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そして重なる命の危機


 きちんと家を建てたために規模としては広がった村は、けれどまだ住まうものたちもそう多くはないし、周囲を囲うように建てた柵の外に出るまでもそう時間を要さない。とにかくひたすら無言で歩くジグルの背を追い、柵の切れ目……簡易的な木製の門の外まで出たところで、人影がひとつ、ぽつんと……いや、なんか両腕を組んで胸を張って堂々と立っているのが見えた。



「連れてきたぞ」



 その人影に向かいジグルが告げれば、人影は両腕を組んだまま若干さらに胸を反らす。


 なんだかちょっと偉そうだ。



「貴様が勇者とかいう奴か。私はヒルダリア。ミルヴィリカを打ち滅ぼすものだ!」


「……はい?」



 ジグルのものとは別種の二本の角を額に生やす、飛鳥のもといた世界の鬼という空想上の存在を彷彿とさせる女性。彼女は……なんだろう。なぜかよくわからない謎の宣言を堂々と、それはもう堂々と、さも当たり前のように言い放つ。


 ミルヴィリカとはミルカのことで……彼女を、打ち滅ぼす?



「えーと……ミルカの敵対者ってこと、か?」


「いいや違う。私と彼奴はそう……好敵手だ」



 好敵手。ライバル。なるほど。……なるほどー?



「そのミルカの好敵手さんが、俺になんの用で?」


「知れたこと。ミルヴィリカが自身の領地の一部を任せたものがいると聞き、その領地を奪いに来たのだ」


「……いや、意味わからん」



 ミルカの好敵手だからミルカを打倒したく、そのためにはまず彼女の領地を奪い戦力を削ぎたい、とか、そういうはなしだろうか。それにしては……こう言ってしまってはなんだが、狙う領地がちょっと……戦力外すぎると思うのだが。


 訝しく思い目を細めてヒルダリアを見やれば、彼女は先程までの自信満々な態度を一変、どこか気恥ずかしそうに視線を逸らす。気のせいでなければ、その頬が若干上気して見えた。


 ……なんで?



「そ、それは、その……。み、ミルヴィリカの奴が自分の領地を任せた奴がいるなどというから……!」


「ヒルダは領地持ちでもおかしくはない実力のある魔族なのだが、いかんせん、なぜかミルカ殿の領地ばかりを狙っておってな。ずいぶんと変わっておるのだ」



 飛鳥の傍らからジグルがそう教えてくれるが、彼に変わっていると言われるとは……と思ってしまう。


 それはともかく。いまのヒルダリアの様子と、ジグルのことばとをあわせて考えると、おそらくヒルダリアはミルカの好敵手というより、ミルカに固執しているだけなのではないかと思われた。


 そこにある感情や、ミルカ側からの認識如何は知らないが。



「と、とにかく、だ! 私はここで貴様を討ち取り、この地をいただきにきた。いざ、尋常に勝負せよ!」



 腰を落とし、拳を握り飛鳥を睨みつけるヒルダリアに、得物らしい得物は見当たらない。おそらくその拳が彼女の武器なのだろう。

 よくはわからないし、なんならわからないままでいたほうがよさそうな事情がありそうではあるが、厄介な相手に目をつけられたようだと内心で溜息がもれる。ちらりと横目に確認するが、ジグルはこの件に関わる気は一切なさそうだ。わざわざきちんと呼びに来て、なおかつこれまでのやりとりをのんびりと見ていた様子からも察しはついていた。

 この村の用心棒ではあるはずなので、それでいて傍観を決め込むということは、たとえここで飛鳥が負けようと村に危害は加えられないということなのだろう。……もしかしたら、飛鳥に全幅の信頼を寄せ……てはいないか。さすがに。それだけのなにかをした記憶は、あいにく飛鳥にはない。


 溜息は再び内心に留め、ヒルダリアへと向き直る。殺し合いは勘弁願いたいが、手合わせくらいはしないと退いてはくれなさそうだ。


 勇者チートのおかげでいろいろ助かってはいるけれど、飛鳥はもともとただの男子高校生に過ぎないのだが、とは、内心の溜息とともに封じておく。


 武器を持たない相手に剣を向けるのは、とは言わない。徒手空拳での拳は立派な武器だ。

 バングルから取り出した片手剣を構えれば、ヒルダリアの双眸が剣呑に細まる。そのくちもとが大きく弧を描いたあたり、彼女もまた好戦的な類なのだろうと知れた。



「ふ。ものわかりがよいのは結構。では……勝負!」



 言うが早いか、ヒルダリアは地を蹴るなり一気に距離を詰め、飛鳥に肉迫。直前で軽く跳躍したかと思えば、振り上げた拳を思いきり振り下ろしてくる。一連の動きはまさに神速で、それをきっちり見切れたあたり、これもまた勇者としてのチートなのだろう。


