9.家族会議
「マリお助様。旦那様方がお呼びでございます」
「お父様が?分かりました、今向かいます」
「お父様、参りました」
「入りなさい」
書斎には母と姉も呼ばれたのか、すでに長椅子に座っている。
姉の向かいのソファに腰掛けると書斎机の向こうから父が声を掛けてきた。
「就寝前にすまないね。体の具合はどう?」
「大丈夫です。ところでご用件は」
父は一枚の紙を佐藤に渡すと、私に預けてきた。
「マリ宛の手紙だ。事情があって先にみなで読ませてもらった。悪く思わないで欲しい。まあ、読んでごらん」
「はい」
大ぶりな文字が目に映るが、意味が分からない。今までこんな手紙は見たことがない。
「とても情熱的でしょう」
「それは感じたけど中身がね」
「私は、後半は商品の仕様書かと思ったよ」
皆が好きずきに感想を言っているが、よく分からない。
「コレは、誰から?」
「学校で噂になってる彼からよ」
姉が教えてくれた。
「私から、お嬢様にも事情のご説明を差し上げてもよろしいでしょうか」
「頼む」
佐藤から話を聞き、あいつかと思った。学校では飽き足らず家にまで。どうしてやろうかと腹が立ってきた。
「それでね、マリちゃん。きちんとお返事を出した方が良いと思うのよ」
「こういう人は根深いからね。きちんと縁を切らないと、後々面倒だよ」
「それもあるけど、佐藤さんから聞いたところ悪い子じゃないようだし。そもそもマリちゃんはどうしたいのかしら」
「破ってやりたいです」
「あらあら」
「無視するとこじらせるよ?」
昨日今朝見かけただけの男をどう扱えと?
ため息をつきつつ、母や、姉のいうことも理解は出来る。
「とりあえず、お返事を差し上げます。そして、手紙だけのやり取りだけとしてうまく縁を切らせて頂きます」
「うむ、慎重に。佐藤もしっかり見てやってくれ」
「早速明日お渡しする手紙を書いて参りますが、お読みになりますか?」
「いや、そこは心配していない」
「彼からのお手紙は読みたいわね」
「私も」
書斎を辞して自室に向かう。とりあえず手紙だけにとどめなければ。




