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この恋は誰も知らない  作者: 花車
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想い合い

4章 想い合い

朝目覚める。鳥の声がする。目覚ましか。意識がちゃんとしてきたころ、君からのメールに気が付いた。何通も来ていてどれも近しい内容のもの。『月が奇麗ですね。』その短文に込められた思いを私は知りもしなかった。体が重く気怠い。なんだろうこの感覚。視界がゆがんでいて歩きづらい。でも行かなきゃ。雫に会うために。私は必死の思いで重い体を動かした。

おはよう。の声すら出なかった。君と合流したのは校門の前。君は少し不安そうな顔をしながら私を見つめた。「体調悪いでしょ。」君の図星の言葉に声が出ない。そのまま俯く私に君はため息をついて私の腕をつかむ。「いくよ。」そう言って教室とは逆方向へ進む。君は私を負ぶって階段を上り始めて屋上へ行く。君は屋上に着くなり、私を下ろして寝転ばせる。私は意識が朦朧としながらも頭を君の膝の上に置いた。そこで意識はなくなった。目を覚ましたのはそれから30分後だった。

目を覚す。君は本を読んでいた。私が起きたのを確認してにこっと笑う。「起きた?気分どう?」そう私に問いかける。さっきよりはましになった。そういうと君は良かったと溢すように言った。君は続けて、「帰ろう。ね?」そういう君に私は頷くことしかできなかった。さっきよりはましになったがまだ気怠さがある。君の言った通り帰ろう。そう思って立ち上がろうとする。視界がゆがむ。私は再び倒れてしまった。

再び目を覚ますと、次は建物の中にいた。白い天井。私の家みたいだ。え。いや。そんなわけ。と勢いよく起き上がる。頭がづきづきと痛む。立てないほどしんどい。音がした。台所の方からだ。私は声を出す。「し...ずく?」何故か疑問形になってしまった言葉にそこにいた人は反応した。「目覚めた?40度もあるのによく学校来ようとしたよね。馬鹿。」返事に困った。40度もあったんだ。足音が近づいて来る。ドアを開け、小さい鍋を持つ君の姿があった。「食欲ある?食べる?」私は頷いてお粥を食べる。いただきます。欠かせず言った言葉に君はどうぞ。と返事をした。ホッとする味。お粥だけど、鶏がらを使っていて、雑炊みたいな感じ。君は私の顔を見つめる。美味しい。と言葉を零すと君はほっとしたような顔をする。良かった。そう言って君は部屋を出ようとする。私は君の服をつかんで「行かないで。」と口にした。「あ、ごめん。」と続けて言うと君は私に抱き着いて耳元で囁く。「大丈夫。どこにも行かないよ。私は流華が好きだから、もうどっかに逝こうとか思わないから。傍に居るから。大丈夫。」そう言っていっそう強く抱きしめる。私は目に涙をにじませながら、ただただ君を抱きしめた。「私も好きだよ。離れたくない。」そういうと君は私の口に口づけをした。口の中に何か入る。薬だ。カプセル型の薬を口移しで入れられた。君はそれを飲めと言わんばかりに見てくる。私は必死に飲み込んだ。薬なんて嫌な思い出しかない。君は私の口に指を入れ飲み込んだことを確認して、接吻をした。おやすみ。君はそう言って部屋を出ていった。私はそのまま寝ころび深い眠りについた。

朝のアラームが鳴る。起き上がり部屋をそっと出る。1LDKの私の部屋。狭いリビングに雫がいる。そっと起こさないように近づいた。あれは夢じゃなかったんだ。雫が看病してくれたのも全部。じゃぁ私が言ったあの言葉も本人に言っていたのか。を気付いたころには顔はまた熱くなっていた。その時君が起きた。おはよう。とあくびをしながら君は言う。君は私に抱き着いて調子どう。と聞いてくる。私は少し元気と答えた。君は言う。「今日から夏休みだけど。どうする?」私は自信満々に答えた。「雫とちゃんと恋愛する。」そう言うと君は優しい顔で微笑んだ。「夏休みの間同棲しよう。」私の強い眼差しに負けたのか君は小さい子犬みたいな目をして、する。と答えた。

私たちの人生がこのひと夏で終わることなんて知らずにー。

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