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第54話 ただの飾り

【祝】11000pv!!!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°【祝】12000pv!!!

ありがとうございます!そして更新が遅れてすみません。

体調を崩して続きを書くことができずにいました

森を抜けるとそこにあったのは街ではなく国があった。

ケンブリア王国、この国には協会が建設され、国王の前で勇者を召喚して、勇者と共に魔王を討伐に同行させる神官を育て、また近くには魔術学校もあり、賢者となるものを育てていた。

この国は勇者一行を育てることに特化した国であった。

魔王を討伐すれば世界が平和になると間違った知識を持っている国々の一つである。

そんな国へエルが大人しく検問を受ける筈もなく。



「……さてと」

「待ちなさい」



いつも通り検問を受けずに中へ入ろうとしたところでミカルに肩を掴まれて止められる。

ミカルの言いたいことは手に取るようにわかる。

「王族である私が不正入国何てできる筈がないでしょう」と言おうとしているのはミカルの表情を見れば誰でもわかることであり、顔に書いてあった。

しかしそんな顔をしたところでエルが素直に検問を受けるわけがない、それはミカルも重々承知である。



「この手は何かな?」

「ちゃんと検問を受けなさいよ」

「………あー…嫌だ」

「あっ!!」



エルは肩を掴む手の力が一瞬緩んだ隙を狙いミカルから逃れると検問をすり抜けて中へと入り、その後にシウラとヤマトが続いていった。

センとミカルは溜息をつき、しっかりと検問を受けてから中へと入っていった。

センとミカルが検問を受けている間に、ヤマトは目に映った女性次々とをナンパして、ミカルはエルフの奴隷がいないか探し、エルは食べ歩きをしていた。

センが呆れた顔をセンとヤマトに抜けたことは言うまでもなく、ミカルはエルとヤマトに説教をしていた。

そしてシウラが戻って来たところで説教は一旦止まり、エル達が集まり最初に冒険者ギルドへ向かった



「まったくもう!何であんたたちはいつもそうなの!!」

「そんなに怒ることか?検問何て受けようが受けまいが迷惑をかけるわけでもないだろ」

「アタシに迷惑をかけてるのよ!!

アタシ王女よ?検問を受けないで入国したなんて各国に知れ渡っちゃうの!!」

「あぁ…そう言えばお前王女だったな」

「そうだっけ?忘れちゃってたな~」

「あーーーーーーーー!!!腹立つ!!!」

「ハハハッ」

「フン!」

「イテェ!なんで俺だけ!?」



歩きながらミカルの小言が続くと、ミカルを小馬鹿にして笑ったエルの足に蹴りを入れて小言は終わった。

冒険者ギルドに到着すると扉を開け中に入る。



「で?何で冒険者ギルドに行くの?」

「お前ら登録してないだろ?だからだよ」

「必要ないわよ」

「いや、そう言ってられない」

「え?」

「冒険者登録をしていれば身分証にもなる

王女であるお前には必要なものだ」

「そういう事」

「? ……あぁ、身分を隠せって事?

それなら仕方がないわね」



そしてミカルとセンは登録をしに受付へと向かった。

学生であったセン、王女であるミカルの二人は身分証を持っておらず、他の国へ入国するのに一回一回検問を受けなければならなかった。

学生証を持っていてもそれはアイヘス王国内では身分証として有効であるが、他国で学生証を見せてもそれは身分証とはならない。

だが冒険者であることを証明するギルドカードは世界共通の身分証となるのだ。

冒険者登録をすることでスムーズに各国へ入国出来るという利点がギルドカードにはあるが、登録時エルはそこまで考えていなかった。

センとミカルが登録をしている間、エル、シウラ、ヤマトは円卓に腰を掛け二人を待つ。



「お前冒険者登録してたん?」

「あぁ…登録してから依頼は一つもやってないからランクはGのままだけどな」

「アーシも一応登録しているが、知らないうちにBまで上がってたな」

「ほぉ、お前Bなの?」

「何でかは知らねぇが誇らしく思うことでもない

何でレベル低い奴がと思われているらしく、周りからは認められていないが…

因みにアーシの胸はDだぞ♡」

「俺がいつお前の胸のサイズなんて聞いたんだ」

「知っておいて損はないだろ?」

「心底どうでもいい情報だよ」

「お二方…わたくしの側で胸の話はやめてもらいますか?」

「「…………」」



ヤマトは医者という立場であるが薬草を採取したり自主的に疫病が流行っていないか調査をするために国外への外出が多く、冒険者登録をしていればギルドカードを見せれば簡単に外へ行くのに便利であったため登録をしていた。

