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短編

藤堂遥香23歳、魔法少女始めました

作者: 宮藤小夜

友人の結婚式が終わって家への帰り道。

道路の端っこで段ボールが置いてあり覗いてみると、泥などで汚れた服を着た黒いウサギ?が寝ていた…。

そのダンボー炉の中には一枚の紙があり、〔君の願いは何?〕と書かれていた。

いつもの私なら胡散臭く感じ無視していたのだろうが、酔った思考回路ではなぜかさっきまでの友人の幸せそうな顔が浮かびつい、思いついたことを口に出していた。


「そうだな、私も恋して幸せになりたいな~…何てね」


ーーーパアァァァァァ


「…え?」


辺りが急に明るくなったと思ったら、ゆっくりと光は収まり、静寂が辺りを包んだ。


「…今のなに?酔ってて幻覚でも見たのかな…帰ろ。って……え?」


ちょっと、ちょっと落ち着こう。私!そうよ、酔っててさっきみたいに幻覚でも見たのよ!きっとそう!先ほど見たことを嘘だと思いたくて、チラ、とカーブミラーに映った自分を見る。…見間違いじゃなかった!!今、カーブミラーに頭にはでっかいリボン、黒いウサ耳、そして服が某魔法少女みたいな服に変わっている私が写っていた…しかも腰にはファンシーな感じのステッキが…。


(なにこれ?夢?夢よね、私がこんな格好…)


「フッフッフッ…」


(何?この声…下から?)


声のした方を見ると、あの服を着たウサギが不気味な動きをしながら喋っていた。


「契約完了だよ!これより君は僕のパートナー!願いを叶えるまでよろしくね!」


「…はぁ?」


そう、これが私の陰鬱な日々の始まりであり、そして、運命(?)の出逢いであったー。


「とゆうことで君の名前はなぁに?僕に教えて欲しいなぁ!」

「とゆうことでって…そもそもあんた何なのよ」

「あっ、僕名前ないんだよねぇ…だからつけてくれたら嬉しいなっ♪」


ムカッ


グッ……ギリギリギリ…


「首しまってる!!しまってるよー!ヘルプミーっ!!」

「私の質問に簡潔に答えて…ね?」

「はっはぃぃぃぃぃーっ!!」


(笑っているのに目が笑ってなかったよ…(´;ω;`))


えっとね?最近魔法少女多すぎだと思わない?

え?知らない?まぁ聞いてよ。

強い魔法少女もいるんだけど、それはほんの一部しかいないんだ。

この頃弱い魔法少女がザコとかにも負けるようになってきて…。

魔法少女同士でバトルして魔法少女減らそうぜ☆みたいな?

そうしたら強い魔法少女しか残らなくなるでしょ?

で、僕らの主様がね、ついでにパートナーいない奴等も新しく契約して参戦していーよーって!

ちなみに主様が満足するまで戦ったら願いが叶うよ!

