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第34話 疑惑

場所は第二階層の平原地である。

第一階層の扉を抜けた先には、平原が広がっており辺りに建物の一つもなかった。

遠く離れた先に街がありるが、そこにはダンジョンは無く階層ごとにダンジョンのある場所が違うみたいだった。

コレはシウラが上空へ飛び空から見渡して調べた事だった。

普段よりも倍の出力を出し風魔法で空へ飛んだ。

辺りの状況を説明して4人は少しその場で休憩する事にした。

一方その頃エルは第二階層を抜けた先で一羽の鳥が待っていた。

エルは鳥の元へ歩み寄ると一気に青ざめ汗が流れた。

そして魔法を唱えると鳥は飛び立った。



「どうした?」

「ん?…あぁ、今報告をして来たところだ」

「報告?何を?誰に?」

「……この世界に害はないと報告をしただけだ」

「!、まさかアレは…」

「 ………うん…〈伝書鳩〉を飛ばして来やがった」

「…………」

「心配するな、さっき報告した。

それとシウラ」

「はい?」

「抵抗があるだろうけど、その耳を〈擬態〉で人と同じように変えておけ」

「………わかりました」



伝達魔法〈伝書鳩〉

鳩を魔法で具現化し、メッセージを吹き込み遠く離れた相手へ鳩を飛ばす。

この魔法を誰がエルの元へ飛ばして来たのかは言わずともわかった。

伝書鳩に吹き込まれたメッセージを聞き、エルは青ざめ急いで現地報告を送る。

2人がこの世界へ来ないように言葉を気をつけてメッセージを吹き込んでいた。

そしてシウラにエルフ特有の尖った耳を人間と同じようにする事を指示した。

暫くすると第一階層攻略から小一時間ほどの時間が経ち、プレイヤー達が第二階層にある転移門へ第一階層から転移をし始め、エル達が攻略した後のプレイヤー達が階層主の部屋から第二階層につながる扉を潜り抜けて行き、辺りを見渡し街の方向へ歩いて行く。

その後から第二階層へプレイヤーが集まり出していた。



「何か人増えて来たわね」

「……そうだな」

「ふわぁぁ〜……眠い

ミカル膝枕して」

「するわけないでしょ!」

「何で?女同士なんだから良いじゃん」

「何で女同士だから良いって事になるのよ!

だいたいアンタがあの時あんな事を言わなければねぇ!!」

「「あんな事?」」

「何でもないわよ?」

「「??」」



ミカルは顔を赤くしエルとセンを睨む。

ヤマトはミカルの反応に顔がニヤけていた。

何故睨まれたのかその理由を知らない2人は、知らない間にミカルを怒らせるようなことをしたのかと原因となる事を思い出そうとした。

エルには心当たりがありすぎてわからず、考えるのをやめた。

するとプレイヤーらしき人物が後ろに何人か引き連れエル達の方へ歩いて来た。

少し警戒をしながらだが敵意はなく、緊張した様子でエル達を見ていた。



わたくし達に何か用があるのですか?」

「あ…あぁ、ちょっといいか?」

「「…………誰だお前?」」

「アンタら……」

「……ほら、ダンジョンの前でグズってた」

「「……覚えてない」」

「「「…………」」」



変な空気がその空間を包んだ。

エル達の元へ来たのは第一階層のダンジョンの前で覚悟を決められずに一歩を踏み出せずにいたプレイヤー達を纏めていた者だった。

シウラ、ミカル、センは顔を見て直ぐに思い出したが、エルとヤマトの頭の中にこの者の存在はなく、全く覚えていないエルとヤマトにセンが説明して思い出させようとしたが、それでもまだピンと来ていなかった。



「すいません、この2人がバカで…」

「なにぃ!?」

「バカとは何だコノヤローー!!

そもそもアーシに覚えられたかったら記憶に残るような事アーシの前でしろってんだ!!」

「うるさい!!!

度々すみません…それで何のご用で?」



ミカルが王女スマイルをプレイヤーに向け、プレイヤー達の目的を聞く。



「……単刀直入に言う。

君達はβテストを受けた者達か?」



プレイヤーがエル達に投げかけて質問は、このゲームのβテストを受けた者達の有無だった。

βテストは簡単に言えばシステムの問題があるかどうかの確認である。

それとは別に他の者達よりも早く指定されている場所までゲームをプレイ出来る事により、強化アイテムの場所などの情報を早く知り他のプレイヤーよりも有利に進めることができるというものである。

しかしその質問を投げかけたところでβテストという言葉自体知らないエル達の答えは一つしかない。



「βテスト?何それ?美味しいの??」

「は?」

「すみません…βテストとは何のことでしょうか?」

「??」

「βテスト……何かカッコいい響きだな」



このエル達の返答にプレイヤーは呆然と立ち尽くしていた。

シウラはは真面目にβテストとは何かを質問したが、エルは食べ物だと思い、ヤマトは真剣な顔をして巫山戯た返答をした。

すると1人のプレイヤーが激昂した。



「お前ら巫山戯てんのか!!

さっきからバカにしたようなこと言いやがって!!

βテストを受けたんだろ!!

だから簡単に第一階層を攻略できたんだ!!

あの階層主を簡単に倒せることが出来るアイテムがあんだろ!!

それを俺たちにも教えろって言ってんだよ!!

このチート野郎!!」

「何いきなり怒鳴ってんだ?知らねぇって言ってんだろ?

訳のわからん事をピーチクパーチク叫びやがって…

あんな簡単なダンジョンなんかで俺らがズルをするわけがないだろ」

「簡単!?何処をどう見れば簡単だと言えんだ!!?」

「そもそもβテストって何?

チートって何?

この世界には俺の知らない言葉だらけでイマイチ理解ができない」



この世界は文明が進んだ世界が作り出した世界であり、理解ができなくて当然である。

世界の常識が全く違い、それぞれの常識が当然同じではない。

化学が作った世界と魔法が作った世界、同じ常識が通じるわけがなかった。

プレイヤー達はエル達の常識外れな強さの秘密をβテストの受験者だと決めつけていた。

しかしプレイヤー達はエル達がβテストを受けておらず、そしてゲームのプレイヤーではない事に気づくのは直ぐだった。

エル達と話しているうちに違和感を覚え、エルの頭上に視線を向けた時だった。



「………え?

プレイヤーのカーソルがない…

??、NPCのカーソルもない」

「………カーソル?」

「プレイヤーでなければNPCでもない……

何なんだ…お前達は…」



このゲームの世界で必ず表示されるものがエル達には表示されていない事に、気づくとプレイヤーは固まった。

最初は不具合によって表示されていないと思われたが、次のエルの一言によって理解が追いついていないところ、更に理解ができなくなったのだった。



「何って言われてもな…

別の世界から来たとしか言いようがない」

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