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この恋は誰も知らない  作者: 花車
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心中

3章 存在価値

『やっほ。明日映画でも行きませんか?』その一文は昨日私と初めての接吻をした人からの連絡だった。映画か。と少し面倒だなと思う反面、君から連絡が来たのが嬉しい気持ちもある。私は少し考えて、行く。と返事を送る。するとすぐに既読がつき返事が来る。『了解。楽しみ。』君も楽しみなんだな。と少し笑みがこぼれた。私はすぐさま紺に連絡を入れる。『紺。明日デート行くんだけど、どんな服を着ればいいかな。』そう打ったが、紺に恋人が出来たこと、どうやって出来たのか説明するのが面倒だったため、全部消して書き直した。『紺。今から行ってもいい?』そう打って返事を待つ。案外既読がつくのが早く、もちろん。と返事が来たため、すぐ出かける準備をして、家を飛び出した。

紺がドアから飛び出してきた。どうしたのと心配そうに私を見つめた。「私に似合う可愛い服選んでください。」そういうと少し安堵した顔をして言った。「なんだそんなことか。いいよ全然。でもなんで急に?」紺は不思議そうな顔をしていた。「明日友達と映画に行くの。だから可愛い服の方がいいかなって。」そう曖昧な言い方をしたが紺は納得して、私に似合う服を貸してくれた。服を選んでいる最中、紺は少しにやにやしながら私のことを見ていた。紺は何かを察したのだろうか。探らないでいて欲しい。私の恋は皆にとって普通じゃない。否定されるかもしれない。変だと拒絶されるかもしれない。少し怯えていた私だったが、紺のことだから探らないだろうと思った。案の定紺は探りなんか入れずに素直に私に服を貸して、明日はいい日になるといいねと言ってくれた。お返しはなんかおごってよね。とも。私はその紺の気持ちを裏切らないように明日へ備えた。

朝の8時。目を覚ますとお気に入りのバンドの歌が目覚まし代わりに流れている。私はそれを止めて、起き上がった。集合は10時それまで結構な時間があった。呑気に準備しつつ、君に連絡を入れる。『おはよう。起きましたか?』私がそう連絡した。君は前に早起きが苦手だと言っていた。だから起きてなかったら嫌だなと思って。でもすぐに返事が来る。『馬鹿。起きてないわけないじゃん。どのぐらい楽しみにしてたと思ってんの。』と少し切れ気味な文が返ってくる。気に触れたかな。そう思いつつも私は返事をする。『駅集合でいいんだよね?』そう聞くと君は犬の頷くスタンプを送ってきた。私はワクワクしながら、朝ご飯を食べる。いつもより、少しおいしく感じるのは私の勘違いだろうか。ここまで気が抜けているのは初めてかもしれないなんて思っていたら。スマホが動いた。君からのメッセージかなとスマホを手に取る。違かった。紺からのメッセージ。『ん。おはよう。今日デートなんでしょ。どこ行くの?』内容を見た瞬間、呆れてため息が出た。紺も探ったりするんだ。少し紺を信用できなくなった自分がいた。それくらいでって思われるのかもしれない。今の言葉を使えば一番“地雷”と言った方が正しいのかな。私の気に触ったのだ。私は既読無視をした。

君と駅で合流して、映画館へと向かった。向かう道中、電車は人が多くて人の波に飲み込まれてしまうのではないかと心配したが、君が私の手を強く握り離れないようにしてくれたり、電車内でも痴漢されないように私を庇ってくれるかのように立ってくれていた。自意識過剰なのかもしれないが、その行動一つ一つに意識を持ってしまう。君はこんなことを私が考えているなんて思ってもいないんだろうな。と映画館内のトイレの中で思っていた。私は手を洗ってトイレを出る。君は持ちにくそうにポップコーンを腕に抱えて両手には飲み物を持っていた。私はすぐさま駆けつけて荷物を受け取る。君は遅いと言いながら渡してくれた。入場時間になり映画館に入る。席に座って数分で映画が始まった。それまではおなじみの広告を見て懐かしいな。と思いながら眺めていた。今回見る映画は君が好きだと言っていた小説が映画化したものだった。内容はまるで今の私たちを題材にした物語で、主人公とある女の子が付き合うただの恋愛。そう思っていた。でも違っていた。私はこの映画を見る前に小説を読んできた。君が勧めてくれたから。続きを言うと、彼女たちは最後に心中する。なぜなら、周りが彼女たちの恋を認めなかったからだ。親からの心配や嫌な顔をされて、学校では悪口を言われる。SNSでは彼女たちを叩くコメントで埋め尽くされていた。そんな世界で生きられないと思った彼女たちは、親にクラスメイトに世界にさようならを告げて去った。最悪なことに一番死にたがっていた主人公は上手く死ねずに生きてしまう。一緒に死のうとしていたのに、自分だけ生きてしまった。という強い後悔と自分への憎しみにより自殺を図った。今度の自殺は成功し、上手く死ねた。そんなどす黒い人間の闇が濃厚に描かれた映画を観た。でもなぜか目が離せなかった。私たちも君の生きる意味が見つからなかったら心中するのかな。そんな馬鹿な考えが頭をよぎった。そしてエンドロールに差し掛かったとき、ふと君の方に目をやると君は唇を噛み締めながらエンドロールを眺めていた。私はその横顔をエンドロールが終わるまで見続けた。

楽しかった。そう君に連絡をする。映画の後君とは濃厚なことはなくただただお昼食べて、買い物をしただけだった。私はお風呂に入って夜ご飯を食べ終わったところだった。時刻は10時。もうこんな時間か。明日は終業式。君と次会えるのはいつなんだろう。そんな不安を抱えながら誰もいない部屋にある写真立てに声をかける。「おやすみお母さん」そして私は眠りについた。君からの返事に気づかないで。

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