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ジオの夢 四、ロンバニアにて

ーーー 母者、サラ、面白いか。首を落とすのはびっくりしたぞ ーーー


朝、点呼を受けるので、教室にいる。昨日、テンフォで外套を受け取り戻ってきた。教室に教授が入ってくる。オレの顔を見て教授が微笑む。オレは会釈で返す。そして点呼が終る。オレは何時もの通り図書室へ向かう。


図書室を出て、何時もの休憩場に向かう。休憩場には男が一人座っている。

『レイ、戻って来たのか。』とガイが言う。

オレはガイの横に座る。

『ああ、用事が済んだからな。』

『レイも帰ったのかと思ったが・・・』

『というと、カールは帰ったのか?』

『ああ、カールの家はヴァイス家だそうだ。領地に戻って兵を整える事になったようだ。』

『そうか・・・苛めた者たちは馬鹿な事をしたものだ。教授も忠告していたのにな・・・』

『ああ、カ―ルは気にしていなかったが、実家に話をした者がいたようだ・・・家から連絡が有ったと言っていた・・・』


『そうか戦闘になるか。』

『ああ。・・・オレも戻るつもりだ。会えて良かった・・・そうだ今度オレの家に遊びに来ないか。歓迎するぞ。』とガイが言う。

『ガイの家は何処だ?』

『ロンバニアだ。』

『ロンバニア家か凄いな。今度行くよ。近く、家からの手紙が来るだろうから。それを読んだら、行くよ。』

『まだ時間有るだろう。少し打ち合わないか?』とオレ。

『いいな。やろう。』

と二人立ち上がり、手頃な木を探す。


ガイと打ち合った。力量が同じ相手と打ち合うのは楽しくて、長い時間、お互い疲れるまで打ち合った。そして、ガイは学院を出て行った。オレは図書室に戻った。


通常の日々に戻った。点呼を受け、図書室に行く毎日だ。教室に居た生徒の何人かが居なくなっている事にも気が付いた。家が無くなるというのは大事だろうな、などと他人事のように考える。しかし、オレの身の上に降り掛かることかもしれないな、など思った。


家からの手紙が届く。父と祖父の連盟だ。おそらく書いたのは祖父だ。まず酒の礼が書いてあった。次に緑の作務衣の者たちについては、今後も出会ったら、殺れ、とある。それが先祖からの申し送りだと書いてある。ガイの事は良かったな、とある。最後に慢心するなよ、で終わっている。


手紙が届いたので、ロンバニアへ行くつもりだ。まず、ダイナへ向かう。マーヤさんに会うのが楽しみだ。ダイナの門には衛士の姿は無い。マーヤの店は外から見ても活況なのが分かる。開いている入口から店の中に入る。


『部屋は空いてますか。』

『空いてるよ。飯と湯処は付けるかい?』と帳場奥から声が聞こえる。

マーヤさんの声だ。

『両方お願いします。』とオレ。

『あいよ。ちょっと待ってね。』


帳場から出てきたマーヤさんがオレを見ると、近づいてき抱いてくれる。

『お帰り。・・・早いわね。』と喜んでくれる。

『どうですかあ?落ち着きましたか?』

『ええ、誰かさんのお陰で、領主も変わって税も暫く免除になったわ。それと剃髪した男達も居なくなったわ。』とオレを見ている。

『剃髪の男達もいないですか・・・』

うん?マーヤさんがオレを睨んでいる。

『あはは。で、外套の血は落ちましたか?』と話を逸らすオレ。

『えっ、ええ大丈夫よ』


ゆっくりと湯処に入り、一眠りして食事をしている。マーヤさんも一緒だ。

『姉さん、仕事はよいのですか?』

『いいのよ。せっかく息子が帰ってきたのよ。いる間は一緒にいるわ。迷惑なの?』

『いえ、姉さん勿論嬉しいです。』とにっこり。マーヤさんもにっこりだ。

危ない。地雷を踏むところだった。明日はロンバニアへ行くことを話すと、帰りに寄ることを約束させられる。


ロンバニアは大陸西部、海に面した街だと聞く。その平野を囲んでいる広大な砂漠が敵の侵入を阻んでいる。海の一族と砂の一族が婚姻に寄って成り立つ大公の家系だ。


ロンバニアのギルバート公は砂漠の黒い嵐と呼ばれている。オレが山に在る間、西方地域の三分のニの地域に黒い衣装の兵をもって席捲したらしい。しかし、土地を支配する事なく略奪のみで引き上げている。今でも多くの地域で黒い兵装は怖れられている。


