第46話 壊滅
(*'∇')/゜・:*【祝】*:・゜\('∇'*)
5000pv(๑✪∀✪ノノ゛✧パチパチ
第46話はエルとシウラはお休みして、ミカルとヤマトの話となっています。
第二十六階層で起こった事は、その日のうちに全プレイヤーへ広まった。
中止となった階層主が現れた事や、第九十九階層のエンペラースライムが第二十三階層に現れた事、エルが語った全ての話がプレイヤーを震撼させた。
だがその中でエルの話は一つもなかった。
この日から世界は慌しくなった。
[神風]、[銀翼の天使]、[月虎]の三団体のギルドが集まり第二十七階層の攻略に踏み出そうとしていた。
その他の目的として犯罪ギルド[devils joker]の殲滅の作戦会議も行われていた。
そしてこの会議には[冷血女王]シウラの姿は無いが、ギルドに所属していないライム達は参加していたが…
同時刻、三団体が動く事なく[devils joker]は壊滅していた。
時は遡り四時間前、第十九階層
「ヘーイ!そこの彼女!
可愛いね!アーシとお茶しない?」
いつも通りヤマトが美人プレイヤーを見つけてはナンパをしていた。
周りからの視線など気にせずに自分の好みのプレイヤーを見つけてはナンパを繰り返している。
第十九階層でヤマトは、ちょっとした有名人だった。
ヤマトが美女をお茶に誘っていると、後ろからミカルが息を切らしヤマトの右手を掴んでいた。
「ちょっと…ヤマト
お茶しない?じゃ無いでしょ!」
「…どったの?ミカル
そんなに足ガクガクさせて」
「アンタのせいでしょうが!!!」
二人は第十九階層では有名な百合カップルとして知られている。
彼女らが夜にどれだけ煩くしようと誰も文句は言わない、言ったところで効果がないのがわかっているからである。
それは置いといて、ヤマトはミカルの頭を撫でる。
すると触れただけでミカルは全快していた。
「……相変わらずデタラメな回復魔法」
「褒めても夜までは何も出ないぞ?」
ヤマトはミカルの顎を片手を添え、顔を上へ向けると、大衆の面前にも関わらず、キスをする。
ミカルは顔を真っ赤にしてへたり込むと、ヤマトは唇を舐め不敵な笑みを浮かべる。
「…………」
「なぁにミカル〜
口パクパクさせて〜
そんなに気持ち良かった?」
「あっ……あぅ…」
「………ニヒッ」
不意にヤマトからキスをされ、ミカルは突然の事で言葉が出ずに口だけが動いていた。
それを見たヤマトは両手でミカルの顔を両手で挟み逃がさないようにすると、ミカルの口元へ舌を伸ばす。
「うわぁ…あの二人が有名な…」
「こんな所で堂々と…」
周りからの視線が刺さる中、ミカルの顔は益々赤くなっていった。
だがヤマトは周りに見られようが気にしていなかった。
「やっヤマト?見られ…」
「気にしない気にしない〜」
ミカルは顔を固定され逃げることが出来ずゆっくりとヤマトの舌が迫って来る。
固定しているヤマトの両手を外そうとするもビクともしなかった。
道の真ん中で二人がじゃれあってると、後方から黒のマントと銀の仮面をつけた集団が第十九階層の転移門へと歩いて向かってきた。
「アレって…」
「……嘘だろ、[devils joker]だ」
「ん?オイオイ、見ろよアレ
女同士でキスしようとしてるぞ!」
「ヤマト!……やめて…」
「やだよー、そっちこそ抵抗をやめろ」
黒のマントや銀色の仮面をつけた集団は、[devils joker]であった。
犯罪ギルドが全員が武装して第十九階層を通り抜けようと街中を歩き進めていた。
その様子をプレイヤー達は警戒をしていたが、ヤマトとミカルは行為をやめずにいた。
そして[devils joker]がヤマトとミカルの横を通り過ぎようとした時だった。
「それにしてもあの女は無いわ〜
左目に手術痕が入ってるとか…」
「ちょっ!…」
一人の男の言葉でヤマトの動きが止まった。
男がヤマトの左目の手術痕に悪態をついた瞬間、第十九階層の空気が変わった。
ヤマトはミカルの顔を掴んでいた手をゆっくりと離しす。
その時のヤマトの顔を見たとき、ミカルの顔が青ざめる。
ミカルの顔を見た男達は異変に気付き、ヤマトへ視線を向ける。
すると男達が今まで感じたことのない程の威圧がヤマトから男達へと向けられた。
「あ?」
自身の左目の手術痕へ悪態をつかれ、ヤマトは激怒した。
人間誰しもが触れられたくはないものがある。
ヤマトの場合それが左目の手術痕だった。
回復属性を使い触れただけで対象の傷を完全に治す音ができるが、ヤマトは敢えて傷跡を残していた。
ヤマトが手術痕を残す理由をヤマトの口から語るのはもう少し先の事である。
そしてヤマトが悪態をついた男の方へ視線を向けた瞬間だった。
1秒も満たない程の速度で、悪態をついた男の首を掴み、持ち上げると壁に押し付けた。
このヤマトの動きに、[devils joker]及び周囲にいたプレイヤー達には反応出来た者はいなかった。
「………は?」
「すまない…よく聞き取れなかった
アーシのこの傷が何だって??
