ダミは話す
ダミは話す
ジェイとアイは、ふたりとも、静かに、ダミが現れるのを、待っていた。
腕から血を流しながら、次にどう出るのか、想像しようもなかったが、
ダミの速さに対応しようとだけを考えていた。
そして、時間が過ぎ去るとともに、ふたりの腕の傷も完全に治ってしまっていた。
その時、ダミがふたりの前に現れた。
「ふたりとも、体が動かないだろ。縛りをかけさせてもらったからな。」
ジェイが言った。
「どうするつもりなんだ。ダミ。」
「心配するな。殺しはしない。多分また輪廻するはずだからな。
死に急ぐことはないよ。精一杯生きることだ。
ふたりとも、傷の回復が、さすがに早いな。
それと、アイは、やっぱり、そうなんだな。毒が利かない体か、特殊だな。
それを試させてもらったよ。こういう機会はそうそうないんでね。」
アイは言った。
「それが、どうしたっていうのよ。試す必要があるの」
ジェイとアイは、ダミが自分たちに殺さないと言ったことで、安心感と
ダミに対しての興味が湧いてきた。
「それは、そうとしてだ。速さが、いかに必要かわかっただろ。
闇の戦いにおいては、特にそれが必要だということだ。
相手が複数の場合は、絶対だ。一人に時間をかけないで、一発で仕留めて、
相手が得意な術を使う前に、倒す。これで優位に立てる。いいな。」
ダミが闇との戦い方を教え始めたことに、ジェイとアイは違和感を覚えていた。
なぜ、闇のダミが、自分らに不利になることを話すのか。




