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翼の夢  作者: 二見
7/10

答え

携帯に着信が一件。

何のメールだろうか。

開いてみると、式くんからのメールだった。


『謎が解けたよ。これから会えないかな?』


……。

もう謎が解けたか。

いや、彼ならすぐに解けるだろうとは思っていた。

だから、あえてあんな回りくどい言い方をして難易度をあげたんだ。

『いいよ。学校の屋上で待っててくれるかな?』


返信完了。

式くんから了承の連絡が来た。

楽しみだな。どんな答えを言ってくれるんだろうか。

おっと、行く前に準備しなくちゃだ。

ようやく、僕の夢が叶うんだから。




式が屋上でしばらく待っていると、扉が開き、翼が現れた。


「お待たせ。ごめんね、遅くなっちゃって。もう家に帰っていたからさ」

「いや、こちらこそごめん。わざわざ呼び出しちゃって」

「それで、なぞなぞの答えがわかったって本当?」

「もちろん」


式の表情には自信が見える。


「答えがわかったら、何でこんな簡単ななぞなぞが解けなかったんだろ

うって思うくらい単純だったよ」

「……」

「僕は過去に行くことができるんだ、とは言い得て妙だね。確かに君は過去に行ったんだよ。日付的にはね」

「…どういうこと?」


翼はわかっているであろうことを式に聞き返した。

やはり最後まで言わなければ正解とは認めないのだろう。


「君がくれたヒント、三枚の写真。これらを結びつける答えは、この世界地図の中にあったよ」

「…ふーん。教えて?」

「じゃあまずなぞなぞの問いに答えよう。君は本当に過去に行ったわけではない。そう思う根拠を今から説明するよ」


式は一呼吸つき、話始めた。


「まずこの写真はどうやって撮ったのか。それを説明するキーワードは…これだよ」


と、式は地図の一部分を指差して翼に見せた。


「これは…日付変更線?」

「そう。答えは…時差だよ」

「……」

「そう考えれば、全ての辻褄が合うんだ」


式は三枚の写真を取り出し、翼に見せた。


「まず、この写真。7月26日の写真は夜に撮られているけど、それは何でなのかを考えたんだ。理由は簡単だよ。7月26日は夜しか写真が撮れなかったんだ」

「何で夜しか撮れなかったの?」

「君は自分でその答えを言っていたよ」

「え…?」

「君は前に27日に過去、つまり26日に行ったと言っていた。つまり、27日に日本の空港から外国に行ったんだよ」


式は地図を指差しながら言った。


「日付が一日戻っているということは、多分アメリカとかそこらへんに行ったんじゃないかな?仮にアメリカだとすると、日本とアメリカの時差は約14時間だ。まあアメリカは地域によって時差が違うから正確にはわからないけどね。で、君は27日の昼に日本を発ったから到着したのはアメリカ時間だと26日の夜になるというわけだ」


式は26日の写真と27日の写真を持ちながら言った。


「27日の写真は、日本で撮ったものだ。出発する前にでも撮ったんだろう。そして26日の写真はアメリカで撮ったもの。これはアメリカに着いた後ホテルに向かう途中に何枚か撮ったもののうちの一枚だろう」


式は翼の表情を確認しながら続けた。


「君はタイムスリップができるのが一日前後と言っていたよね。それも時差ということなら納得ができるんだ。そしてタイムマシンというのは飛行機や船のことだよね。確かに今すぐにはタイムスリップすることはできないね」

「…最後に聞くけど、君の話が本当だっていう証拠はあるの?」

「問題側が証拠を求めるのはちょっとずるいんじゃないかな。でも、実はあるんだよね」

「え…?」


翼は目を見開き驚いた。どうやら予想外だったようだ。


「その前に一つ聞くけど、君の携帯、もしくは写真を撮影したカメラにはGPS機能がついているよね」

「う、うん。何でわかったの?」

「最近は技術が発達していてね。何とGPS機能がついたものなら写真を撮った場所を地図上に示すことができるソフトがあるんだ。それで俺はさっきPC室に行ってそのソフトを使ったんだ。そしたらほら」


と、式は一枚の紙を翼に渡した。


「これはそれを印刷したものだよ。写真を撮った場所がちゃんと出ているよね。どう?これなら証拠になるんじゃない?」

「…さすがだね。もう解いちゃうなんて」


翼は感心したような表情で呟いた。


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