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ほのぼの化学日記  作者: ラボアジェ
1/3

一日目 二年生の噂

拙いかもしれませんが、どうかよろしくお願いいたします(ー人ー)

化学知識に関してあれっ?とおもったところがあれば、それは単に私の知識不足なのかも…

ある意味異世界的な感じで読んでいただければちょうどいいかもしれません。

 出会いの春、桜が舞う中、様々な人がそれに期待し胸を膨らませる。

 高校生になった野依治良も、その一人、何も起きていないのに自然と笑みがこぼれる。 一体どんな出会いがあるのだろうかと考えながら入学式を過ごした。

 教室に入り、自分の席に着く。すると


 「よっ! 俺、根岸一。よろしくなっ!」 いきなり前の席から声をかけられた。

 「あぁ、俺は野依、野依治良。よろしく」 初対面だったので、少したどたどしい返事だったが、うまく答えられただろうか。少し不安になったけど根岸は、すぐに話を続けてくれた。


 「なあ、お前あのニ年生の噂ってやつ知ってるか? なんか綺麗だとかぶっ飛んでるだとかいろんなこと聞いてんだけど」 

 「噂? 全然知らない…というか、もうそんなものが広まってんの?」

 「いや、そんなに広くはないけど、たまに話してる人がいるから聞いてみただけ。多分そんなに思ったほどのことじゃないと思うけど。 まあそれは置いといて、もう部活とか何入るか決めた?」

 「部活? まだとくには決まってないけど…」 

 「じゃあ一緒にいろいろ見に行こうぜ! 俺もまだ決まってないからさ」

 「あぁ分かった」


 こうして、俺と根岸は二人で部活の見学をすることに決めた。最初に話した噂が気になるが、まぁ根岸の言う通り、そんなに気にすることでもなさそうだ。 

 授業を終えて早速、根岸が来た。


 「よし、どっから見に行く? やっぱ運動部の方からか?」

 「そうだな、そこら辺から見るか」


 ここ西燕高校は様々な部活がある。何かの強豪校とかそういうのはないが、部活数だけみれば、周りの高校と比べても、ダントツに多い。全部をじっくり見ようとしたら、とてもじゃないが一日では回りきることはできない。そのため、ある程度の部活は、飛ばしながらみていった。


 「だいたいは見れたな、何か面白そうなのあった?」

 「んー…どれもこれもかな… そっちは?」

 「俺もかな、まだ見てないところは…」

 「君達っ!!」 


 部活選びに夢中になっている二人に、どこからともなく女子の声がとんできた。

 少し驚いて後ろを向いてみると、そこには腕組みをして、自信満々といったような表情の女子がたっていた。制服の感じからして、自分たちよりも上の学年の人だろう。

 

 「君達、部活選びに迷ってるようね」

 「えっ…ま、まぁそうですけど。そr」 

 「じゃあ私たちの部に来なさいっ!!」


 根岸の言葉を半ば強引に切って、その人は畳みかけるようにしゃべった。


「あぁ、自己紹介がまだだったわね。私は2年の奈良坂理香。よろしくね」 

 「はぁ、それで、私たちの部っていうのは?」

 「化学部よ!!」

 「化学部?」

 「そう、化学部。是非来てほしいの。と言っても、もうすぐ下校時間だし、まだすぐにとは言わないわ。もしよかったらって感じで。それじゃあまたいつか」そして、奈良坂という人物は、すぐに廊下を走っていった。

 「何か、いきなり来て、いきなり帰っていったな…」そう思うのも仕方ない。何せ根岸は、彼女とほとんど会話をさせてもらえなかったのだから。

 (化学部か… あまりにもはきはきした口調だったから、演劇部か何かだと思ってしまった)

 俺は終始無言で、そんなことを考えていた。


 「それじゃあ、俺たちも帰るか。またなっ、野依」


 こうして、高校生活は始まっていった。


 入学式から何日か経ち、俺も根岸もある程度学校に慣れてきた。しかし、まだあれから部活は決まっていない。皆は少しづつ部活に入っている、俺は根岸にある提案をした。


 「なぁ根岸、お前まだ部活決まってないよな」

 「ん? そうだけど」

 「ならこの間勧誘されたあそこ、ちょっと行ってみようぜ」

 「あそこ? もしかして、化学部のこと?」

 「うん。何つーか、折角勧誘されたんだし、ちょっとくらい見学しないと、申し訳ないかなって」

 「それもそうだな、よしっ、行ってみるか」 そして放課後、二人はすぐに教室を離れて、目的地にむかった。

 (見学すると言ったのはいいものの、また前のようになってしまうのではないか?) そんな考えを持ちながら、二人は「化学第一実験室」に着いた。 すると、反対側の方向から、同じ一年の女子がやってきた。そして彼女も、二人と同じ場所で止まった。


