"姫巫女様復活祭"と顔合わせ
問題の"姫巫女様復活祭"が近づいてきた。
ギルマスから紹介状を渡されて、フェアベルゲン自治区に向かう。
フェアベルゲン自治区のすぐ横に車を停める。
(ツバキ・サオトメ)
えーっと……ここかな?
(門兵 熊人族 男)
そこで止まれ。
(ツバキ・サオトメ)
はい。
近づいてくる門兵の熊人族。
(門兵 熊人族 男装)
"異世界人"のツバキ・サオトメだな。
(ツバキ・サオトメ)
はい、そうです。
(門兵 熊人族)
こちらへどうぞ。
(ツバキ・サオトメ)
良いの?
(門兵 熊人族)
何がだ?
(ツバキ・サオトメ)
いや、その、ボディーチェックとか、身分証とか……
(門兵 熊人族)
"異世界人"のツバキ・サオトメの事は聞いている。
車で来て、その書類はギルマスからの紹介状だろ?
そんなモン、持って来るヤツはアンタしか居ねぇ〜よ。
(ツバキ・サオトメ)
そうですか……
(門兵 熊人族)
なぎさ様やセツナ様との顔合わせだろ?
皆んな期待してるぜ(ニヤリ)
(ツバキ・サオトメ)
帰って良いですか?
プレッシャーで地面のシミになりそうです(涙目)
(門兵 熊人族)
まぁ、そう言うなや、よっと(ニヤリ)
(ツバキ・サオトメ)
えっ?わぁ〜っ!!
(門兵 熊人族)
これで逃げられねぇ〜っと(ニヤリ)
(ツバキ・サオトメ)
降ろしてぇ〜!!
(門兵 熊人族)
わははははは(笑)
そのまま担がれて行ったツバキだった。
周りからは質問攻めにあった。
(狐人族 女)
"スマホ"は持ってるんです?
(ツバキ・サオトメ)
あ、はい、持ってます、これです。
(狼人族 女)
わぁ、私、初めて見ました。
これ、"神器"ですよね!(輝く目)
(ツバキ・サオトメ)
しっ、神器??
(鬼族 女)
そうですよ。
これで"異世界"の情報を取り、実現してくれたんですよ!
(ツバキ・サオトメ)
なるほど、こっちでも使えるのか!
それは便利だ。
(熊人族 女)
ここへは魔動車ですか?それとも魔動飛行船とか。
(ツバキ・サオトメ)
えーっと、車です。
魔動車かどうか分かりませんが。
"魔石"?っていうのを使わなくても動いたんです。
(狐人族 女)
それは凄い!是非見てみたいです!
(ツバキ・サオトメ)
良いですけど、今行って良いんですかね?
(狼人族 女)
行きましょう!いつ行くの!
(一同)
今でしょ!!
ゴン!
テーブルで頭を打つツバキ。
(ツバキ・サオトメ)
なぎささん達、なに広めてるんだよ!
熊人族に担がれて、ツバキの車のとこへ行く一同。
(猫人族 女)
なにこれ、可愛い!!
(熊人族 女)
私、乗れるかな?
(ツバキ・サオトメ)
あの、乗ってみます?
(一同)
みます!!
ツバキによる大試乗会が始まった。
(狐人族 女)
小さいのによく走る!
(猫人族 女)
シフトに色々あるのが面白い!
(ツバキ・サオトメ)
えっ?魔動車って無いの?
(狐人族 女)
魔動車は前進と後進、中立の3つです。
中立に入れてボタンを押せば、固定できます。
(ツバキ・サオトメ)
そうなんだ!
これは前進に2つ、後進に1つ、中立にこのPって書いてあるのが固定です。
二重固定に足場のこのペダルを踏みます。
それで完全固定です。
(猫人族 女)
へぇ〜!そうなんだ!
変わってるぅ〜!!
ワイワイ言いながら試乗会が終わる。
(鬼族 女)
見た目以上に中が広かったな。
(熊人族 女)
天井高くて私達でも乗れたよね!
