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33.密約
「珍しいな、カズから誘ってくるなんてよ」
いつもの喫茶店、ゴールデンウィークの最終日の昼過ぎ。少し悩んだがホットコーヒーを頼み席に着く。
「なぁ」
「ん?」
「真面目な頼み事なんだが、いいか」
「か…」金ならないぞと言いかけてやめた。
「あのな、俺は、あいつを見てられねえよ。可哀想でよ。
だからあいつといるのが辛くなって、最近電話もしてないんだ。
すまん、それはいいんだ。
でも、ずっとあいつの横で支えてやりたいんだよ。
それで、なんかいい手はないか?って考えて。
俺は、馬鹿だし、金もない。
受験勉強だって、1人じゃとっくに諦めてる。
でも
なんか、俺にできることはないかって考えて」
こんな時大人はタバコを吸うんだろうな。グスグス泣くカズを見て思う。
いつものウェイトレスが静かにコーヒーを置いていく。
啜りつつ、カズが泣き止むまで様子を見ていた。
「で、頼みって?」
涙を拭くこともなく顔をあげ、俺の目をじっと見つめてくる。
「一緒にバンドしていてくれ。大学も必ず受かるから。ずっと。あいつも一緒に」
「……当たり前だ」
「いいのか?」
「何度も言わせるな」
「ありがとう」
また泣く。
「まずは、あのバカを部屋から引き摺り出すぞ。明日朝手伝え」
「うん、わかった。…なぁケン」
「んん?」
「なんで、お前泣いてんの」