そう言えば、マーヤさんが言っていたが、ワン家の先代とその孫も海を見にロンバニアへ向かっているらしい。ロンバニアには西域ワン家という分家があるとの事。ワン家は大陸全土を網羅する商団で東方地域にも分家がある。


ロンバニアへ行くには、この南辺街道を使うか、北の北辺街道を使うしか無い。


普通に幻馬を進めている。まだ砂漠は表れない。道の北側は少々高くなっていて、道は高台の向こう側に回り込んでいて、先は見えない。と、何やら血の匂いが漂ってくる。楽しい事が前で起こっている気がする。嫌がる幻馬を宥めながら急がせる。高台にも多くの男達が向こうを見ている。


一人の男がオレに気付きオレを見る。オレもその男を見る。なかなか強そうだ。このような場所に相応しくない男だ。故に虐殺に参加していないのだろう・・・

オレは、笑いかけるが、目だけ見える面をしている。笑い掛けたのは判っただろうか。


オレと幻馬は高台の向う側に着く。そこは数多くの強盗たちに囲まれた老人と子供、数人の従者、離れた所に倒れた護衛達と護衛に斃された盗賊たちが見える。従者たちは怯えているのが分かる。しかし、老人は毅然としている。


急いで、強盗達の間を抜って老人の傍らに行き、幻馬を降りる。


『お困りのようですが?お手伝いは必要でしょうか。』と安心させるように、呑気に、オレは老人に聞く。

『い、いやそれより危険だから早く逃げなさい。』と老人が驚いて言う。

『オレは大丈夫ですよ。ご老人。ずいぶん多くの方々に囲まれていますね。』

オレは周りを見渡し、

『護衛の方も殺られてしまいましたね。余程、ご老人に価値を感じていられるのですね。あの方々は。』と変わらず呑気に話す。


『少年は余程自信があるのだな。』と老人も落ち着いている。

『ご老人は肝が太い。恐れることが無いのですね。』と感心するオレ。

『少年こそ恐ろしくないのか。』と不思議そうに俺を見る。

『私にとっては慣れた状況では有ります。何せ我が家は人殺しの家系で有りますれば。』と笑う。

『そうか、ならば助けて頂こう。報酬は払おう。』と老人も笑う。


男達は不思議な物を見るように静かだったが、流石に焦れて来たようだ。ざわざわしてきたか。俺は振り返ると強盗たちに言う。

『すいませんが、首領の方はどなたですか?』と強盗たちに聞く。

『俺だ。なんだ?死にたいのか?』と男がにやにや笑いながら言う。

『いえ、このまま引いてもらうと貴方がたに取ってはいいと思うんですが、どうでしょうか?』とオレ。

『なんだ、お前は阿呆か?引くわけ無いだろう。殺してやるぞ。お前。』と首領が怒鳴る。

『では、忠告致しましたよ。』とオレ。


ゆっくりと六角棒を出し、両刀の槍にする。それを見た強盗たちは口々に怒鳴り威嚇し始める。

『ご老人、お孫さんかな?お孫さんがこちらを見ないように。首が飛びますから。』

老人はそれを聞くと、慌てて子供を向こうに向かせる。


と、剣がオレを狙って振り下ろされる。が大した振りでは無い。剣を躱してその者の首を飛ばす。近づいて来る者の首を飛ばしながら、首領に近づいてゆく。オレと老人の間に入らぬよう確認しながら周りの者たちの首を飛ばす。


