それは…
バイトが終わって、一度家で整理することにした。
まず、松木くんって人が三人…
いや、友梨奈の彼氏の苗字は…
…
なんだっけ?
彼氏たんって言ってたような…
あれ?
友梨奈の彼氏の苗字…知らないかも?
でも…
何度もしつこく聞くのもあれだよな…
そもそも、何人兄弟なの?とか、住んでる所とか、そんなのいきなり聞いてきたら、どうしたの?ってなるよね…
まさか、いとこの彼氏が友梨奈の彼氏に激似だから、気になってるなんて言えない…。
いとこ同様、友梨奈と彼氏が喧嘩してしまう可能性がある。
どうしたらいいのだろう…
まずは…バイト先の松木くんと仲良くなって、詮索してみたいところだけど…
オレに近づくな感…強いんだよなぁ。
友梨奈の彼氏なら、なんでも教えるよ〜ん的なキャラなんだけどな…。
…
困った挙句に、いい案も浮かびませんでした。
そして朝から駅でぼーっとしながら電車を待っていると、
「おはよー」
と、聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
振り向くと、やっぱりだった。
「友梨奈、おはよう」
「おはよ」
友梨奈だ。
「昨日、やたら松木くんのこと聞いてきたけど、どうかしたの?」
⁉︎
「えっ、あー…ううん。特には…」
「そ?ならいいけど」
…
今さ…
松木くんって言わなかった⁉︎
松木くんって…苗字なんだ⁉︎
「あの…友梨奈の彼氏は、松木くんなんだよね?」
「えっとー…、それがぁ…」
友梨奈は、チラッとオレの少し後ろの方をみたかと思うと、
「あー、彼氏ねー。うん、いるよー」
と、声を張った。
そして、そのあと
「後で詳しく話すね」
と、耳打ちしてきた。
…
詳しくってことは…
やっぱり松木くんって…
その日は、授業の合間にちょいちょい松木くんのことを考えていて、あまり集中できなかった。
そして、バイトへと向かった。
友梨奈が詳しく話してくれるって言っていたが、ちょうどバイトの休憩室で松木くんと遭遇したから、ここはまだ勤務中ではないし、思い切って聞いてみることにした。
「あの、松木くんって…松木くんのこと知ってる?」
と、意味のわからないなぞなぞみたいな質問をしてしまった。
すると松木くんは、
「あ、〇〇町っていう隣町のやつだろ?オレは、面識ないし興味もない」
と、スッパリと言われてしまった。
…
おぉ…これは意外と一歩前進したんじゃね⁉︎
三つ子説は、違ったってことだよな。
しかも、この三人は似てるけど…
面識ないって言ってたし、ただ似てて別人ってことなのかもしれない。
疑ってごめんなさいだ。
てことで、謝罪しつつバイトに励んだ。
気を取り直して、元気よく
「いらっしゃいませー」
した。
もう、いらっしゃいませ攻略済みです‼︎
てか…
「えっ⁉︎友梨奈⁉︎」
「あー、ごめん。邪魔しにきたわけじゃないよ?松木くんにお届け物をね」
「えっ⁉︎」
なんで、、
なんで…なんで友梨奈が?
…
そもそも、友梨奈の彼氏って…
「携帯、わたし持ちっぱなしだった。じゃ、バイト邪魔しちゃうから帰るねー。二人とも頑張ってねー」
「サンキューな」
「はーい」
友梨奈は、手を振り帰って行った。
…
やっぱりキャラが…
友梨奈の彼氏なら、
(わぁ〜、ありがとうねぇ〜)
とか言うはずなんよね?
それなのに、バイトの松木くんは…
松木くんは、とってもクールボーイですね?
これは…
…
気になるけど、バイト中だし聞けない‼︎
喋らないで、早口言葉やってみてって言われたくらい難しいし、もどかしいですっ‼︎
続く。




