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25.内省
変わらず彼からの手紙が送られてくる。
変わらず私の返事がうれしいようだ。
私が書くのは大した内容ではない。彼の手紙への感想程度。
私の何が彼を引き付けているのかわからない。
目立たず過ごそうと決めているのに。
期限の明らかな人生で出来るだけ人の記憶に残らないように気を付けていた。
優しい家族に傷を残さないように空気のように過ごしてきた。
「マリちゃん。もうすぐ皆さんがいらっしゃるけどお着換えできているかしら」
「はい、先ほど済ませました」
「あら!よく似合ってるわね」
「お母さま。なぜ浴衣に着替える必要があるんでしょうか」
「いいじゃん!似合ってるよ」
「お姉さままで」
「いいでしょう~。せっかくだから写真撮ろうよ」
「そうね、そうしましょう」
「お父様も読んで一緒に撮ろう」
「じゃあバルコニーで」とバタバタと姉が父を呼びに行く。
父まで浴衣だった。




