表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/76

第50話 観音菩薩

【祝】7000pv!!°˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖°

ありがとうございます!!

だが前書きで書けるのはこれだけ!

めちゃくちゃ頑張って書いた!!

第二十七階層、階層主部屋

エル達の目の前にいるのは、第百階層階層主[観音菩薩]。

この魔物を倒せばデスゲームと化した仮想オンラインゲーム【アースガルズ】を終結させることができる唯一の方法である。

しかし現実世界に帰還できる方法を目の前にしているのはプレイヤーではなく、現実世界とは全く関係のない別世界から来た、エル、シウラ、セン、ミカル、ヤマトの五人であった。

だが攻略をしてもしなくともどちらでも良いエル達は、プレイヤーたちのために階層主の前へ立っていた。



「……行くぞ」

「はい」

「えぇ」

「「おぅ」」



エルは[龍牙]を抜き、シウラは体に風を纏い、センは錫杖を取り出し魔法を展開、ミカルは[渦雷飛龍]を発動、ヤマトは両腕に魔力を集中させた。

そしてヤマトが先手を打つ。



「〈大地の束縛〉」



両手を地面につけ、地中から樹の根が観音菩薩に向かって伸びていく。

ヤマトの魔法の発動と同時にセンは三人の支援に回り、観音菩薩の左右からシウラとミカルが攻撃を仕掛ける。

エルは地中から出て来た根を足場にして、正面から攻撃を仕掛けた。

すると観音菩薩の瞑っていた目が少し開いた。

その次の瞬間だった。


……パンッ!

〈浄化〉


「何!!?」

「はぁ!!?」

『マジでぇ!!?』



〈大地の束縛〉が届く前に、観音菩薩が掌を合わせた瞬間、観音菩薩の背に放射光が射すと、〈解呪〉が発動され、〈大地の束縛〉とセンが展開していた魔法が光とともに消えた。

予想外の出来事に攻撃を仕掛けていたエル、シウラ、ミカルは距離をとる。

だが次の瞬間に観音菩薩の背から発せられる光が強まると、距離を取ろうとして後ろに引いたシウラとミカルの前方に金色の魔法陣のようなものが出現した。


〈吸収〉


(風が…)

(嘘!!渦雷飛龍が解けた)



金色の魔法陣が出現すると、シウラとミカルが体に纏っていた風と雷が吸収された。

これにシウラとミカルは一瞬思考が止まり、その一瞬で防御が遅れた。


〈反転〉


(しまっ……)

(うっ……)

「グフッッ!!」

「ガッ!!」



観音菩薩の金色の魔法陣はミカルに風の魔法をシウラには雷の魔法が放たれ、雷魔法で火傷を負ったシウラ、風魔法で体を切り裂かれたミカルは倒れた。

この不測の事態にヤマトは瞬時に二人のもとへ向かい、二人を抱きかかえて階層主の部屋の外へ運び出した。

エルとセンへアイコンタクトをとり、ヤマトは二人の治療に集中するとエルとセンは観音菩薩の意識がヤマトたちに行かないように扉の前へ立つ。

そしてセンは部屋の入口に結界を張り、攻撃が外に漏れないようにした。



(〈浄化〉に〈吸収〉、〈反転〉……

それだけじゃない、吸収した二人の魔力を増大させてやがった

フッ…まるでサクヤさんみたいだな)