(狼人族 男)
俺達も……
(ツバキ・サオトメ)
えぇぇぇっ!!!(嫌顔)
(狐人族 男)
いや、俺達も乗りてぇ〜よ!(涙目)
という事で、男達も乗せてあげたのだった(笑)
そんな事をしていると、"姫巫女様復活祭"の日がやって来た。
(族長 狐人族 男装)
ようこそお越しくださいました、姫巫女様、なぎさ様、セツナ様、ミケレ様、ナギサ・エトワール様。
(セツナ・テレシア)
今年もよろしくお願いします。
(セツナ)
皆さんに会えるのを楽しみにしていました。
(族長 狐人族 男装)
今年は"異世界からの転移者"がおります。
お会いしていただけますでしょうか?
(セツナ・テレシア)
もちろんです、どなたでしょうか?
(族長 狐人族 男装)
名はツバキ・サオトメと申します、さぁ、こちらへ。
(ツバキ・サオトメ)
初めまして、早乙女 椿、こちらではツバキ・サオトメと申します。
"ニホンのオオサカ"出身です、よろしくお願いします。
(セツナ)
"ニホンのオオサカ"出身!
(ナギサ・エトワール)
私達と同じだ!
(ツバキ・サオトメ)
ただ、"転移"なので、少々違うみたいです。
(セツナ・テレシア)
そうなのか?
【スキャン】
うーん、なるほどね。
でも"時空転移"があるんだ。
(ナギサ・エトワール)
"時空転移"って?
(セツナ)
えーっとね。
一度行った場所に自由に行き来できるスキルだって。
(ミケレ)
それは便利ね。
(セツナ・テレシア)
で、元の世界に戻る気はあるの?
(ツバキ・サオトメ)
うーん、分からないです。
特にこれといって不満は無かったですけど……せっかく異世界に来たんだから、異世界ライフを楽しみたいなと。
でも、ボク、何すれば良いです?
(セツナ・テレシア)
うーん……何すれば……
で、性別は男なんだ。
(ツバキ・サオトメ)
"転移"ですから元の世界のままですね。
見た目も変わっていません。
ギルドでは"不老"が無いと、転生者はキツいだろうって言われました。
(セツナ)
たしかに"不老"のスキルはないね。
(セツナ・テレシア)
それと、ボクは男から性別は自由に選べるようになった。
しかし、まぁ、ちょっとしたトラブルで胸が小さくならなくなったから、"ふたなり"か女でいる。
種族も変化できる。
(セツナ)
ボクは"ふたなり"だ。
それと、種族も変化できる。
(ナギサ・エトワール)
私は女ね、元の世界では男だったかな?忘れた。
で、セツナの嫁。
(ミケレ)
私も女でセツナの嫁よ。
ナギサとは違う世界のね。
(ナギサ・エトワール)
でも、今は皆んなで組んで色々やってるよね。
(ツバキ・サオトメ)
良いなぁ……
それに"ふたなり"には憧れる。
(セツナ・テレシア)
"ふたなり"になったら、元の世界には戻れないぞ?
(ツバキ・サオトメ)
性別が変えられれば……それに種族も変えられるのもロマンだよね。
(セツナ)
そこは同志だね(笑)
(ツバキ・サオトメ)
せっかくだから、ボクも何かやりたい。
手伝える事は無い?
(セツナ・テレシア)
手伝える事はあるけどなぁ……やってみる?
(ツバキ・サオトメ)
うん、やってみる!
せっかく異世界来たんだ、なんかしなくちゃ!
(セツナ・テレシア)
無理しなくていいよ。
それは鉄則だから守ってね。
(ツバキ・サオトメ)
うん、分かった。
(セツナ・テレシア)
それと"不老"なぁ……考えといて。
ボクらみたいに数百年生きることになるし、元の世界には帰れないよ。
(ツバキ・サオトメ)
あっ、そうか……まぁ、こっちの世界で充実するなら。
という事で"姫巫女様復活祭"が始まった。
(狐人族 少女)
姫巫女様ぁ〜!!
