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海の少年の物語

作者: 石川政次

エメラルド色に揺れる海に

少年はダイブする

太陽に恋した季節

焦げた肌をした少年は飛び込む


少年は世界に忘れられた場所にある島に住んでいる

少年は孤独である

家族は気づけばいない

父は偉大な漁師だったらしい

イルカと島の漁師が数少ない友達


この島には伝説がある

「15歳になった年の夏に海の底へとつけば

 宝物が得られる」


海は深い

今の島には、底に到達したものはいない

少年は孤独の身だったため

命を惜しいと思わず

飛び込む


少年は今年で15歳

慣れた泳ぎ方

幼馴染である魚やイルカたち

光の粒の飾り付け

彼は深みを目指す


どれくらいたったろう

彼の身体にまとわりつく光も徐々に薄れ

魚たちもいなくなる

息が苦しくなる

「どうでもいい」

彼は更に深みを目指す


いよいよ

少年の身体が悲鳴を上げだす頃

海の底とは思えない異様な輝きに

彼の身は包まれる


気づけば少年は

ある部屋にいた

部屋一面には壁画がある

彼は壁画を人類の歴史だと直感する

彼の中で走馬灯のようにこの何万年

人類の営みが流れる

彼の目からは涙が流れる


気づけば目の前には

同年代の少年がいた

彼は語る

「生きろ。人類の営みを絶やすことなかれ」

なぜだか感じたことを気づけば口走る

「お父さん?」

その問いの答えは返ってこない


次の瞬間

彼と海が一体となっていた

人類を育んできた母であり父なる愛を感じる

美しいこの地球と人類を抱きしめる


彼は仲の良い漁師の家のベッドで目覚める

浜辺に打ち上げられ

眠っていたらしい

彼は窓から海を眺める

「生きねばならぬ。ただ生きねばならぬ。」

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