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8.決行
「マリお嬢様。昨日の男達がまた校門前におりますが」
「昨日と同じようにしてちょうだい」
「かしこまりました」
開いてもらったドアから降りると、少年達はそのままこちらを眺めつつも、何もしてこなかった。
昨日のことが知れ渡っているのか、女子達がまた騒ぎ出す。
「あの、すいません」
「はい?昨日も申し上げた通り、お嬢様は迷惑しておいでです。お控え頂ければと存じますが」
「いえ、あの。この手紙を渡していただけませんでしょうか」
「私がでございますか」
「はい。昨日は大変失礼なことしたと反省しまして。こちらのことも何も分からないわけですし。」
「お嬢様にお渡しする前に見せて頂いても?」
「大丈夫です。お願いします。」
男は手紙を開くと一枚の便せんを取り出した。
「お嬢様にお見せする前に旦那様や、奥様にお見せしても?」
「よろしくお願いします。明日また、来ます。返事待ってますとお伝えください」
「お預かりは致しますが、他の皆様にもご迷惑になるようなことはお控え頂ければ」
「明日だけでも、お願いします」
「お伝えはしておきます」
男は運転席に座り、ゆっくりと車を進めていく。
バックミラーには頭を下げてこちらを見送る少年が映っている。
軽く息を吐きつつも車はいつもの道を進む。