ほぼ、強盗たちの人数は半分の人員に減った。そろそろ首領が逃げ出す頃か、と考えながら老人たちの方を見る。強盗たちの誰も、老人の傍にいない。で、首領を探す。強盗たちに囲まれ、怒鳴っている首領を見つける。強盗達へと踏み込み首を飛ばしながら、首領の傍へと進み、首領の首をあっさり落とし周りの首も落とす。

『兄貴、俺達も行きましょう。』

『止めろ。死にたくなければ、ここにいろ。』と声が聞こえる。


オレは周りの首を落としながら高台を見る。高台から数人が老人の方へ向かうのが見える。更に首を落としながら、手首に刺してある少刀を三本連続で飛ばす。少刀は違えず、老人たちに近づこうとする強盗三人の額に刺さる。それを見ながら、向かって来る強盗たちの首を落とす。


残る強盗たちは高台にいる十数人だけだ。オレは、高台の男に声を掛ける。

『逃げたら、死にますよ。こちらにどうぞ。』


遠くから、別々の二組の凄腕がこちらの様子を伺っている。今の処、仕掛けてくる様子はない。高台の兄貴と呼ばれた男も凄腕だ。おそらく、見張られているのに気が付いているだろう。こちらに近づいて、距離を置いて止まる。


『ご老人、ざっとこんな感じです。』と老人に笑い掛ける。

『若いのに恐ろしい腕だ・・・代金はどうしたらよい?』と老人が安堵の色を浮かべてはいるが不安そうに聞く。

『・・・そうですね。貸しという事で。後の頼み事でお願いします。いいですか?』

『金の方が楽なのだが・・・良いわ。必要な時にワン家の本家まできてくれ。』


『兄貴さん、このまま別れて行くと、どうなるかわかりますか?』とリーダーらしき男に向かって言う。

『オレはアランという。何が言いたいのか分かるつもりだ・・・でどうしろと?』と、アランと言った男が言う。

『最善の方法はワン家の方々の護衛をして頂く事ですが・・・』とオレが言う。アランはともかく老人も驚いている。


『若いの。それは無理だろう。強盗の仲間だが・・・』と老人。

『ご老人、そこは私が保証いたします。アラン殿は約束を破る男ではないし、付いてる方々もアラン殿を裏切る者はもう居ない。』

『そうでしょう、アラン殿?』

『ああ、約束は必ず守る・・・破った事は今までもない。』とアランが言う。

『強盗をするとは思わなかった・・・争いへの加勢と聞いていたのだが・・・』


ワン家はロンバニアに向かって出発する。

『アラン殿、これからは家同士の戦いが始まる。各家での募集が多くなりましょう。傭兵になれば強盗よりは良いと思いますよ。』と言って見送る。


さて、あの二組は別々のようだが、どうするつもりなのだろう。この場所で気配を消して待つ事にしよう。

直ぐに、一組がロンバニアと反対の方向に去っていく。そしてもう一組もゆっくりと去っていく。間違いなく後の一組はやばい。戦うとなったら勝てないな、と思いながらロンバニアに向けて幻馬を進める。


目前に砂漠が広がる。ここからロンバニア家の領地となる。道を進めて行く。砂漠より数人の男が現れる。

『何処へ行く?』と中で一番若い男が言う。

『・・・』オレは無視して幻馬を進める。

『おい、答えろ。答えなければ入れん。』と引き続き言う。

『・・・』更に無視する。

若い男が剣を抜いて斬りかかる。が、年長の男が体で塞ぐ。


『うん、残念。止めなくてもいいのに・・・では行きますよ。』とオレ。

『済まないが、こちらも仕事なので、行き先を教えて貰えないか』と年長の男が頭を下げる。

『最初からそう言えばいいのに・・・』とオレ。

『ガイが遊びに来いというので来ました。』

『ガイとはガイウス殿のことか?』

『ガイウスというのは聞いたことがないですね。兄のギルにも会わせるとも言ってましたが。』

『そうか、有り難う。手間を取らせた。』

『では失礼します。』とオレ。

オレは幻馬を進める。


『兄者、何故止めた?』と、後ろで聞こえる。

『あの方はガイ殿と同じ化け物の類だ。我々では歯が立たん。分からないのか?』と、声が小さくなる。

確かに、ガイは化け物だな。だが、オレは違うだろう・・・失敬な。


砂漠を抜けて、今は、回りに緑が広がる。遠くに外壁に囲まれた街が見えてくる。風が粘っこい。これが海風か。街の外壁に辿り着く。外壁の門に守衛はいない。街の外壁を抜けて一番高い建物に向かう。石造りの町並みだ。通りは広い。人々も多い。その高い建物の゙門の前に立つ。ここにも衛士はいない。門に銘板は無い。さて、どうしたものか。