 避けるという判断を下し、その行動に移れるまでのスピードも含めて。


 横手に跳躍して避けた飛鳥のもといた場所は、大きな音とともに抉られ、クレーターができた。襲撃してくるヤツは揃って地面を抉るのがすきなのかとか、本当にただの一介の高校生に過ぎないままだったらからだが粉々になっていたのではとか、呆れるなりぞっとするなりもしている暇は与えられない。

 地面を抉るほどの勢いを放った直後とは思えないスピードで、追撃に身を翻したヒルダリアが再び地を蹴る。今度は下方から穿つように振り上げられる拳を、飛鳥は剣の腹で流した。衝撃に手がわずか痺れ、そのうち剣が負けて折れるのではと危惧する。

 あまり受け身でいては、分が悪い。剣を使っているのはなんとなくこの世界の仕様っぽいのに合わせてみた結果で、飛鳥自身、たぶん無手でも戦えるだろう。むしろもといた世界では無手でどうにかせざるを得なかったのだ、そちらのほうが慣れているといえば慣れている。

 だがそれを活かしてきた環境が圧倒的に違いすぎる。飛鳥の生きてきた環境がどうあれ、それを囲う枠組みは、平穏の装いを呈していたのだから。


 つまり、だ。経験が違いすぎる。おなじことをして、おなじように戦ったのでは勝ちの目など薄い。それくらい容易にわかる。


 であれば、飛鳥に打てる手は限られていた。

 攻勢に転じ、機を狙い、活かし、速攻で決着をつける。それしかない。


 ……当然、言うが易しで実行できるかというと怪しいのだが。


 とはいえ、できないかもしれないと尻込みをしている時間など与えてはもらえないのだ。そのあたり踏ん切りがいいというか、切り替えが早いというか、とにかくそういう性分にある飛鳥は、さっさと自分でできる手で反撃に移る。

 とりあえず、イメージは火だ。火がすきだとか相性がいいだとか、そういうはなしは特にない。イメージをしやすいから、ただそれだけ。それを、剣に纏わせる。それもまた、脳内で描くイメージだ。



「……ほう。炎の付与か。なかなか器用で結構」



 褒められた。飛鳥としてはこれを魔法を使えるというカテゴリーに入れる気はないが、事実的な分類としては魔法ではある。物理的な攻撃に際してのみにだけ発揮できる属性付与は、一応、間違いなく魔法ではあった。


 もっとこう、なにもないところで火を熾したり、水を出したり、そういうアヴィのできるヤツのような魔法が使いたかった飛鳥ではあるが、そうは言っても現実としてこれでも薪に火を灯すことはできるし、桶に水を溜めることもできる。物理攻撃をする、という意図を介してという前提がひと手間分余計になるだけで。


 ともあれ、便利には違いないし、有用であることも間違いはない。刀身に炎を纏わせた剣は、けれど術者である飛鳥に熱を伝えることは当然のごとくなかった。それをひと振り。改めて、構える。



「触れれば火傷どころじゃ済まないかもしれないけど?」


「ふ。それはおもしろい。ぜひともやってみせてほしいものだ」



 暗に降参を勧めるが、それくらいで引く程度なら、そもそもこんなふうに単身乗り込んできて喧嘩を売ってきたりなどしないだろう。自分の力量と相手のそれを見誤る輩は、もとの世界になら割と多かったが、彼女はもちろんその類などではないはずだ。退いてくれたらいいなと思ったのは、平和主義である飛鳥のほう。


 残念ながら叶わなかったけれど。


 仕方ないと、溜息をひとつ。ことばどおりに愉しそうにわらうヒルダリアへと、今度は飛鳥から駆け出す。踏み込んだ足に、風による速度上昇を付与して。

 おかげでふつうの人間にはまず出せない速度でもってわずか開いていた距離を詰めた飛鳥は、勢いのまま炎の剣を下方からヒルダリア目がけて振り上げた。傷つけてしまったら、などという躊躇いや迷いは抱くだけ飛鳥を追い詰める。それくらいわかっているから、飛鳥の剣筋が鈍ることは一切ない。

