第二部 プロローグ
ここはノルデノルンの地だ。
スーフェンから戻ってきて半年が過ぎる。
今は朝食が終り、ベロニカは居間でジオを抱いている。
『ジオ、美味しかった?沢山食べた?』とべ口ニカはジオに声を掛ける。
ジオはいつものように、にこにこしている。特にベロニカの言葉に反応する様子はない。居間には最近トツクから戻って来たハーバー、それにルミナ、ロレーヌも居る。
レディティアはいない。レディティアはノルデノルンに戻ってから自分の部屋から出る事はなくなった。ジオを部屋に入れる事も、一緒に寝る事もない。まるで人ではなく言われたまま動く人形のようになってしまった。
ジオはサラかベロニカと寝ている。ジオはベロニカに抱かれていたが、直ぐにベロニカの膝から降りると玄関先の庭に走って行く。
そしていつものようにしゃがみ込むと、地面に誰にも読めない文字か絵を棒で書いている。
ー度、サラが紙と筆を与え、筆で紙に書く事を教えたが、直ぐに庭に出て、決まった地面に棒で何かを書いている。
『ジオはどうなるのかしら?』とベロニカが言うが、誰も答えることは出来ない。
・・・見付けたぞ。後継の者よ、思い出せ。いつまでそこにいる?此方へ来い・・・
・・・私を呼ぶのは誰だ・・・私はここにいる・・・私を呼ぶな・・・
・・・お前はここでの用は済んだ。こちらへ来い。・・・
・・・まだ済んでいない、する事が有る・・・
・・・そこにもう用はない。此方へ来い・・・