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第49話 最後の攻略

ちょっと今回悩みましたが、気づいたら出来上がってました

どうぞお楽しみください

第二十七階層ダンジョン入口前

そこにはエル、シウラ、セン、ミカル、ヤマトの五人が揃い、第二十七階層攻略に乗り出そうとしていた。

だがダンジョンの入口付近には五人の他に三団体のギルドが集まっており、どうやら[神風]、[銀翼の天使]、[月虎]の緊急会議でライム達が去った後に、第二十七階層攻略を行う話が進められ、誰も攻略に反対する者がおらず正式に決まってしまったという。

そのことについて[神風]に所属しているシウラが三団体の代表のもとへ抗議をしに行っていた。

しかし決定は覆らず、予定道理に第二十七階層攻略を行うようであり、怒りをあらわにしながら戻ってくるシウラの表情を見て、四人は察した。



「ダメだったか」

「はい…頭の悪い方たちで本当に困ります」

「まぁいいんじゃないの?

俺たちの邪魔にならなければ」

「そうね、アタシたちの巻き添えにならなければいいんじゃない?」

「巻き添えんなったとしてもアーシが何とかするよ」

「そりゃ助かる」

「………ところでエル」

「ん?」

「そのダサい仮面は何だ?」

「え?ダサい?」

「「「ダサい」」」

「うっそぉ…」



シウラが不満をエル達にぶつけていると、センがエルの仮面について尋ねる。

だがその後の三人からの仮面の不評にエルはショックを受けた。

仮面が完成したとき自身では高評価であったが、仮面をつけると殆どのものが「ダサい」と口にするたびに自分のセンスが悪いことを認めざる得なくなってしまった。



「マジか…ダサいのか」

「わっわたくしはよくお似合いだと思います」

「そ…そうか、ありがとう」

「………それで?その仮面はなんだ」

「あぁ…それは前線から引いたプレイヤーが鍛冶屋を経営している奴が攻略に向かうところを顔見知りに見られたら面倒だと思って、仮面をつけて攻略をしていたんだけどな?

ある事情により仮面を外せなくなった。」

「なんだそれ」

「呪いの仮面だったとか?」

「………そんなところだ」



仮面をつけ始めた最初の目的は、エルの経営している鍛冶屋の常連客にバレないよう変装していたのが理由である。

だが今もなお、セン達の前で仮面をつけ続ける理由は、あの問題があったからだった。

そのことを話すわけにもいかず、詳しいことは伏せて話した。

しかし仮面のことなどセンには興味がなく、話をすぐに切り上げた。



「へぇ…まあいいけど、そろそろ行くか?」

「そうだな」



三団体のギルドが第二十七階層攻略に向かわず、各ギルドの代表たちによる作戦会議が一向に終わらないことに見かね、エル達は最後の攻略を行うために動く。

そしてダンジョン内に入ったエル達はいつもと変わらない様子でダンジョン内にいる魔物を蹂躙していった。

バグが起きていることを頭の隅に置き、ダンジョンを攻略して行くが、階層主の部屋までエルしか動かずバグが起こり難易度が上がっていても、エルにはその差がわからなかった。

だが問題はそれではなかった。



「……ねえ君たち、俺にばっかり働かせすぎじゃないかい?」

「そうか?」

「いやね…お前らも手伝えとか言うつもりじゃないんだが…

俺が魔物を倒している後ろでイチャイチャするのはどうかと思うんだよ」

「あん?なんか文句あんのか?」

「……まぁいいけどさ」



文句はないが気が散る、エルはそう言いたかった。

文句を言ったところで止める選択肢はヤマトにはないからである。

するとエルの不満をぶつけられたヤマトはエルに向かって信じられないことを口にした。



「フッ!いいのかな~?エル、そんなこと言っちゃって」

「あ?」

「アーシ知ってるんだぜ?」

「何を?」

「お前、プレイヤーに求婚したろ」

「何で知ってんだお前―――――――――!!!!!!」

「センから聞いた」

「はぁ!!?」

「あー…偶然目撃してな…本当に偶然だ」



あの問題の現場をセンに目撃されていたのだ。

センが目撃したのは本当に偶然である。

シウラからのメッセージを受けたとき、センはエル達と同じ階層にいたのだ。

この世界の調査が一通り終わり、シウラからのメッセージを受け、転移門へ向かおうとしたときにエルがアイルにビンタをされたところを目撃すると、エルがアイルに求婚したところを見てしまったのだ。