 そのあたり、彼自身が自身を表する一介の男子高校生としてはありえないのだが、そのへんの胆力というか、順応性というかもまた勇者チートの産物なのか、それとも飛鳥自身が持って生まれていた精神性の問題なのか、それを知る術は現状なかった。


 なにしろ飛鳥自身が、そのあたりの歪さに一切気づいていないのだから。


 飛鳥の攻撃速度が想定を上回っていたのは事実だろう。ヒルダリアはわずか目を見開き、片足と肘とで防御態勢をとる。確実にそこに吸い込まれていった剣は、けれど肉を切り裂く感触ではなく、硬質ななにかにぶち当たる感覚でもって飛鳥の手に痺れを伝えた。耳に届く音もまた、がんっと、鈍い打撃音だ。

 けれど勇者チートの膂力もあり、薙ぎ払った剣戟はヒルダリアを吹き飛ばす。彼女は地面を抉るように滑り、けれど途中で地面に手を突き宙を舞い、態勢を整える。


 が、そこにはさらに飛鳥の追撃がかかっていた。


 ヒルダリアを吹き飛ばした速度と同等の速度でもって彼女を追った飛鳥は、宙を舞って受け身に転じた彼女が立ち上がるより先に、炎の剣を振り下ろす。



「……くっ」



 地面についた手とは逆の手を防御に上げたヒルダリアの腕と飛鳥の剣とが鈍い音を立てて交わる。その衝撃に、ヒルダリアのからだが地面を抉った。

 なおも押し込んでくる飛鳥の剣。その重圧に防御しかできずにいたヒルダリアの腕……飛鳥の剣を受け止めているそこで、ぱきんっとちいさく、まるで硝子にヒビでも入るかのような音がする。今度こそ大きく目を見開いたヒルダリアは、舌打ちを残してありったけの力で飛鳥の剣筋をなんとか逃す。

 けれどそれも完璧に間に合うことはなく、上肢が半ば裂かれ、肉の焦げる臭いが漂った。



「う、っぐ……!」



 幸いなのは、傷口が焼かれたことにより出血が抑えられたことか。それでも骨まで断たれ、辛うじてわずかな肉で繋がっている程度のその腕は、もはや使いものにはならないだろう。痛みに、いやな汗が滲む。


 けれどその顔に浮かぶのは獰猛な笑みだった。



「は、は……。なるほど、ミルヴィリカが目をかけるわけだ」



 ヒルダリアの肌が剣をも弾けるほどに硬質だったということはない。彼女は飛鳥の攻撃を受ける際、そこに障壁を張って防御をしていたに過ぎなかった。自身の肉体を武器とする彼女は、あまり魔法を好んで使いはしないが、だからといって使えないということなどない。使える種類こそすくなくはあるが、その身で攻守を兼ねるともなれば障壁くらい張れる。そしてそれの精度や強度を上げる鍛錬とて怠ってはいないのだから、彼女くらいの実力者が張る障壁ともなれば、そうそうに破られるものではないはずだった。

 なにしろ彼女は、魔族の中でも実力者のみが与えられるという領地持ちたる資質を持ち得ている存在なのだから。

 だからこそ、こんなふうに力任せにそれを打ち破られるとは想像もしていなかった。飛鳥が勇者召喚で喚ばれた存在であることくらいの情報は得ている。だけどそれでも、人間の枠組みの中にはいるだろうと、そう思っていた。


 それなのに。


 まさか勇者なる存在が、異界の人間が、こんな化物じみているだなんて。だれが想像できるというのだ。

 飛鳥のもといた世界を、そこがどんな場所で、どんな環境なのかを、ヒルダリアは知らない。だけど平穏無事な場所であって、あんなに冷たく、無機質に、ただただ獲物を見据えるまなざしを向けてこられるなどとは考えられない。いったいどんな戦場を生き抜いてくれば、魔族ですら末恐ろしさを憶えずにはいられない視線を向けられるようになるというのか。


