3.パワーランチの会
「Gさん、皆さんお待ちかねですよ。どうぞあちらの席に」
主催のジジイが座席を示す。
「あら、遅かったわねぇ。皆さん心配してたんですよ。自転車で転けてるんじゃないかって」
あのババアの隣かよ。
今朝のやりとりで十分だがしょうがない。
「部屋を片付けていましたら、うっかり遅くなってしまいまして。ご心配をおかけしましたようですみません」
隣のババアだけでなく周りの連中も「いえいえ」「そんなこと」などそつのない返事を返してくれた。
「では、皆さんお揃いですのでパワーランチの会を始めさせていただきます。」
主催のジジイの挨拶を皮切りに料理が並べられていく。
「まぁ!」「綺麗!」「美味しそう」などあちこちから聞こえてくる。
そりゃ自炊でこんな盛り付けにこだわらねえもんよ、と、思いつつも見た目でこうもうまそうに見えるのかと感心する。自分では絶対しないが。
主催のジジイは顔が効くのか、少ない予算でこれだけ楽しませてくれる。
準備に告知に当日の切り盛りと、こういう事が好きなのかねぇ。
いいやつだ。
デザートも済めばコーヒー、紅茶その他ジュースなどを飲みつつ四方山話。
ここからが苦行だ。
適当に話を合わせていると
「あら、この曲懐かしいわぁ」
と、ババアがつぶやいた。
「本当ねえ」「カラオケでよく歌いましたよ」「当時の定番でしたよねぇ」
「好きな子の前で歌ったりしましたよ」「ヤダァ」
年寄り達が往年を懐かしみながら話している。
老爺は会話に混ざるでもなく、笑顔でいた。




