表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この恋は誰も知らない  作者: 花車
3/8

君に救われて

二章 君に救われて

蒸し暑い夏が始まって半月が経った。もう7月半ばか。ギラギラと太陽が私を照らす。太陽に馬鹿。と伝え学校の屋上へと行く。先客がいるみたい。ドアが開いている。その隙間から覗いてみると見たことがある子がいる。去年同じクラスだった...確か名前は...安西、安西 雫だ。私は息を殺して彼女の行動を見ていた。彼女はカーディガンを脱ぎフェンスを越える。半そでのシャツから包帯のようなものがはみ出している。私は止めよう。と思う前に体が動いていた。「やめなよ!今死んでも意味ないよ。」そんな量産型な言葉を吐く。彼女は振り返って潤った目を私に見せた。そして口を開く「あんたにわかるものか!私がどれほど苦しかったか!私がどれほど辛かったか!」私は彼女の言葉を聞いて、怒りと何かわからない感情が入り混じった。「私にはわからないよ。あんたのことも気持ちも。でも、人が苦しそうな顔をして墜ちようとしているのを見て見ぬ振りできるわけがない!」そのまま続けて言う。「あんたが墜ちるって言うなら私も墜ちる。それならいいでしょ。」自分でも馬鹿げたこと言ったなって思ったけど口に出したことはもう取り返せないからと理解できたとき、「私はー。」と彼女は言った。「死んでもいいでしょ?私が死んでも世界は変わらないでしょ?なら死んでもいいじゃん。それにあんたも死ぬとか馬鹿なこと言わないでよ。」私は何かが切れた音がした。「あんたが死んでも何も変わらないとか言うけど、私の人生は変わる。ここであんたが墜ちたら私は一生後悔する。人一人助けられない人間なんだって。だからどうにかしてあんたが死なない道を探したい。ーねぇ、もう少し死ぬの後にしない?私にもう少しあんたのこと教えてよ。」は?意味わかんない。と彼女は言った。私も自分が何言ってんのかわかんないよ。でも誰も死なせたくない。それ以上に私は彼女に変な感情が芽生えている気がする。でも私はその感情を無視して彼女に近づいた。彼女はフェンスの内側に身を寄せた。彼女はどんどん私に近づいてくる。さっきまで険しい顔をしていた彼女が急に驚いた顔をしていた。「私、あんたのこと気になるかも。」私は無意識に言った。心の声が漏れた。彼女は驚いた顔から少し優しい表情になって、私もあんたのこと気になる。と言ってニコッっと笑った。彼女のその顔は私の頭の中を飽和した。

君が死のうとしていた日から数日が経った。君はあの日のことはなかったかのように過ごしているように見えた。君は毎日学校へ来ては私に話しかけてくるようになった。でも前見せた笑顔はそれ以降見せては来なかった。君が誰もいないところでカーディガンを脱ぐのを見ているが、日に日に包帯の面積が増えている気がした。私は彼女に手をつかんで「それって。自分でやってるの?」私の主語のない質問に君はちゃんと答えてくれた。やり始めたのは小学生の時で何か明確な理由はなくて、爪でひっかくのが始まりだったらしい。時間が経つごとに爪だけじゃ気が済まなくなって、包丁やカミソリ、カッターやハサミを使って切っていたらこんなになったんだと無理な笑顔をしていた。この行動に名がついていると知ったのは中学になってからだという。“自傷行為”そんな名を私も聞いたことだけはあった。でもどんなものなのか内面は知らない。自分には関係ないと思っていたから。でも君がそういう行動をしていると聞いたとき、私にも関係しているなと思ってしまった。そんな考えが私の脳内を埋め尽くしていたとき、彼女が近づいて来た。顔を上げるとすぐ目の前に君の顔があった。君は私を見つめてくる。私は何も考えずに目をつぶる。唇に生温かい何かが当たる。柔らかくて、感じたことない感覚だった。目を開けると君が恥ずかしそうに手で赤らめた顔を覆っている。私は理解できずに固まっていた。君の行動に理解が出来るまで少し時間が掛かった。接吻。か。そう理解できた頃には赤かった君の顔が元に戻っていた。君は無表情で私に言う。「生きる価値造ってよ。そしたら君が望まない未来が出来るんじゃない?」他人事だな。とクスッと笑いながら私は言って続けて君の言葉に返事をした。「私と付き合ってよ。君が生きれるようにする。君が生きるのが楽しいって言えるようにする。だから付き合ってよ。」そう言うと君は「私だけじゃなくて良かった。よろしくね。流華。」あざとく笑う君の顔が愛おしく感じた。君はにこにこしながら私を見つめる。赤いね。顔。そう君から言われるまで私は自分の顔が赤くなっているのに気づかなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