27.花火
「すごく綺麗ねえ。」
「あぁ...。いえ。そうですね」
公民館の屋上には白いテーブルと椅子が並べられ、老人達が花火を鑑賞している。仕出し弁当と、軽いおつまみ、ソフトドリンクにビール、日本酒が各テーブルに並べられている。
「毎年こうして花火を見てるのよ。子供や孫達が帰ってきているときには、ご一緒させてもらったり。結構穴場でしょう」
「はい。とてもよく見えて...いいもんですね」
一つ、また一つと打ち上がりそのたびに歓声が聞こえ、遠くのアナウンスが響いてくる。
「『歳をとると、毎日が単調になっちゃって、いつの間にか日が経っちゃうから、なんだかんだイベントをして楽しまなきゃボケちゃうよ』って、会長さんが張り切っててね。いろいろ多いでしょう、この町会」
「そんなふうに考えてらっしゃったんですか?」
「もともと、お医者さんらしいわ」
「心強いですね」
花火は一斉に打ち上がり、夜空を染める。
遠く近くで拍手が聞こえ、アナウンスが終了を告げている。
「これでおしまいね。湖の方はもっと派手らしいけども、ここのもいいものでしょう?」
「ええ、充分ですね。と、なにか飲まれますか?」
「せっかくだからビールを注いでいただこうかしら」
「じゃあ、クーラーボックスのやつを取ってきましょう。皆さんも何かご希望のものがあれば一緒に持ってきましょうか」
テーブルごとに歓談、食事が再開され、空いた弁当箱を回収するもの、お菓子を配るもの、老人達の夏の夜はもうしばらく続いていくようであった。