 「あれ? 君も見学に来たの?」根岸が彼女に質問する。

 「うん、そうだよ。 私、二組の宮浦七海、ちょっと前にここの部員に勧誘されて、軽ーく見学にきてみたの」 彼女は明るい声でそう答えた。 偏見かもしれないが、とても化学というイメージとは異なる風貌だ。 


 「その部員んって、もしかして二年の奈良坂っていう人?」 俺はさり気なく聞いてみた。

 「そうそう! じゃあ君たちも?」

 「あぁ、入学式の日の放課後に勧誘されたんだ」 どうやら彼女も、あの奈良坂っていう人に勧誘されたらしい。 いったい何人勧誘したのだろうか…


 「あら、君たちきてくれたのっ!」 三人が会話をしていた時、実験室のドアがひらいた。 話の話題になっていた人の、おでましだ。


 「わざわざ来てくれてありがとう! さあさあ遠慮せずに入って入って」 そう言いながら、彼女は三人を中に入れた。 実験室は授業で何回か入ったことがあるが、この時間に入ったのは、初めてだ。 何というか、いつも授業で感じる雰囲気とは違った感じだ。 


 「そういえば、名前をまだ聞いてなかったわね」

 「あぁそうでしたね。俺は根岸一です」 

 「俺は野依治良です」

 「私は宮浦七海って言います」

 「根岸君に、野依君に、宮浦さんね。分かったわ。では、改めて私も自己紹介をしましょうか。 私は二年の奈良坂理香、今日はみんな見学?」

 「はい、そのつもりです」

 「そう、それじゃあ今日はいろいろと我が化学部を見ていってね」


 そして、三人は実験室内をいろいろ見ることにした。 しかし、野依は、少し気になったことがあった。

 「あの…奈良坂さん」 

 「何? 野依君」

 「今いる部員って、もしかして、奈良坂さんだけなんですか?」 

 「あぁ、確かに今見るとそう見えるわね… でも心配しないで! 三年生の先輩がちゃんと一人いるから。今はまだ来てないんだと思うわ。もうすぐ来るはずよ」


 (特に心配していたわけじゃないけど… というか、三年生も一人しかいないのか。まぁこの学校は部活数が多いから、案外他もそうなのかもな)

 そんな話をした数分後、その三年生の先輩がやってきた。


 「おーっす、ってあれ一年生? 見学か何か?」 

 「えぇそうよ。左から野依君、根岸君、宮浦さんよ。 今日は見学に来てくれたわ」

 「なるほど、まぁゆっくりと見学して、何か質問とかあったら、遠慮せずいってくれ。俺は三年の鈴木彰、一応この部の部長だ」


 (((でかいっ!))) 三人は部長を見るや否やすぐにこの言葉が頭に浮かんだ。 三年生の中でもおそらくトップクラスの身長だろう。そう思わせるほど、部長は大きかった。


 「化学部って、基本何してるんですか? やっぱり毎日実験漬けの日々…?」宮浦さんが部長に質問した。

 「ん〜〜、毎日実験漬けってわけではないかな。 基本、やってみたいって思ったことをやってみる感じだから。まぁ去年は、コイツがアホみたいにやってたから、ほぼそんな感じだったかもしれんが…」

 「あら、そんな感じだったかしら?」

 「あぁ、お前あれだけやっておいてそんな風にしかおもってなかったのか。 なんてヤツだ」

 「あの〜…じゃあもしかして、やりたい時にやってるって感じですか?」 宮浦さんが二人の話に割って入るような形で質問した。 


 「えっ… あ、あぁそうだな。 もちろん、ほかの部活とも掛け持ち可能だ」

 「なるほどなるほど、ねぇ、みんなで入ってみない? 化学部。そんなにきついわけでもなさそうだし」

 「えっ! 俺たちもか、なあどうする野依?」根岸は驚いた様子で、俺に聞いてきた。まぁ、俺も結構驚いたのだが…


 「どうするって、まぁいいんじゃないか。特に今部活決まってないわけだし」

 「それもそうか、じゃあ三人で入r」

 「ホント!? じゃあ今すぐ先生を呼んでくるわ!!」 奈良坂さんは、また根岸の言葉を強引に切って、どこかへ走っていった。


 「なぁ、野依… あの二年生の噂って…」

 「あぁ、俺も少し思ってたところだ…」


 二人の予想は、はかなくも当たっていた。 綺麗でどこかぶっ飛んでる二年生、それは今の今まで話をしていた奈良坂理香だったのだ。

 「はぁ、俺の出会いは、何かものすごいことになっている気がする」そうつぶやいて、俺たちは奈良坂さんを待った。

 

  

 

  

  

 

  

 

 

 

 


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