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花つける堤に座りて  作者: 蒲公英
花つける堤に座りて
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学校に訪れる―3

 文化祭のあと、後片付けをして友達とのんびり帰ったら、ひどく遅くなってしまった。今日は遅くなると先に言っておいたので、お咎めはナシ。帰ったら、もう夕食の時間だった。

 ひと目でわかる、前島サンの盛り付け。和の機嫌が悪いらしく、母は食卓の前で和を抱いたまま前島サンに指示を出している。

「助かった!着替えたら抱っこ代わって!徹君に任せといたらご飯にできない!」

 なんだかひどい言われようをしてるね。大急ぎで着替えて、和を受け取る。普段なら泣いても多少放っておいたりしちゃってるんだけど、前島サンはそれを嫌がる。でも和は機嫌が悪い時は、前島サンの抱っこじゃ気が済まないのだ。正真正銘、パパなのにね。


 和の機嫌が少し直って、ミルクを飲んでやっと眠ってくれたのは1時間後。おなかぺこぺこ。

「手毬、いい絵だったんだってねぇ。持って帰って来るの?」

 頑張って仕上げたけど、他の人と比べたら、かなり見劣りしてたと思うんだけど。

「ブックレビューも良かったよ。内容をきちんと把握してる感じだった」

 みゅうにもずいぶん手伝ってもらったもん。って言うか、前島サン、やっぱり図書室に行ったんだ。とても照れくさくて、少し嬉しい。

 前島手毬の父です。

 また、頭の中にその言葉が蘇ってきた。大丈夫。先生も友達も少し驚いてたけど、もう逃げない。


 中間考査は、文化祭の一週間後にはじまる。なんて忙しさなんだろう。学校のスケジュールってカコク。今年は文化祭の予定でズレたけど、本当はもっと前に終わる筈なんだって。自分の部屋で英単語をブツブツ暗記していたら、母に声を掛けられた。

「今日、徹君が遅いみたいだから、和を先にお風呂に入れちゃう。手伝ってくれない?」

 だって今、勉強してるのに。1学期の期末考査で落とした順位の挽回しようと思ってるのに。


 和は本当に可愛くて大切なんだけれど、ちょっと困る。暗記教科の勉強している時にリビングから泣き声が聞こえたり、本を読みたいと思っているときに、抱っこしててって預けられたり。自分の時間が圧迫されちゃう感じ。今までひとりっこだったから、そう思うんだろうか。

 そう言えば、みゅうの部屋は妹と一緒で大変だったもの。聡美には「ウザい」お兄さんがいるんだっけ。家の中に赤ちゃんがひとり増えただけで、人口密度がぐっと上がった気がする。



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