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第2話 流されるのは嫌いだ

とりあえずレクス・ドラゴンとのドキドキな追いかけっこ終了!!


レクス・ドラゴンと遭遇してからはや十分、俺は未だにこのしつこい魔物を振り切れずにいた。


「たくっ!しつこすぎるぞこの蜥蜴もどき!」


「ギイィィィヤヤャャャァァァ!」


なおも俺を追走してくるレクス・ドラゴン。このままいけばジリ貧、誰もが一目見てわかる状況だ。当事者である俺はなおさらそんなことは理解している。だが、俺は違うことに対して苛立ちを募らせていた。ジリ貧であることに苛立っているのではない。追われて逃げるしかないという状況に俺が流されている(・・・・・・)ということがなによりもイラつかせるのだ。


(だめだ!覚悟を決めてどこかで迎え撃つしか俺の生き残る道はねぇ!)


俺は走りながら周りを見渡す。後ろの腹をすかせたモンスターは一向にスピードを緩める気配がしない。後ろからのプレッシャーに焦りながらも俺は開けた空間を見つけた。


(このままじゃ埒があかねぇ!ここに飛び込んでレクス・ドラゴンをブッ倒す!)

「ええい!ままよ!」


俺は気を引き締め森の中にぽっかり空いた空間のなかに入っていた………



  ▽▽▽▽▽▽



この開けた空間でクラウスはレクス・ドラゴンを見据える。獲物を追い詰めたレクス・ドラゴンの顔は”やっと諦めたか”というような感じが滲みでていた。その顔やクラウスに降りかかった色んなことが彼の苛立ちを加速させる。だが、彼がこの魔物と初邂逅した時に感じた恐怖のような感情は一切ない。ただ、頭は冷静さを取り戻しながらも、”よくも俺を状況に流されるようにしてくれたな”というレクス・ドラゴンにとって理不尽でしかない怒りを募らせていくばかりである。


そんなことをクラウスが考えている瞬間、レクス・ドラゴンは待ち切れなかったといわんばかりの速さで彼との間を埋めてくる。彼もこの瞬間を待っていたのだ。考え事をしていた所為か反応が少し遅れたが、彼もレクス・ドラゴンとの間を埋めていく。俺とレクス・ドラゴンが交錯する刹那―――


「【流剣(グラディウム・フルーント)】」


彼は自分にしか聞こえない程度に呟き、レクス・ドラゴンの突進を右に飛んで避ける。そのまま空中に居る状態で発達した右腕に向かって片手剣を振り上げ斬撃を繰り出す。そこであり得ない現象が起こる。レクス・ドラゴンの右腕が片手剣が斬撃を与えた部分から綺麗に切り落とされたのだ。


レクス・ドラゴンは砂漠または荒野にしか生息していない。そのため、レクス・ドラゴンはそんな過酷な環境化で生き残るため鱗が何よりも堅牢に発達している。この鱗は、両手でもつ大剣を使う者でしか切り裂き、傷を与えることしかできないのだ。だが、彼は有名な鍛冶師が打ったような業物でもないただの片手剣でレクス・ドラゴンの異常ともいえる発達した人間など簡単に引き千切ってしまいそうな両腕のうち一本を切り落としたのだ。今この場に専門家がいたら驚愕の表情を浮かべているであろう。


そんなことが起ころうともレクス・ドラゴンは悲鳴のような怒号をあげなかった。それは驚愕により思考がストップしているのか、幾つもの獲物を喰らい生き残ってきたもののプライドか分からないが、レクス・ドラゴンはクラウスの方に向き直り驚愕と怒りに目を染めながら彼を睨みつける。


レクス・ドラゴンが咆哮をあげる。まるで地震があったかのように地面が震え、森が震え、大気も震える。だが、クラウスは咆哮によってできた衝撃に微動だにしない。たださっさとかかって来いよと睨み返すだけだ。レクス・ドラゴンはその目が心底気に食わなかったらしく、残った左腕地面を抉る。抉ったことによってできた破片が即席の弾丸として彼を襲う。幾ら右腕を失くしたせいで安定できなくても、放たれた破片はそのまま当たれば致命傷は免れないほどな危険性を秘めている。そんな死の弾丸が彼に迫る。


