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21.浜辺
「あの筏まで競争だ」
「よっしゃあ!」
県境を越えた海岸には、すでにパラソルやシートが雑然と並び、海の家でも準備が始まっている。夏休みということで子供連れの家族が多く見られたが土日に比べればかなり空いている。
護岸道路下の浜辺は岬まで続いているが、一室を借りた海の家、水際などを考慮して陣取った。公共交通機関に頼っているため日帰りの強行日程だが、少年少女達には補って余りある体力があった。
「はしゃいでるねぇ」
「楽しそうだね」
「あたし達も行こうか」
浮き輪を抱えた2人がまだ熱を持たない砂に足を埋めつつ、水際に走り出す。
南国風のBGMが流れ、真上に登った太陽が照りつける頃、何度目かの筏上での甲羅干し。
「あの車...、間違いない」
「何?」
突然少年の1人が海に飛び込むと、釣られて2人も水しぶきを上げた。
「あいつら何してるんだろうね?水着の女子高生をほったらかしてさ」
「照れてるんじゃないですか?」
「そう?」
「チラチラ見てましたよ」
「ほほーう。じゃぁまぁ、許してやりましょうか。て、なんか手を振ってるし?」
「なんでしょうね」




