表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/76

第45話 バグ

デスゲーム編完結まで残りわずかです。

第二十六階層攻略後、エルはそのまま第二十七階層の攻略を行おうとした。

しかしエルはプレイヤー達からの質問攻めを受けていた。

第二十六階層で判明したバグ、それがいつから起きていたのか、それを知る可能性があるのはエルだけであったからである。

だがそれに気づかずに攻略を続けていたエルは、バグが起きてようが起きてまいがどうでも良かった。

世界が崩壊しなければ、やる事は変わらないからであった。

だがエルにはどうでも良くとも、プレイヤーは違った。

各階層主が正規のものでは無く階層ごとに入れ替わっていたならば、ゲームの攻略の難易度が違って来る。

一人で各階層を攻略したエルの持つ情報が重要となるのだが…



「ところでお前ら誰?」

「……俺のユーザー名はライム、ギルドには入らずにこの四人パーティーで行動している。

主にダンジョンを調査して、スムーズに攻略出来るようにギルドに情報を提供したり、積極的に攻略をしている」

「私はアイル、ライムと行動を共にしている。

一刻も早く現実世界に帰るためにゲームクリアを目指している」

「アタシはミルリア、皆んなからはミリアって呼ばれてるわ」

「わっ私はショーカと申します…」



エルの「誰」という言葉に対し、プレイヤー達は自己紹介をし始める。

[煉獄の剣王]の名はライム、[雷帝]の名はアイル、そして後の二人はミルリアとショーカという名前だった。

何故プレイヤー達といるのかというと、エルに倒された階層主を見て話をしたかったようだった。

エル達は場所を移し、他者に聞かれないよう、ある所の宿の一部屋でエル、シウラ、プレイヤー達しかいない空間へ移動した。

この時のエルは仮面をつけたままである。



「フーン、それで俺に話って?」

「あぁ、さっきの階層主のことなんだが…

お前はアレをどうやって一人で倒したんだ?」

「……それ、本当に俺に聞きたいことか?」

「え?」

「俺はお前からそれとは違う質問が来ると思っていたけどな…

違ったか?」

「………正直言うと知りたい…でもやっぱり君の言う通り、重要なのはコレじゃない」

「うん」

「[冷血女王]…シウラさんから君の話は少し聞いた」

「話したの?」

「はい…少しだけですが

わたくし達が知らぬ間に各階層が攻略されているのはエル様が攻略を行なっているのだと…」

「あっ………そう、お前が話したならいいや」

「……ねぇ…ちょっといい?」

「何だ?」

「その仮面……」

「カッコイイだろ」

(((……ダサい)))



エルの仮面は女プレイヤーには不評だった。

だが仮面を人がどう評価しようがエルはプレイヤーの前で仮面を外す事はない。



「…さっき君が倒した階層主のことなんだけど…」

「あの蜥蜴か……アイツはウザかった」

(どう見てもドラゴンだったよね?)

「……アレは公式では八十階層の階層主なんだ」

「(……公式って何だ?)へぇ……」

「それで…君が倒してきた階層主の事を教えてもらいたいんだけど…」

「わかった」



エルは嫌がる素振りを一つもせずに、ライムの質問に応じた。

第二十階層から第二十五階層までの単独で葬ってきた階層主をライムへ説明を始めた。

その中でエルの強さの秘訣を聞かれはしたが、自分がプレイヤーでは無く別の世界から来たことなど言えるはずもなく、「鍛えた」の一言で終わらせた。

そしてエルが各階層の階層主を語っていく内に、どの辺りからバグが発生していたのかがわかった。

それは語り始めの最初の階層主だった。



「……先ずは二十階層

俺はそこから一人で攻略を進めていたんだが…

アレは驚いたな…二十で悪魔王が出るとは俺も予想が出来なかった」

「え?……」

「第二十階層の階層主は悪魔王だったのですか?」

「うん、ビックリした」

「ちょっと待って!!二十階層で悪魔王が出たの!!!?」

「あぁ、そうだ」



プレイヤーが驚くのには訳があった。


このゲームは爆発的人気を誇り、発売当初に運営はβテストの受験者からの意見を受け入れ、全プレイヤーには前もって第一階層から第九十九階層までの階層主が公開されていた。

