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花つける堤に座りて  作者: 蒲公英
花つける堤に座りて
20/55

抗えない変化―3

 生理が始まっても、別に急に大人になるわけじゃない。前島サンが知らないフリをしていてくれるので、翌日の朝はそれほど気まずくはなかった。ただ、下着をお風呂で洗濯するクセがついただけだ。今まで洗濯機に放り込むだけだったものは、お風呂で洗ったあとに私の部屋の中で小さなハンガーに吊るされるようになった。

 それだけが表面の変化らしい変化で、期末考査は少しだけ順位を落として終わった。

 

 運動部は3年生が引退しつつあり、逆に1年生が活気づいてきた。図書室の出窓から見える校庭で、聡美やみゅうが走り回っているのを見ると、いいなと思う。私もスポーツが楽しめるタイプなら、もっと違う何かができたんだろうな。

 スポーツが得意な子って、なんであんなに明るい性格に見えるんだろう。美術室で石膏デッサンしてるより、ずっと生き生きしてる気がする。

「私は文化部って頭良さげでいいなっていつも思うんだけど。何時間も絵なんて描いてられない」

 みゅうはそう言って笑った。私より、期末考査の順位は上だったクセに。

 

 夏休みの少し前、みゅうの家に遊びに行った。小学生の妹と一緒の部屋なの、と話には聞いていたけど、これって結構大変。一部屋に勉強机組み込みのロフトベッドが2台。それを除くと歩くスペースしかない。

「手毬はひとりっこだもんね。いいなあ」

 そう言われたら、ちょっと言ってみたくなった。

「私も兄弟、できるんだ。9月のおしまいくらいに」

 今まで、誰にも言わなかったんだけど、みゅうにだったら言ってもいい気になった。

「手毬が赤ちゃん抱っこするのって、想像つかない」

 

 みゅうの本棚から、読んでいない本を何冊か借りた。

「今度、手毬の家に行ってみたい。夏休みに遊びに行っていい?日曜日は部活ないし」

 日曜日は、前島サンが家にいる。でも、ここで断われない。

「うん、来て」

 前島サンが出かけてくれるのを祈ろう。

 


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