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第二話 ・補習の報酬・




 冬休み初日の教室。





「先生、ここだけが分かりません。」




「その表現は一カ所だけが分からない場合に使うのであって教科書を高々と掲げ使うものではないぞ。」



「そうだよ、シュンちゃん。こういう時は[こんなもんが分かったらここにいません]と言えばいいんだよ。」



「さらに上級者は[こんなもんが分かったらここあ(ココア)いりません]と言えばいいんだよ。」



「そんな甘い考えだから徳田も相川×2も赤点なんだぞ。ココアだけに…。」



 双子の迷言に乗った高城先生は置いといて、休みに入って早々に期末テストのツケを払わされ学校に出向く俊作と相川姉妹であった。



「先生、こんなふざけた生徒がいていいんですか。一応、名門ですよ。」



 もっともなことを言っているのは俊作たちを連れて来たひかりである。



「ひかりが無理やり連れてくから冬休みなのに学校にいるんだし。」



「誰が休みの朝に家まで起こしに行ったと思ってんのよ。こっちは部活と生徒会で忙しいのよ。感謝されることはあっても文句を言われる筋合いはないわよ。」



「徳田、石川の言う通りだぞ。お前らが赤点をとらなきゃ先生は今頃ウイ○レタイムなのだ。先生はウェールズでイングランドを倒さないといけないんだ。ちなみに北アイルランドは昨晩撃破済みだぞ。」



「いやいや、先生は先生なんですから冬休みも登校しないといけないと思いますよ。それになぜイギリス限定なんですか?」



「ひかりはダメだな。イギリスはサッカーの母国ってことも知らないのかよ。ウイ○レはイギリスをやってなんぼなんだよ。」



「その通りだ、徳田。よし補習免除だ!!」



「そんなことで免除しないでください。それにウイ○レは他にもチームはあります。個人的にはポルトガルとアンゴラが好きですね。」



 アホなことを言う生徒と教師を注意しながらも話題に乗っかるひかり。実は先生や俊作よりもウイ○レが上手かったりする。得意フォーメーションは4-4-2でサイドからのセンタリングをメイン戦術である。



「ホント、シュンちゃんはバカだよね。どうやって明央に受かったの?」



 自分もバカと言った奴と同じ補習を受けていることを棚上げにして俊作に質問をする双子の姉の美佳。



「そりゃー、過去問を研究したからな、一年半ほど。」



 その時間あれば普通に受かるのではと思う一同。



「失礼します。荷物を取ってもよろしいですか?」



「おう、いいぞ。今日は部活か?」



 先生の返答を聞いた後、小さくお辞儀をしてから教室に入る少女。



「はい、部活です。あと鈴井先生が徳田を厳しく指導してくださいと言っていました。」



 この少女は桑原(くはばら) (あかね)である。


 年齢16才、身長167cm、青みがかった黒のロングの髪に、大きな目に筋の通った鼻の完整な顔立ちの上、スタイルも抜群である。野球部のマネージャーをしており、同じ野球部の俊作とは関わりが多い。



 俊作と双子は古典で赤点と取ったため補習のために登校しているが、普通の生徒は部活動などのために登校している。俊作とあかねが所属している野球部は活動日であった。そして鈴井先生は野球部も顧問兼コーチである。双子はテニス部に所属しているが今日は活動日ではなく、ひかりが所属する弓道部も同じく活動日ではない。



「よし、徳田!!うさぎ跳びで校庭20周だー!!」



「先生、厳しくするものが違います。今日は古典の補習じゃないのですか。それに野球部の方は自主トレの宿題が出るので安心してください。」



 高城先生の発言に丁寧に対応しながら机から野球部の活動日誌の大学ノートを出す。その大人びた性格と容姿の上に野球部のマネージャーという点もあり男子からの人気が高い。敵チームの選手があかねに見惚れて三者連続見逃し三振をしたとかいう伝説もあるくらいである。もちろん本人は否定している。



「あれ、石川さんは補習じゃ…。」


「ないわよ。この3人だけじゃ、今頃サッカーか野球になってるわよ。」



「それで保護者同伴ってわけ。私も部活がなければね…。」



 意味深長な言葉を残し立ち去る。










「キーンコーンカーンコーン…。」



 定番のチャイム音が教室に響く。




「業務時間が終了いたしました。先生は帰宅いたします。後は石川さんに任せます。」



 チャイムが鳴り終わる前に教室を出る高城先生。そして廊下には「イングランド覚悟ー」と響き渡っていた。



「それじゃー、俺らも帰りますか?」



「もしかして帰れると思ってるの俊作くん。」



 笑みを浮かべているが目が全く笑っていない。そして左手にはどこからもなく現れた竹刀が握られていた。もちろん、ひかりには補習をさせる義務などないが俊作たちのことを思ってのことである。



「頑張ってね、シュンちゃん。」



 言葉も短めに荷物をまとめる双子。



「もちろん美佳と梨佳も帰れないわよ。」



「えーと、私たちは帰…。」



 ひかりの竹刀が鈍く輝き双子を黙らせる。






 この後、日が暮れるまでスパルタ補習が行われたらしい。




2話は後半があるので随時更新します。

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