「【流盾(スクートゥム・フルーント)】」


さっきと同じように彼は呟く。それと同時に彼を中心に半径3メートルの空間で透明な膜が出来上がった。その膜に当たった死の弾丸は膜の表面をつたうように受け流されていく。レクス・ドラゴンに驚愕の表情はもうなかった。彼を強者と、ただの獲物ではないと思ったのだろう。すぐさまブレスを吐く体勢に入る。地面に亀裂が入るほど強く踏みしめ、踏ん張る。そして放たれたブレスは彼が逃走中に放たれたブレスの何十倍も破壊力があるものだった。彼もブレスを迎え撃つように相棒である片手剣を両手で持ち、振り上げまた呟き、


「【流破斬(オキシデーレ・ファラクトゥーラ・フルーント)】」


振り下ろす。それによって発生した衝撃波。いや、飛ぶ斬撃が辺りを破壊しながらこちらに迫るブレスとぶつかる。その瞬間轟音が鳴り響く。辺りに広がる衝撃は地面を割り、木が薙ぎ倒される。だが、斬撃と拮抗していたブレスが切り裂かれ、ブレスによって勢いを失った斬撃はそのままレクス・ドラゴンに直撃する。斬撃によりレクス・ドラゴンは右肩から左足にかけて切り裂かれ、立ってることができなくなって地面に倒れこんだ。レクス・ドラゴンの呼吸はすでにか細くなりはじめていた。無理もない。斬撃によりできた傷は、皮膚を切り裂き背骨に迫るほど深かったのだ。むしろ、呼吸をしているだけ奇跡と言えよう。


そこにクラウスが近寄ってくる。彼の表情に怒りの色は消えて、疲労の色が濃く見えた。その表情のまま彼はレクス・ドラゴンを見下ろす。


「やっぱり、流されるってのは良くねぇな。相手の強さに関係なく逃げちまった。あぁ、勘違いしないでくれ、お前は決して弱くなかったよ。俺、体術とかには自信あったのに、お前と睨みあった瞬間、特化呪術使わなきゃ勝てないって思ったんだが………。って、もう聞こえてないか。」


レクス・ドラゴンはすでにこと切れていた。彼としては最後に言いたいことがあったのかもしれないがそれは胸の奥にしまったほうが相手のためになると考え、舌の先まで出かかった言葉を飲み込んだ。ちょうどその時、彼の勝利を祝うかのように朝陽が地平線から顔を出し始めていた。



  ▽▽▽▽▽▽



やっとレクス・ドラゴンとの嬉しくもない鬼ごっこを終えたと、思ったら疲労感がどっと押し寄せてきた。かの魔物の前では余裕の態度ををみせたが、体正直らしい。


「ふぅ~、さてといつまでもここに居座る訳にはいかねぇし、さっさとレクス・ドラゴンの討伐証明部位剥ぎ取ってギルドに報告して帰って寝るか。ふぅあぁぁぁ~。」


でかい欠伸をだしながら、レクス・ドラゴンに近寄る。その前に討伐証明部位について説明しておこう。討伐証明部位とは、その名の通り各魔物にある討伐を証明するための部位だ。例えば、ゴブリンなら耳だし、レクス・ドラゴンなら死後数十分のうちに剥ぎ取ると黒くなってしまう右の鋭利な犬歯だ。それをギルドや専門店に持ち帰って見せればクエスト達成の証拠にしたり、換金できたりする。そして、俺も例に洩れずレクス・ドラゴンの右の犬歯を剥ぎ取った。俺はそのまま立ち上がり、レクス・ドラゴンを一度見てこの場を去って行った。



ちょっと遅くなっちゃいました。主人公今はチートみたいに見えますが、終盤はまぁそこそこです。ほんとは今回に次の依頼も載せようと思いましたがきりがいいのでやめました。次には、ちゃんと他のキャラがでます!ヒロインまでだせたらなぁ~…。感想とかも送ってくれると嬉しいです。それでは次回もよろしくお願いします。

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