それをヤマトに話した。



「他に誰にも言ってないだろうな」

「あぁヤマトとミカルにしか言ってない」

「フゥー…それならいい」

『何がいいの?』

「っ!!」

『ねぇ…何か気持ちよく寝ていたら、不穏な単語を耳にした気がするのだけど…

何か知らない?』

「……知らない」

『……そう』



センがヤマトとミカルに話したことはたいして問題にはならなかった。

すると突然、エルの背後からかすれた声が聞こえ、エルは一瞬全身の体温が一気に失ったような感覚になった。

アリスが目を覚まし、エルに声をかけたその時、エルの首元に大鎌を突き付けられた錯覚に陥った。

ここで真実をアリスに告げれば何をするかわからないと思ったエルは、真実を伏せた。

しかしここである疑問が浮かび上がった。

それはいつからアリスが起きていたのかという疑問であったが、それはたいして問題にはならなかった。



『なら……エルが誰かに求婚していたのは夢?……』

「求婚?俺が?誰に?

そんなこと俺がするわけがないだろ」

「あ?何言ってんだ

プレイヤーにしたんだろうが」

「おまっ!……」

『…………は?』



エルが求婚していたところを目撃していたが、その時アリスは寝ぼけていてうる覚えであった。故にアリスはあの出来事を夢だと解釈し、エルの首の皮がつながったと安心したところで、こともあろうかヤマトがばらした。

これにシウラ、セン、ミカルは一斉に顔をそらした。



『エル……それ本当?』

「嘘嘘!!嘘に決まってる!!」

『うーん……エルの言うことはできれば疑いたくはないんだけどね……

シウラちゃんに癖が出ているの気づいてる?』

「えっ……」

「?」

「シウラ……」

『後でじっくりと話を聞かせてもらうね』

「………わかった」



これに関してはシウラを咎めることはできなかった。

シウラの癖を直すようには言わなかったエルの落ち度である。

笑顔で説明を求めるアリスの顔を見て、こんなにもアリスの笑顔が怖いと思ったのは今回が初めてであった。

そしてエルの気持ちが乗らないまま、階層主の部屋へたどり着き扉に手をかける。



「これが最後の攻略か…

お前らちゃんと楽しんだか?」

「アーシは問題ない

可愛い子とたくさん知り合えたしな」

「そうね……いろいろあったけど、悪くはなかったわ」

「殆どこの世界の調査で終わったが…楽しめたかと聞かれれば楽しめた」

「問題はありましたが、充実した生活でした」

「フッ…攻略するのが勿体無い……

できればもう少しこの世界に居たかったな」

『そう思うのは勝手だけど、攻略が終わったら話は聞かせてもらうけどね』

「わかってるよ!!!」



最後の攻略、そう思うとこの世界が名残惜しくなる。

この世界に来てから二年半、様々なことがあり当初はプレイヤーとは関わらずにいたのが今では親密になっているプレイヤーが多数いる。

「変化は更なる高みへの一歩」昔サクヤがエルに言ったことを思い出す。

交友関係の変化でも人は知らず知らずに成長していく。

サクヤに言われたとき、エルはその言葉を理解していなかった。

だがシウラ以外の人々と知り合うことでエルの考えが変わってきたのは確かであった。

いろいろ頭を抱えることはあったがエルにとってこの世界での生活は充実したものだった。

この世界でのことを思い返し、エルは階層主のいる扉を開いた。



「!!……ッチ

そう簡単にはいかないか」

『なるほど……アレは強いね』



扉を開き、階層主の姿を直視した瞬間に感じ取った。

エルがここまで戦ってきた階層主とは比べ物にならないくらいのオーラが部屋中を埋め尽くしていたのだ。

本来ならば第二十三階層のエンペラースライムの後である、【アースガルズ】第百階層、階層主と呼ぶに相応しい魔物であった。

そして仮想オンラインゲーム【アースガルズ】での最後の戦いが今始まろうとしていた。


vs第二十七階層及び第百階層、階層主[観音菩薩]

次回バトル満載です!!

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