29.導火線
「お招きありがとうございます」
「お邪魔します」
「あらあら、いらっしゃい。お祭り行きたかったんじゃない?ごめんなさいね」
「浴衣、親父のおさがりしかなくて」
「素敵ね。似合ってるわよ」
「いらっしゃい。花火までまだ時間あるから、庭でバーベキュー始めよう」
「いらっしゃい。いつも娘と妻がお世話になっているようで」
「こちらこそ、よくしていただいています」
「いらっしゃい。ようこそおいで下さいました」
「うわ!綺麗~。それに、その髪型どうすんの。教えてもらえる」
どうして女子はこんなにポンポンしゃべれるんだ。すでに遠慮もなく姉妹、母と一緒に庭に向かっている。
すげーなと感心していると、父親がこちらを見ていた。
「君がG君だね。娘から聞いているよ。いつも冷静な娘が君のことになるとムキになってね。あんな姿は初めて見る。これからも節度ある交際をよろしくお願いするね」
「はい!よろしくお願いします」
私たちも行こうか、と、誘われ4人で庭へ。高台にある庭からは打ち上げ地点の河原が一望できた。
庭にはテーブルとイス、バーベキューコンロが並べられていた。
「バーベキューって自分で焼くもんじゃないのか?」
「普通はそうだと思う」
「なぜコンロ前にコックさんが?」
窓際のテーブルには夫婦の席が並んで置かれ、コンロに近い大きなテーブルに子供用の椅子がぐるりと並べられていた。
「あたしお肉食べたーい。みんなもお肉でいい」
「はい、お願いします」
「海鮮も野菜もあるから、何でも好きなの言ってね。飲み物どうする?」
「俺らの肉殻でお願いします。飲み物はコーラで」
シオリさんが仕切ってくれるので正直助かる。彼女は野菜から食べるようだ。
「なあ」
「ん?」
「紙皿じゃないんだが。いくらすると思う」
「割らないように気をつけろ」
「それより食え。すげえうまい」
「良かった。どんどん食べてね」
「おいしいです」「ね~」
女ってすげえな。肝の座り方が違う。普段あんな上品に食ってねえだろ。
カズ、お前はもう少し気を遣え。
「それは、ギター?」
「あ!はい。ライブに来れないと聞いたので。演奏できればと思って」
「うれしい!マリちゃんよかったね」
「…はい」
「もう、照れちゃって。良かったじゃん。生演奏だよ」
「お姉さま!」
「食事の後に聞かせてもらっていい?」
「はい、頑張ります」