一人の壮年の男が建物から出てくるのが見える。とても強そうだ。黒で統一された衣装で、将が着る平時の装いに見える。オレに気が付いて寄ってくる。

『レイ殿ですね。こちらへどうぞ。』とオレを案内してくれる。

『ワーレンと申す。お見知りおきを。』

『レイゼン・アストリアス=アラインバルトと申します。』

『これはご丁寧に痛み入ります。』ワーレン殿が言う。


ーーーーーー

『母者、凄い光景だな。全て首が飛んでいるぞ。初めて見る。』とシンシアが目を見開いている。

これをやった者の気配が消えて、更に暫くしてから見届けに来た。商人の護衛は十数人倒れているが、商人の姿はない。

『ああ、暫くこの様な光景は見なかったが、また見ることになるとはな。』と答える。

『このような光景を見たことがあるのか?』とシンシアが驚いている。

『ああ、若い頃に、二度遭ったな。その時は驚いたわ。切り口を見ろ。どれも寸分違わぬ同じ部分であろう・・・』

『うん、確かにな・・・怖ろしい。』

『ああ。』

『母者が言っ事を実感したわ。一人では危ういというのが・・・。我ら、その者とやったら勝てるか?』

『多分、勝てたとしても一人は確実に取られるな。それに、残った一人もただではすまんだろう。』

『そうか・・・まあ、相手方でなくて良かったな・・・』とシンシア。

『今回はな・・・仕事を選ばんとかち合うことになるぞ。』と私。


『母者、この三名は額に傷があるな。少刀の傷だ。その後に首を落とされておる。何故、首を落とすのに執着しておるのだ?』とシンシアが不思議そうだ。

『それはな、おそらく、屍人使いに使わせないためだろう。護衛の首も転がっていた。今でも、屍人使いはおるからな。』とわしが答える。

『屍人使い・・・か。』

『そろそろ行くか。南域ワン家に報告せんとな。ライプヒ兄弟も東域ワン家に向ったしな。』

『ライプヒ兄弟は、暫く見ないと思ったら、東方地域か・・・』シンシアの独り言が聞こえる。

ーーーーーー


ーーーーーー

『兄者、やばかったな。』と弟が言う。

『ああ、あの者の腕は族長より上かももしれん。俺らで刃がたったかどうか・・・』

『それにフェイレーンの魔女たちも来てたな。』と弟。

『ああ。そっちもやばいわ。』

『げに恐ろしきはワン家よ。今回だけでいくら使った?流石に大陸最大の商団よな。』とオレが言う。

『兄者、フェイレーンの魔女たちもワン家に雇われたのか?』

『・・・だろう。でなければ、傍観してはおるまい。』

『そうだな。魔女とやるには族長がいないとやれんな。』

『下手に巻き込まれる前に、さっさと戻ろう。』とオレ。

『だな。』

ーーーーーー


『よう、よく来たな。』とガイが言う。

二階のガイの兄ギルバート卿の執務室兼居間兼、寝室に案内された。そのギルバート卿は寝台の前の長椅子に寝そべっている。髪は燃えるような赤色だ。ガイの髪は黒色だが・・・。ギルバート卿は身体付きは中肉中背に見える。