(シア)
のおぉぉぉっ!
(セツナ・テレシア)
いい加減、慣れろよ(ため息)
(シア)
そんな事言われても……教祖様。
(セツナ・テレシア)
ぐはぁぁぁっ!
もう数百年やってるんだろ?いい加減慣れたらどうだ?(笑)
"姫巫女様復活祭"は滞りなく行われる。
(ツバキ・サオトメ)
娯楽も充実している、凄いな。
屋台も美味しい。
(熊人族 男)
だろ、なぎさ様とセツナ様のおかげだ。
なぎさ様がベースを作り、セツナ様が個別にレベルアップした。
今なら焼き用、煮る用、生食用に分かれてる。
最適な調理法をすれば、ここまで味が出せるんだよ。
後、スイーツ用な。
"フェアベルゲンブランド"として人気も高いんだ。
(ツバキ・サオトメ)
凄いね!
(熊人族 男)
その代わり、"その開発、まさに死闘"と言われるぐらい過酷だったと言い伝えがある。
セツナ様なんか、身体吹き飛ばして一回死んでるって話だ。
そこまでして作り上げてくれたのがコレだ。
オレらにとっては"神"だよ。
(ツバキ・サオトメ)
そんなに!
凄い話を聞いたと同時に、自分にはできるだろうか?という不安が出てきた。
(ツバキ・サオトメ)
ボクも何か力になれる事はあるかな?……
(熊人族 男)
今から心配か?
そんなモンすんな!
その時、その時、出来る事すりゃあ良いんだよ。
アンタも異世界から来たんだって?
だからって気負う必要はない。
(ツバキ・サオトメ)
うん、ありがとう、頑張るよ。
(熊人族 男)
お前、魔動車レースってのに興味あるか?
あれになぎさ様らが出てるぞ。
貧民街の子供達を連れてな。
子供には夢を見せる、貧民街生まれだからって諦めんなってな。
炊き出しも勉強会もやってるって話だ。
参加すれば盛り上がってんぞ?
そういうのに参加して、子供達に夢見せるのも立派な仕事だ。
(ツバキ・サオトメ)
ここは大丈夫なの?
(熊人族 男)
ここか?
ここは大丈夫だな。
なぎさ様の作った学校や、ハイリヒの学校行ったりして帰って来たのが教えてるよ。
だからフェアベルゲンの識字率は約100%だ。
(ツバキ・サオトメ)
凄いね!
(熊人族 男)
ちなみに新生サタルニア魔女王国でも貧民街では識字率約100%な。
そっちで学んでくるヤツもいるぞ。
(ツバキ・サオトメ)
そうなんだ。
聞けば聞くほど凄すぎて何も言えない。
(熊人族 男)
もっと凄ぇ〜事、教えてやるよ。
なぎさ様達は一大事業をして儲けまくっている。
そりゃもう、国家予算もびっくりのな。
それを湯水のように貧民や低所得者の勉強会と学校設立による教育の無償化、治癒院への資金提供での治療費引き下げ、入院できる病院、終の住処になる老人院の設立と資金提供による低価格化をやっている。
看病や介護で人生諦めなくて良いように、収入に応じて無理のない負担額でな。
それと孤児院への寄付と勉強会、炊き出しと惜しげもなく使ってんだよ。
それに同じく一大事業をしているセツナ様、ナギサ・エトワール様が追従して資金提供して協力してる。
貧民が安心して勉強できるのは毎日の炊き出しで食が保証されてるからだ。
ハイリヒはなぎさ様の子孫が統治している。
やはりなぎさ様の血筋だけあって、国を挙げて取り組んでるよ。
オレらも負けてらんねぇ、族長が頑張ってるぜ。
でも手に負えない時は必ず助けに来てくれる。
それだけに、日々精進しねぇ〜とな。
(ツバキ・サオトメ)
・・・。
あまりに壮大な話に言葉を失うツバキ。
自分には何ができる?
必死に考えるのであった。