観音菩薩が繰り出した魔法は、どれもエルが知っているものだった。

なぜ知っているか、それはどれも魔法のスペシャリストであるサクヤの魔法であったからだ。

サクヤは魔術を極め、魔法が使える人々の中で頂点に君臨するものである。

世界最高峰の賢者も、世界に散らばっている六人の魔王も、サクヤの足元にも及ばない。

そのサクヤと同じ魔法を観音菩薩が使ったのだ。



「……チッ、さすがに一筋縄ではいかないか」



だが同じ魔法が使えるだけで、威力はサクヤほどではない。

絶対に勝てないとプレイヤーならば絶望したであろうが、ここにいるのはプレイヤーではない。

サクヤと同じ魔法が使えるだけのことで、エルの勝てるという自信は揺らぐことはなかった。

それでもエルの仮面で隠れているが、エルの口角が上がっているのがわかった。



『…本当に戦闘狂だねぇ』

「ハハッ!アリス30%」

『はいよ~』



エルは治療を受けている後ろの二人の状態を確認し、アリスの魔力を纏う。

アリスの魔力を纏っている姿を初めて見るセンとヤマトは、身を震わせていた。

左目の瞳が透明になり、髪の一部分、ローブが白に変色すると、エルの魔力が急激に上昇する。

見る者を魅了する神秘的とも言えるその姿にセンとヤマトは笑った。



「ハハハッ!!やべぇな!!」

「あぁ、思わず笑っちまう」



これが同じ[和名持ち《ネームド》]であると思うと笑いが止まらなかった。

自分たちにも女神の魔力を纏っているエルと同じようなことができるとはとても思えなかったからである。

既に女神のミレスが表に出ているヤマトでも、実際にエルの姿を見た時に果たして自分も同じことができるのだろうかと疑った。

センは未だ女神が表に出ていないが、女神が表に出て来ても同じことができるとは思わなかった。

足に力を集中させ地面を蹴り左へ飛び、いつも以上の速度で左右上下の壁に飛び移りながら移動すると、観音菩薩の背後から攻撃を仕掛けた。



(ッ!!?)

(速っ!!)

「〈龍猛連撃・七頭龍〉」



エルが観音菩薩の背後に回り、七つの斬撃が観音菩薩へ完全にとらえたかに見えた。

しかし…


〈悟り〉


「何!!?」

『嘘でしょ!!』



観音菩薩はエルの剣技を最小限の動きで、エルの攻撃を七つの斬撃を全て避けた。

視界の外で動き、完全に不意を突き背後を取られていても気づかずに、観音菩薩へ攻撃を与えたかに思われたが、エルの姿を見ずに高速で繰り出される剣技を観音菩薩は避けた。

すると観音菩薩はエルの背後へと回りエルに手を添える。



『エル!!後ろ!!』

(!!…っまずい!!)



エルは体が空中にある中で、体をねじり体の正面を観音菩薩に向ける。

そして観音菩薩からの攻撃に備え、防御に徹し両手を前にして構えた。


〈波動〉


「グハァッ!!」



観音菩薩の添えられた掌から、衝撃波がエルへ与えられた。

衝撃はエルの体を完全にとらえ、エルの体の内部は激しく揺れた。



(……は…〈波動〉!?

何て技使いやがる!!至近距離じゃ避けようがねぇ…

クソッ…判断を誤った

体勢を立て直……クソ)


〈念陽弾〉


間髪入れずに、観音菩薩は光を凝縮させたエネルギー弾をエルへ放った。

もろに攻撃を受けたエルはそのまま地面へ落下していた。


「チッ…ヤマト!!

シウラとミカルの治癒はまだ終わらないのか!?」

「今急いでやってるんだよ!!だが魔力の伝達器官がやられてんだ!!

傷は癒えてもこれを治さないと魔法が使えねぇんだ!!」

「何だと…」



エルが倒されたと判断したセンはシウラとミカルの容態をヤマトに問う。

しかしシウラたちの容体は今の状況では最悪だった。

観音菩薩に与えられた〈反転〉の魔法には、魔力増大の他に魔力伝達を遮断する魔法が含まれていた。

それにより傷は癒えても、魔力の伝達が遮断され魔力は体内に流れず、魔法によるダメージは体内に残ったままとなっていた。



(……このままだとエルもやばそうだな

……仕方がない、ミレス魔力を寄こせ)

『ヤマト…それはおすすめできませんよ

魔力を共有するのは簡単ではありません

何事もなく使っている彼は異常なのです』

(何が??)

『女神と人とは魔力の濃さ違います

例え[和名持ち《ネームド》]であり体内にどんなに魔力を宿しても、女神の魔力の濃さはあなた方人にとっても毒なのです

もし私たちの魔力を使えたとしても、短時間でしか扱うことはできません

使えば使うほどあなた方の体を蝕むのです』

(ンなことはどうでもいい……)

『え?』

(アーシは医者だぞ?

目の前の患者を、匙を投げずに治すのがアーシの今すべきことなんだヨ!!)