『ああ、海が見えるというから、遊びに来た。』

『兄のギルバートだ。』とガイが紹介する。

『レイゼン・アストリアス=アラインバルトと申します。お見知り置き下さい。』

『ギルバート・ロンバニアだ。ギルで良いぞ。よく来た。歓迎するぞ。』

『有難うございます。ではギル兄と呼ばせて頂きます。』とオレ。


『ワン家の隠居を助けたって?』とガイが聞く。

『ああ、行き掛り上、楽しそうだったからね。色々いい勉強になったよ。』オレ。

『ガイ、海の見える湯処が有るのだろう。是非、入りたい。』

『おお、いいぞ。洗い人はいるか?』

『洗い人?どちらでもいい・・・』とオレ。


『ガイ、ここはいいな。』とオレは湯に浸かりながらいう。

ここは領主館の屋上に建てられている湯処だ。屋根はあるが壁の代わりに柱が有るだけで、外が全方位見える。西は青い海、その他三方は手前が緑、その先は黄金色の砂漠だ。

『気に入ったか?女たちに言えば何時でも入れる。』とガイ。


『?・・・この女性たちに言わないと入れないのか?』と一緒に入っている女性たちを見る。

『ああ、昔からの決まりだ。ここを管理しているからな。』とガイが目を瞑ったままいう。

『そうか、決まりなら仕方ない。それに皆綺麗だからいいか・・・』とオレ。

『誰か連れて行け。いる間の世話をしてくれる。夜もな。』

『オレはまだ八歳だ。いらん。』

『だとしても、特別な者の決まりだ。断るとこの館には二度と泊まれんぞ。』

『それは困るな。この湯処にはまた入りたい・・・』


ギル兄の居間で食事をしている。ガイも一緒だ。それと女性がそれぞれ付いて、世話をしてくれる。

『ガイ、何時もこんな生活をしているのか?』とオレが聞く。

『ああ、客が来たときはな。』とガイがぶっきらぼうに言う。

『レイ、特別な客とは女性たちが気に入った客と言う事だ。この世の中は女性が男を選ぶ。俺たち男が無理矢理させてい訳では無いぞ。ましてレイは八歳だからな。』とギル兄が言う。

『レイは実家では一人で湯に浸かるのか?』とギル兄が聞く。

『いえ、誰かが一緒に入って、背を流してくれます。』

『一人で寝るのか?』と続けてギル兄が聞く。

『大概は一人ですが・・・、祖父が居ないときは誰かが寂しいだろうと添い寝をしてくれます。』

『だろう。色々理由を付けて、レイの傍にいたいのさ。』

『ここでも同じ事だ。美しいお前の傍にいたいのさ。だからガイはぶっきらぼうなんだ。』とギル兄が笑う。

『そんな事は一度も考えた事が無いです。』と。

『祖父殿が一人で居なくなるのも、誰かに呼ばれて、会いに行かねばならんからじゃないか。』とギル兄が笑いながら言う。

『レイ、郷にいれば郷に従え、だ。抱いてもらって寝ろ。』とガイが仏頂面で言う。


『レイ、ヴァイス家がチューロン家に攻め込んで落としたぞ。』とガイが言う。

『ふん、これで味を占めなければいいな。』とオレ。

『嫌、無理だな。これから各家を攻めるだろうな。』とギル兄が言う。

『ギル兄はどうするつもりです?』オレが聞き、ギル兄の顔を見つめる。

『オレはガイ次第だ。どっちみち、動くのはガイだ。それにクラウスとギレンも動く。オーロフは動かん。宗家はどうする?』とギル兄がオレを見る。

『父は動かないです。攻められても守ることはしても攻めには出ないです。』


『そうか・・・ガイどうする?』

『オレは新たな領地など欲しくないわ。』とガイ。

『そう言うと思ったわ。それに北がどう出るか分からんからな。』

『ベルハーレンか?』とガイ。

『ああ、オレ等が動かねば、シュターフに向かうだろう』とギル兄。

『好きにすればよい。来たら潰すだけだ。なあ兄貴?』

『ああ、そうだな。』とギル兄が笑う。


その後、ヴァイス家は二か月で五州を落とし、クラウス家、ギレン家の調停で進軍を止めた。ベルハーレン家はシュターフ家を落としたが、ベルハーレン家の執事に裏切られ、クロ丿に取って代わられた。


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