朋有り遠方より来たる(四百文字お題小説)
お借りしたお題は「今月の時刻表」です。
OLの律子は小学校卒業以来会っていなかった旧友から残暑見舞いをもらい、彼女の家を訪ねた。
「久しぶりね。律子、奇麗になったね」
友人の言葉に律子は照れた。
「そんな事ないよ。恥ずかしいな」
会わなかった時間が嘘のように埋まり、二人は小学生に戻って話をした。
やがて時間が経ち日が西に傾いた頃、律子は暇を告げた。
「バス停まで送るね」
旧友は別れを惜しむように律子とバス通りまで歩いた。
「さっき行ったみたい。惜しかったね」
旧友が苦笑いをして律子に言った。律子は時刻表を覗き見て、
「今三時だからここね」
15と書かれた欄を指差した。すると旧友は首を横に振って、
「違う違う。今日は二十一日でしょ」
そう言って21の欄を指差し、
「あと二時間以上来ないから家に戻ろうか」
「どういう事?」
律子は不思議に思って尋ねた。すると旧友は、
「これは今月の時刻表なの。バスの運行が少ないから一ヶ月まとめて書かれてるの」
その話に律子は仰天した。
そんなわけでした。