『!……わかりました

ですが三十秒です

それ以上は与えられません』

(充分!!)



ヤマトが白衣を後ろへ脱ぎ捨てた。

そしてミレスの魔力を纏い、シウラとミカルの治療を二十秒で終えた。


ヤマトがミレスの魔力を纏っているころ、観音菩薩に〈波動〉を受けたエルは地面に落下していく中で視界が真っ暗になっていた。

これは前に似たような感覚だった。

視界、聴覚を遮断し、水の中に沈んでいくような心が落ち着く感覚。

実際には体は地面に落ちている途中であるが、エルには時間がゆっくり動いている感覚になっていた。



(……何も見えない、ここどこだ?

前にも来たことあるよな)

『そうだね…何度も…あるね』

(誰だ?)

『今は答えられない…でも忘れないで

私は…貴方を見守っている

だから私は…貴方に力を与える』

(は?)

『残念…もう時間だ…

じゃあね、少しでも会えて良かったよ』

(まっ…)



光が視界を覆うとエルは落下している途中で目を覚ます。

そして空中で姿を消え、センの後ろに立っていた。

その後に時間差で観音菩薩の頭上から足元まで斬撃が入っていた。



「は?」

『何今の動き…』



このエルの動きをセンとアリスですら目で追えなかった。

観音菩薩は〈悟り〉を発動している状態でも避けられないほどの速度で動き、エルは観音菩薩にヒビが入れた。

このエルの変貌にアリスはエルを見る。

すると透明であった左目が翠に変色していることに気がついた。



『エル……その目』

「問題ない…それよりも体が軽くなった感じがする

あぁ…何かしっくりくる」



明らかにエルの雰囲気が変わり、アリスは茫然としていた。

いつもなら強者と戦うときは決まって、決着がつくまで終始笑顔であるエルが、落ち着いている様子にアリスはエルが別人に見えた。

しかしアリスはエルの異変を聞かなかった。

茫然としすぎて聞くことを忘れていたのだ。

そうしているうちに観音菩薩が動き出す。


〈千手観音菩薩〉


「………嘘だろ」


観音菩薩の形が変わり、背に無数の手が出現する。

これにセンは動揺するが、この観音菩薩の変化にエルの動揺はなく、静かに闘志を燃やしていた。

そしてエルは魔力を上昇した。

まるで自然と一体化しているような魔力が部屋中を覆うとエルは[龍牙]の剣先を相手に向けたまま手を下げて、斜めに構えた。



「エル様」

「……おぅ、大丈夫か?」

「はい…ヤマトのお陰で何とか」

「そうか…」

「…………エル様?」



治療を終えたシウラとミカルが戻り、エルのもとへ向かう。

そしてシウラもまたエルの異変に気付いた。

まるで別人のような雰囲気に違和感を覚えはしたものの、直ぐに正面にいる千手観音菩薩に視線を向ける。

ヤマトはミレスの魔力を使い、二人の治療を行った影響で大量に汗を流し、息を切らしていた。

女神の魔力に慣れていないのが原因であり、部屋の外で倒れ天井を見上げていた。

その横でミカルがヤマトに膝枕をしていた。



「ハァ…ハァ…きっついな…これ」

「お疲れ様。

ありがとね、助けてくれて」

「ヒャヒャ…当然

ハァ…ハァ…早く体力を戻して…加勢しにいかねぇと…」

「うん…でも今は急がずに休んで」



体力が底をつきかけている状態のヤマトに、ミカルはゆっくり休むように促す。

ミカルがヤマトを休ませていると、ダンジョンの入り口方面から大多数のプレイヤーの足音が聞こえてきた。

ヤマトが体を起こそうとすると、ミカルがヤマトの耳を抑える。

これにヤマトはミカルへ視線を向けると優しく微笑んできた。

するとヤマトは目を閉じ眠りについた。

ミカルはダンジョン方面からくるプレイヤーに注意をしつつ、エル達の戦況を見守っていた。

この向かってくる人々の中にエルが求婚したプレイヤーがいるとは、エルも予想していなかった。


【アースガルズ】最後の戦いの火蓋が切って落とされる。

次回【デスゲーム編】遂に最終話!!

頑張って書きます!!

新章の内容はまだ決まっていません!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