階層主を前もって明かす事には賛否両論があったが、階層主を前もって知っていても簡単に攻略することができない事から、結果的に賛成の意見が多くなっていた。

しかし悪魔王は違った。

第二十階層でエルが戦った悪魔王はゲーム発売前夜に公式サイトで、強すぎるという理由で運営が階層主の案を中止した魔物だからである。

中止になった階層主は悪魔王だけでは無い。

話を進めていくにつれてエルの倒してきた階層主の中に中止された魔物が何体か存在した。


【第二十階層】悪魔王

【第二十一階層】ケルベロス

【第二十二階層】ヒュドラ

【第二十三階層】エンペラースライム

【第二十四階層】阿修羅

【第二十五階層】狂化ミノタウロス

【第二十六階層】エンシェントドラゴン


この中で第二十階層、第二十二階層、第二十四階層の三体の階層主が発売前に中止となった魔物である。

そして第二十六階層のエンシェントドラゴンは本来ならば第八十階層で出てくるはずの階層主だった。



「でもな…一番厄介だったのはソイツじゃ無い」

「え?」

「二十三階層の階層主…

……アレはヤバかったな」

「二十三階層って?」

「……エンペラースライム

百階層前の九十九階層で出て来るはずの階層主だ」



バグが起き中止された魔物や上位の階層主が混ざっている中で、エルは苦戦する事なく倒していたが、中には一筋縄ではいかなかった階層主がいた。

それは第二十三階層の階層主エンペラースライムだった。

この階層主は本来ならば九十九階層の階層主である。

これを知った時、プレイヤーの誰もがたかがスライムと敵を侮る。

しかしエンペラースライムの強さは他の階層主とは比べ物にならないくらいの強さだった。

もしエルが第二十三階層へ足を運び攻略せずに、先にプレイヤーが第二十三階層を攻略しようとした時には、他の階層とは比べものにならないくらい被害者が出ていただろう。

エンペラースライムは第百階層へ挑戦する前の大きな試練であった。



「スライムの何がヤバいの?

だってスライムでしょ?」

「……相手がただのスライムな訳ないだろ?

見た目は確かにそこら辺にいるようなスライムだけどな」

「俺も公式で発表された奴しか知らないけど…

実際エンペラースライムって名前しか知らないんだ」

「……アレは九十九階層の階層主に相応しい奴だった

姿形を他の階層の階層主に変化するんだ

相手はただのスライムな筈なのに、一度に何体もの階層主と同時に戦っている感じがした

お前らが二十三階層に行ってたら死んでたな」



エンペラースライムは変幻自在にその姿をありとあらゆるものに変化する。

それが例え他の階層主だとしても…

エルが戦った時には系六体の階層主に体を変化させていた。

悪魔王、阿修羅の他に上位の階層主が四体…

攻撃は当たることはなかったが、今まで攻略した階層主の中で一番体力を奪われたのはエンペラースライムであった。



「そんなに強かったのか…」

「あぁ、今ある全ギルドが束になっても敵わなかっただろうな」

「…………」



エルの話を聞き、ライム達の顔が一気に強張る。

第九十九階層の階層主が二十三階層に移動している事を考えると、次辺りに第百階層の階層主が現れてもおかしくなかったからである。

エンシェントドラゴンが第二十六階層の階層主であったことは直ぐに広まる。

そうなれば現実世界に変えるために攻略を急いでいたものはいなくなり攻略に消極的になる事はわかっていた。

第二十七階層で第百階層の階層主がいる場合、生存率は大きく下がり勝てるかわからない勝負に挑むほどのお人好しはいないだろうと…


しかしここで第百階層の階層主を倒せば後の階層の攻略が楽になるかここでゲームクリアする可能性だってあった。

だがそんな可能性の低い賭けをする勇気はプレイヤーの中にはなかった。

帰りたいという気持ちよりも、死への恐怖が勝るのだ。

ライム達もまた、次ダンジョンへ向かえば全員が揃って生き残る可能性は少ないのはわかっている。

だから次の階層へ攻略に行こうなどとは言えなかった。

死への恐怖に感情が支配され、次へ行く事はできなかった。

するとエルは立ち上がり、シウラ元へ歩み寄る。

そしてシウラへ耳打ちをすると、シウラは部屋から外へ出て行く。



「心配するな、お前らは大人しく待ってればいい

攻略には俺が行く」



エルはライムの肩を叩き、部屋を後にした。

エルの一言により、四人の緊張が少し解ける。

すると四人は急いでエルの後を追うが、既に外にはエルの姿はなかった。

今更になって登場人物を纏めたやつを載せた方がいいのか悩み中…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