主様は気まぐれだからいつまでかはわからないけどね☆



「はぁ?なによそ」

「っ見つけた!2人め!あんた!今すぐ私と勝負しなさい!」


私がウサギに詳しく聞こうと思っていたら、向こうの角から幼い中学生位の女の子がやってきてすぐにそういった。

…魔法少女のような格好で。


「あっそういえば魔法少女に変身するのは近くに同じ魔法少女がいるときだよ!それと、呪文を唱える時は『マジカル☆~』ってつければいいからね!」


「先に言いなさいよ!でも、そう…つまり目の前の相手がいなくなったら、この格好も解けるわけね(呪文は最終手段だわ)」


「ちょっと!私のこと無視してんじゃなっ」

「ぁぁぁぁぁぁあ!!お前はっっ!!」


叫んだ方をみると服を着たちっさいカバが横にいる黒いウサギに向かって指を指していた。


「?…ああっ!ブーテくん!?久しぶり!元気だった?」

「知り合いなの?」

「うん!ともだ…」

「ちげえ!それに俺の名前はバーテだ!」

「…あっれー?」


「俺はお前に復讐するためにきたんだ!よくも…よくもルーナちゃんやミリア様を弄んだな!」

「ちっ違うよ!ルーナちゃんは友達だし、ミリアちゃんはクラスメイトで僕嫌われてるもん!」

「天然かよ!だから俺はお前が嫌いなんだ!お前ばっかりモテやがって!くそっ!俺が好きになったルーナちゃんやミリア様はお前のことばっかり気にする!許せん!この勝負俺達が勝つ!いくぞ、愛!」


「ふんっ!ちょっと!おばさん!あんたその年で魔法少女ってなによ!てゆうか今すぐ負けてよね!私は優勝して世界一の美女になってカッコいい男共をものにするんだから!さっさと負けなさい!」


そして愛?という女の子は魔法ステッキを構え、鳥肌ものの呪文を唱えた。


【マジカル☆ラブ❤ビーム!】


そのステッキからシャボン玉みたいなピンク色のハートが光とともに私の元へ飛んできた。


バシッッ「気持ち悪い!」


ついつい呪文が気持ち悪すぎて自分の魔法ステッキで弾いてしまった…。


「なっ!なんで私の魔法がきかないのよ!ありえない!なんでよぉ!昨日のあいつには効いていたのに!」


どうやら私が呪文を弾いたことでパニックになっているみたい…だけど、そろそろ眠くなってきた。最終手段とかいってられない、そろそろ終わりにしよう。


「なんで…」

「うるさいわよ、躾のなってない餓鬼が」

「なっっっ!!」


「それと私はまだ23歳よ。決しておばさんと呼ばれていい年じゃないわ…次はこっちの番よ」


そうして私はステッキを取り出し、彼女に向けて呪文を唱えた。


【マジカル★ブラックビーム】


「きゃあああああああぁぁぁぁ!!!!………」


私の呪文をくらったとたん、さっきまでが嘘のように大人しくなった。しかも…。


「なんで私こんな容姿で逆ハーレム目指そうとしたのかな…あぁ、消えてしまいたい……」


とってもネガティブになっている…なぜ?


テレテテッテテーン♪

藤堂遥香さんの勝利~♪ワーパチパチ♪そして残念!藤島愛ちゃん!

魔法少女の時の記憶が無くなり、契約時の願いは永遠に叶わなくなります☆とゆ~わけでバイバーイ♪


深夜の住宅街に能天気な声が鳴り響いた。…って、ん?


「おっめでとー!これから一緒に頑張ろうね♪」

「…ねぇ、さっき契約時の願いは永遠に叶わなくなるって声が言っていたんだけど…」

「そうだよ!負けたら魔法少女だった頃の記憶がなくなり、契約したときの願いが永遠に叶わなくなるんだ!えっと、君の願いは『恋して幸せになりたい』だよね?負けたら一生恋できなくて幸せがこなくねるね!」


アハハッと隣でニッコリ笑っている黒いウサギ…。


「契約を破…」

「破棄はできるけど、そうしたら負けたことになるけどいいの?」

「今のなしで!!」


「えへっ!じゃあこれからよろしくね?」


この時私が思ったことは…あぁ、お酒って怖い。



~帰宅後~


「君の名前って、藤堂遥香っていうんだね!」

「…なんで知ってるのよ」

「玄関の表札に書いてあったから」 

「ああ、そう。…あ、そうだ、あんたの名前。(こう)でいい?」

(目が赤いから紅なんて安直だったかしら…)

「いい!わぁあ!ありがとう!えへへ、紅…か。これからよろしくね!ハル!」

「ハル?」

「そう!僕だけが呼べる君の名前だよ!だから他の人には呼ばせないでね!」

「あー、はいはいわかったわかった、おやすみー」


「約束…だからね?」



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