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23.動転
「なぜ彼らがここに?」
「誘ってきてもらっちゃった。海岸沿いで見かけたからさあ」
「彼女たちは?」
「一緒に遊びに来てるんだって。だから全員誘っちゃった」
「良いじゃない、もう来ていただいたんだし」
海岸近くの別荘で過ごす毎年夏の恒例行事。父親は数日後に合流予定。移動中に姉が手を振る彼らを見つけたのだそうだ。それからは何が何やら、姉と母が曲を聴きながら彼らと話し、ライブのことや学生生活について彼ら彼女らと楽しく過ごしていた。たまに彼女たちからの視線を感じたが、この状況をどう受け止めて良いか分からないまま、食事を済ませ、バタバタと就寝となった。
彼を目の端に意識しながらも、まっすぐ見つめることは出来なかった。彼の視線など感じようもなかった。
「全然話さずじゃん」
「またの機会に、期待しましょう」
「何をですか?」
翌日朝食後、彼らは佐藤に駅まで送られていった。
見送りつつ、手を振る母と姉を見やり溜息をつく。
翌日父も合流し、例年通りの夏を過ごすこととなった。
しかし、話題は彼らのことが多く、父は楽しそうに聞きながら私に尋ねた。
「ライブに行きたいかい」
「結構です!」




