第31話 攻略開始(前日)
(*'∇')/゜・:*【祝】*:・゜\('∇'*)
2000pv
頑張って面白い展開にしていきます(ง •̀_•́)ง
デスゲーム攻略に心が躍る。
エルには死への恐怖など微塵もありはしなかった。
そんな中、普段たかがゲームと思っているプレイヤーは突如いつ来てもおかしくない死への恐怖と戦っている。
意識の差がここでハッキリと出ていた。
エルは死への恐怖を感じる時間があれば、次の日に何をするかを考える。
死ぬ覚悟があるなら、死を目前にした瞬間に諦めてしまう。
死ぬ事を考えるくらいならば今を楽しむ、それがエルの考え方だった。
そして街の中を進みながら空を見上げ、現実世界とは変わりない空の風景に素直に感動していた。
これが人の手で作られた世界とは思えないほど鮮明に見事に再現していた。
そして第一階層のダンジョン入り口の前へ着くと、立ち止まりそのまま見上げた。
「デケェ…天空ダンジョンと同じ大きさじゃねぇか?」
「そうですね…聞き込みを行った時に聞いた話ですが、天空ダンジョンと同じのようで100階層まであるそうです」
「100!?
…それは大変だ」
「それと、階層ごとにこの場所と同じように地上が広がっているようですね。
ダンジョンは階層主を倒せば次の階層へ進めるらしいです」
「………天空ダンジョンも人が住めるところはあるけど……ここまで地上と同じような感じじゃなかったな」
「そうですね」
「ふーーん…アースガルズね
世界樹の一つだ」
「…そういえばそうだな」
天空ダンジョンと同じような作りになっているかのように思われたが、階層ごとに世界が広がっている時点で全く違った。
ダンジョンに見入っていると、少し離れたところで軽装をしている者達が集まっているのに気づく。
何やら第一階層の攻略組の打ち合わせのようだった。
遠くから耳を傾けて聞いていると、翌日に第一階層の攻略を開始するとのことだった。
その後、何人かのグループに分かれて解散をしていた。
「明日から攻略だってよ」
「へ?明日?何で?」
「知らない…4組のグループに分かれてその後解散してるし、何を考えてるのか…」
「あのグループ分けは、私達の世界で言うパーティーでは無いですか?」
「あぁ、そう言う事。
成る程!今わかった!」
「でもパーティーにしては人数がバラバラじゃない?
役割もしっかりと決めているのかもわからないし」
「え!?パーティーに役割なんてあるの!?」
「あるわよ!!
攻撃のアタッカー、防御のタンク、回復のヒーラー、どれも重要な役割でしょう!!!
アンタ達今までどうやって戦って来たの!!?」
「………適当」
「はぁ!!?」
「その時によりますが、基本は臨機応変に対応していましたね」
「……アンタに常識を当てはめて考えたアタシがバカだった」
パーティーの役割など全く考えずにいた、エルをミカルはもの凄い形相で睨む。
今までその場その場で対応してきた為、パーティーの役割の意味ですら忘れていた。
しかし役割を決めたところで、エル達には必要なかった。
唯一の役割が決まっているとすれば、ヤマトのヒーラーだけであり、アタッカーとタンクの役割に必要な事は、エル、シウラ、ミカル、センは自然に身についていた。
ミヨコの打撃を受けていれば嫌でも頑丈になっているからである。
そして基本エルの団体での戦闘体勢はオールラウンダーでありどこでも出来た。
だから今更決めたところで実際に戦闘になれば役割など無意味となる。
シウラの言葉にミカルは納得してしまい、「コイツに常識が通じるわけがなかった」とよく考えるとエルを説得するのは無意味だと思い諦めた。
「………もいいか?
なら楽しみは明日にして、今日は休むとしよう」
「あいよ!」
「………そうね」
「そうだな」
「では宿を探しますね」
「疲れた」
「オイオイ…そこで座るんじゃねぇよ!
ったく…しょうがねえな」
力が抜けたミカルはヤマトの背中に背負われて、シウラの後をついて行く。
この地上でも空は暗くなり街の街灯がつき始める。
そして広場で泣き崩れていた人々の姿は無く、それぞれ自分が何をすべきかを考え動いていた。
この日から長く辛い日々が続くとしても生きる事を選び行動に移していた。
『ところで報告はしなくていいの?』
(ん〜〜…大丈夫だろ)
『ホントに大丈夫?』
(俺が死なない限り大丈夫だ)
『……なら良いけど』
エルはミヨコとサクヤへの問題無いとの報告をせずに、この世界を楽しむつもりでいた。
何にも縛られないこの瞬間を大事にしているのだ。
簡単に言うとサボりである。
報告をすれば連れ戻されるのは間違いなく、少しでも時間を伸ばし隙を見て逃げるつもりでいた。
あの地獄のような生活を二度と送らないように
『(今はあの2人を気にするよりも、別の問題があるしね)』
アリスはエルの前を歩くセンへ視線を向ける。
これはミヨコよりもサクヤよりもアリスが一番厄介な問題としていものだった。
センに憑いている女神が未だ姿を現さず、不気味な雰囲気を醸し出している。
センの中から出ている得体の知れない魔力をアリスには心当たりがあった。
魔力の感じからしてどんな女神がセンへ憑いているのかがわかっていた。
ミヨコがセンの瞳の奥を除いた際に「厄介な奴」と答えた時点で誰だかわかったが、アリスの頭の中に浮かんでいる女神が誰かに憑く事があるわけがなかった。
『………まさか…ね』
(?、どうした?)
『何でもない』
(?)
『(……考えすぎだよね…
まさか全知全能の妃が人間に憑くわけないよね
だってあの時、地上に降りてないはずだし…
ヘラがいるわけがないよね)』
考えすぎだと思いたいと願いつつも、否定できる根拠がなかった。
全知全能には前科が多過ぎて、愛想を尽かした妃が地上へ降りて人間に憑く事が絶対にないとは言い切れなかった。
できれば関わりを持ちたくない神が人に憑いていない事を願うしかなかった。
『…………ん?漸く感知したか
フフフッ…神々の中で主だけだ、妾をこんなにも忌み嫌うのは…
全く妾は主を自分の子のように小さい頃から手間を掛けて育てたと言うのに、反抗期でも来たのか恩を仇で返しおって…
しかしそこが可愛いのだがな!
今すぐにでも出て行きたいが妾が外へ出た時、此奴の体が持たん。
残念だが、もう少し再開の時を待つとしよう。』
アリスの願いは儚く砕け散った。
そして翌日にエル達はこのゲームの攻略に動き出す。
第一階層を攻略後、エル達の階層主との戦い時の様子がプレイヤー達の話題となった。