そして適当に依頼をこなしていたらランクBになっていた。

しかしランクBであればそこそこ冒険者に間で名が知れるが、ヤマトの名前は世間に出回っていない。

ギルドが認めても他の冒険者からは認められていない、楽な依頼をこなしてランクBになったのだと思われているのだ。

疑惑の視線を向けられてもヤマトは気にも留めず、暇なときはナンパを繰り返していた。

そんな姿を見られれば疑われるのも当然であり、戦う者にとってレベルは高ければ高いほど強者である証であり全ての世界である。



「まぁ…レベルレベルと周りが言っているが…

俺たち[和名持ち《ネームド》]にはただの飾りみたいなものだけどな」

「およ?そうなん?」

「自身が[和名持ち《ネームド》]であると判明した時から全ての能力が振り切っている

レベルが上がったところで得るものなんて殆ど無い

[和名持ち《ネームド》]は成長していくにつれ力が解放されていく

他と違うところは[和名持ち《ネームド》]には限界の底がないというところだ

わかりやすく例えると…ヤマトはまだ会ったことがないか」

「お前の姉さんか?話は聞いてる」

「なら話は早くて助かる

あの人らのレベルは999…[和名持ち《ネームド》]ではないが同じようなものだ

レベルは頂点に達しているがあの人らはまだ成長している」

「999!!?」

「上限がなければその上」

「……マジでバケモンだな」

「本人たちの前で言うなよ?面倒だから」



人類で確認されている最高値のレベルは初代勇者の163が最高だった。

レベルが100を超える存在は大体が勇者と関係のある賢者や戦士、神官のパーティーメンバーが主であり中にはエルフが勇者一行に同行している時もあり、勇者や共にしている者たちのレベルは100を超えてはいたが、魔王を討伐できた勇者は初代のみであった。

その初代勇者が倒した魔王だが、魔王と呼ぶには脆弱すぎる存在であった。

たった一度の勝利に人類は調子に乗り人間はこの世界の支配者であるかのような態度をとった。

勇者という存在が表に出てから、エルフ、ドワーフ、獣人などの亜人種は人間相手に強く出ることはできなくなったのだ。

勇者は魔王を倒す存在という言葉が定着したためこの世界で一番強い存在は勇者であると間違った知識を持っており、この世界の者は[最強]という化物を知らなかった。

知識の少ない人類は[和名持ち《ネームド》]の存在のことも詳しく知らず、憶測で述べたことが世に広まった。

[和名持ち《ネームド》]にとってレベルとは飾りである、実際にエルのギルドカードに表記されているレベルは845だが、他者が〈鑑定〉スキルでエルの能力を見ても常人ではレベルの差がありすぎて能力が見えず、もし見えたとしても実力とレベルが釣り合っていない結果が出る。

だが今の状態のエルは〈鑑定阻害〉スキルを使い能力を他者に見えないようにしており、そもそもエルにはレベルに関心がないので他者からレベルを聞かれても大体で答えていた。

なので大した問題にはならなかった。

そんな少しためになる話をしていると、ギルドの扉が開き依頼を終えて帰ってきた五人組の冒険者パーティーが帰還した。



「おぉ…[金色の兎]が帰って来た」

「さすがAランク冒険者パーティー…もう依頼を終えて帰って来たのか」



Aランク冒険者パーティー[金色の兎]

女二人、男三人の五人編成のパーティーである。

[金色の兎]のリーダーは金髪を靡かせ銀の鎧を装着している騎士のような女だった。

その他に盾を装備している重戦車、斥候を行う盗賊、魔法に長けた賢者、そして女のエルフのパーティーであり、この[金色の兎]のリーダーは注目を集めることを好むらしく、受付までドヤ顔で進み、女のリーダーは一人一人の冒険者の顔を見て反応を楽しんでいた。

だが強者との戦いを好むエルは、[金色の兎]をチラッと見ただけで視線をすぐに戻した。

エルには[金色の兎]という冒険者パーティーには興味を示さなかった。



「Aランクはエルのお眼鏡には叶わなかったかい?」

「そうだな…前にぶちのめした勇者よりかは強いが……実力は大差ないからな」

「今何て言った?」

「え?」



ノルミ公爵での一件はその日のうちに各国に知れ渡っていた。

名も知らぬ冒険者が勇者に暴行を与え重傷を負わせたことは前代未聞であり勇者一行を育てるこの国ではあってはならないことだった。

勿論そのことをヤマトは知っていた。

だからエルの言ったことに耳を疑った。

エルの言ったことが真実であれば勇者傷つけたエルはこの国は敵になる。

そうなったらどうなるか、考えなくてもその答えはわかっていた。



「そこのあなた……今言ったこともう一度言ってくれる?」

「…………」



後ろから殺気をエルに向かって放つ者がいた。

[金色の兎]のリーダーである。

このリーダーの行動にメンバー、他の冒険者、ギルド職員はこの行動が予想外のことであったのか驚いたような顔をしていた。

そしてリーダーの手は剣に触れており、いつでも抜刀できる状態となっていた。

その[金色の兎]のリーダーの行動にヤマトとシウラは動こうとはしなかった。

今動けば巻き添えになる可能性があったからである。

エルはゆっくりと組んでいた腕を解く、そして静寂の中でテーブルに置かれたコップが倒れスローモーションで水滴が床に落ちると、次の瞬間[金色の兎]のリーダーが動いた。

遅れを取り戻せるように頑張って書きます

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