く手を阻む存在それはミヨコ、サクヤの二人だった。
しかし二人は最初、魔王を倒そうとする勇者に真実の話をして勇者を諭し引き返すよう促していたが、大抵の勇者は暑苦しい正義感を向け、中には口説こうとしてくる勇者がおり、それに二人がブチギレ、勇者をボコボコにして強制送還していた。そして勇者一行の魔力や加護、スキルを発動できなくさせ、今では村人と変わらない扱いを受けている。この事を教えるかエルは悩んでいた。
「いや……やっぱ知らない方が良いか」
「?」
しかし今教えたところで勇者一行の歩みが止まることはなく、無意味であることを悟る。勇者があの二人にボコボコにされてもエルには関係ない。痛い目を見て公開すればいいと思っていた。そしてセンが登録を終えて戻ってきた。
「悪い待たせた」
「おう…やっと終わったか」
「思ったより長引いてな……こっちは何かあったのか?」
「見ての通りだ」
「……またエルが問題を起こしたか」
「正解」
「正解じゃねぇだろヤマト」
「はぁ…やれやれ」
この状況を見たセンは大体を察して[金色の兎]のリーダーの元へ歩み寄り、剣に触れ〈重量増加〉を解く。それと同時にエル達は席から立ち上がり出口へと向かっていく。
「すまない
仲間が迷惑をかけた」
「いっ…いえ」
エルがかけた魔法を解き、謝罪をしてその場を離れる。これで終わるはずだった。
センが〈重量増加〉を解き、立ち上がろうとすると[金色の兎]のリーダーはセンの顔を覗き込む。そして……
「えっ……賢者様?」
[金色の兎]のリーダーはセンの顔を見て目を大きく見開き驚く。センは一度[金色の兎]のリーダーに視線を向け、[金色の兎]のリーダーへ一言放ち、その場を後にした。
(賢者?)
「………人違いだ」
自分から見てこの話は「ん?」という感じで近いうちに修正すると思います