もう一度言ってくれるかな」
「うっ…クッ………ググッ……」
「うーん…困ったな
コイツは人の言葉が喋れないらしい
声帯に異常があるのか?
それとも単に言葉を話せないのか」
ヤマトは男の声帯を締め上げた状態で持ち上げ、声を出ないようにしていた。
そして徐々に締める力を強くしていき、男がもがき苦しむ姿を、ただ見ていた。
このヤマトの異常な行動に[devils joker]の者達は硬直していた。
そして仲間の苦しむ姿を見て、次々と[devils joker]の者達は正気を取り戻していき、慌ててヤマトに武器を向ける。
その行動にヤマトは…
「安心しろ殺しはしない、ただ本体には後遺症が残るがな」
「………っ!」
「止めたいなら止めればいい
そうなればアーシはお前らを敵とみなし、コイツと同じ運命を辿らせる」
不意をつけば倒せる、そんな考えを持つ者はいても実行に移す者はいなかった。
相手が背を向けているにも関わらず、ヤマトに勝てるイメージが全く湧かなかった。
ヤマトから発せられる、感じたことのない威圧が彼らを阻んでいた。
犯罪ギルドがここに来て、今まで[devils joker]の被害者達と同じ立場になり、その時の気持ちがわかった。
しかし彼らはこの時[devils joker]少し安心していた。
それは先程ヤマトから発せられた一言、「殺しはしない」と述べ、自分達が命を落とすことは無く、現時点で命の危機があるのは首を絞められている男一人であったからである。
自分は大丈夫と安心していた者な少なからずいた。
しかし…
「お前ら、コレが仮想世界だからって安心してるだろ」
「!!」
「その安心を壊すようになるが
触覚、温覚、冷覚、皮膚感覚、振動感覚、運動感覚、固有覚、深部痛覚、内臓感覚、臓器感覚、味覚、嗅覚、前庭覚、聴覚、視覚…
これら全ての感覚は全て感覚器官を通して伝達される。
お前らは実体とは別に意識だけが分離し、この世界にいることは理解している。
意識が分離している状態で、何らかの外傷を負っても現実世界には影響は無い
でもな、脳は違うだろ?」
ヤマトは自分の頭に指をさし説明をした。
プレイヤーは仮想世界でも、実態でなくても感覚はあった。
より現実に近く、まるで本当にそこの世界にいるような感覚に近づける為に現実世界の肉体を仮想世界で近づけたが、仮想世界ということもあり痛覚は半減されていた。
彼らプレイヤーは、意識、精神、記憶がこちらの世界へ移り、それらは全て脳から発信している。
現実世界では肉体が無事であっても、脳はそうとは限らなかった。
現にプレイヤーは命の危機にある。
彼らの実体は別の世界にあるが、脳は繋がっている。
ヤマトはそこに目をつけていた。
「この世界で実体にダメージを負わせることはできないが、脳に損傷を与えることはできる」
「うっ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
その時命の危機を感じ取り、ヤマトの不敵な笑みに[devils joker]の者達は全員が体が勝手に動き、ヤマトに襲いかかった。
相手を確実に殺すために戦い、[devils joker]は壊滅した。
そして[devils joker]の者達は皆、現実世界で何らかの後遺症が残った。
デスゲーム編完結まであともう少しです。
クライマックスは感動的にしたいと思います。
書き終わった時、ほぼヤマトの話になっていました。




