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俺、中2だけど感情がない

作者: ニトラー

俺、中2だけど感情がない。よくひねくれてるとか、中二病とか言われるが、特に何も感じない。とにかく感情を動かされるということがない。なんでそんな風になったのかと聞かれたら、一概に理由を答えることができない。仕事を失った父さんがギャンブルや酒に溺れ、それが原因で離婚したことか、その後俺は母さんについていったが、日に日に母さんが家に帰って来る時間が遅くなって、ほとんど母さんと喋ることがなくなったことか、ある日、俺の母さんが知らない男の人と出かけたっきり家に帰って来なかったことか、その後親戚の家をたらい回しにされたが、どの親戚にも煙たがられてしまったことか。何にせよ、俺の周りでいろいろなことが起きすぎて現実に自覚を持てなくなってしまった。


今は朝のHR前の時間。クラスの男子がうるさそうに笑いながら喋っている。いったい何がそんなに楽しいんだ。そう思っていると、先生が入ってきた。自然と生徒たちが席につく。

「みんなおはよう。今日はいいニュースがあるぞ!うちのクラスに新たな仲間が入ることになったんだ!入ってきていいぞ!」

先生が元気そうに言い、生徒たちは盛り上がる。(ふん転校生か、なんで転校生ごときでそんな喜ぶんだ。どうせ中学を卒業したらいつかは会わなくなるのに。俺の家族みたいにな。)そんなことを考えていると、転校生がクラスに入ってきた。それを見て俺はドキッした。サラリとした長い前髪、制服がよく似合うスラッとした体型、まだあどけなさが残る顔。俺は彼女に釘付けにされた。

「はじめまして!星野あおいです!みんな仲良くしてね!」

クラスで拍手が起きる。そして先生は咳払いをして、

「みんな、星野と仲良くするように。席は...おっ氷山の隣が空いてるな。星野、氷山の隣に座ってくれ。氷山、星野のこと頼むぞ。」

「はっはい。」

俺は情けない声で返事をした。そして星野が俺の隣の席に座った。

「じゃあHR始めるぞ」

先生が連絡を始めてく。俺の鼓動の高鳴りはまだ収まらない。冷静さを取り戻そうと先生の話を集中して聞く。そしてHRが終わり俺は、1時間目の授業の用意をしようとすると左肩をとんとん、と叩かれた。俺が振り向くと星野が

「氷山くん...だっけ。私ここらへん来るの初めてで...周りのこと全然わからないから...色々教えてくれるとうれしいな!これからよろしくね!」

とにこっと笑いかけてきた。

...どうやら俺はひさしぶりに感情を取り戻させられてしまったらしい。

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