 ぞくりと這い上がる冷たい感覚を、けれど気づかないふりをしてヒルダリアは立ち上がる。今度は追撃が重ねられなかった。



「もういいだろう」



 けれど制止は別のところからかけられる。それまでじっとこの戦いを見ていたジグルからだ。


 それを受け、横やりを入れられたと不服を抱いたのはヒルダリア。それでも意識をそちらにとられてその間に攻撃でも仕掛けられたら堪らないと、注意は飛鳥から逸らさない。けれど当の飛鳥のほうがはっとした様子で目を瞬き、剣に纏わせていた炎さえも霧散させてしまった。


 空気が変わる。もはや戦うための気も削がれてしまった。


 舌打ちだけはしたものの、ヒルダリアも息を吐いて気を落ち着かせ、切り替えた。



「……まあ、ミルヴィリカがここを任せただけの実力があることはわかった」


「あー、いや、あれは実力があるからとかそういうはなしじゃないような……」



 さきほどの冷徹な空気はどこへやら。剣自体もしまい、頭を掻いた飛鳥は、そこではっとした様子で慌てだす。



「いやそれより、怪我は⁉ ざっくりいった気がするんだけど!」


「……まあ、使いものにはならなくなったな」



 ぶらりと垂れる手は、骨さえ切れているのだ、いっそ引き千切ったほうがよいだろうかと考えるヒルダリアに、飛鳥は片手で顔を覆う。そして痛苦にまみれた表情をヒルダリアへと向けた。



「……ごめん。やらなきゃやられるって思ったら……。完全にやり過ぎた」


「謝るな。こちらとしては殺しあうつもりだったのだ。それに本気で応じた貴様に非などない。謝られては私が惨めであろう」


「でも…………あ、その腕、アヴィなら治せるんじゃないか?」


「アヴィ? ……ああ、貴様とともにこの地に送られたという、聖女か。聖女の力を借りるなど、魔族としてあり得んだろう」



 なるほど。ミルカのいた町やこちらの村に住まうものたちが平然と……むしろ割と好意的にアヴィと接しているから気づかなかったが、おそらく本来魔族と聖女というのはヒルダリアのいうような関係性こそが正しいのだと思われる。なにしろ勇者の役割として、魔族の頂点たる魔王を倒すというものがあるようで、聖女はそんな勇者と一対と見做されると聞いたのだから、当然か。

 歴代はともかく、アヴィの側からは魔族に対する害意はなさそうだし、飛鳥にもまたそんなものはない。敵対してくるなら相応の対処はとるが、最初からわざわざ悪感情を抱いたりなどしていなかった。



「まあそう言うな、ヒルダ。人間とはいえ、アヴィははなしのわかるヤツだぞ。それに腕も治るのであればわざわざ失くす必要もあるまい」


「ふん。人間なんぞに頼るくらいなら、腕の一本構わんさ」


「……ミルカ殿が悲しむぞ」



 え、悲しむ?


 ヒルダリアは……たぶん一方的にだろうが、ミルカに敵愾心を抱いているようなのに、そんなふうに自分に突っかかってくる相手の怪我を、ミルカが悲しむだろうか。

 ジグルのことばにそれは無理があるのでは、と、戸惑う飛鳥の目の前で、ヒルダリアのからだがわかりやすくぴくりと揺れた。眉間にぎゅっと皺が寄る。



「み、ミルヴィリカが、私の腕くらいで嘆いたりなどするものかっ」


「なにを言う。ミルカ殿がおぬしを大事に思っておることくらい、おぬしとてよくわかっておろうに」


「う……そ、そう、だろうか……」



 重ねられたことばに、今度はそわそわしだしたヒルダリア。こころなし、顔が赤い。


 ……え、ヒルダリアとミルカの関係って、いったいなんなの?


 この場で困惑するのはもちろん飛鳥ひとりだけ。置いてけぼり感がすごいが、どうあれヒルダリアが治療を受けてくれるというのならそれに越したことはない。

 ついていけない自分がくちを挟むよりは、ひとまずジグルに任せよう。できないことには無理に首を突っ込まない主義の飛鳥なのだ。


 ちなみに、ヒルダリアの陥落は案外早かった。



「し、仕方ないな。変に情けをかけられて、今後の勝負に手を抜かれでもしたら許せぬし。ここは聖女に会ってやるとしよう」



 照れ隠しなのか、もとの性分なのか。なぜか尊大に胸を張るヒルダリアにすこし呆れはしたものの、この場に当人であるアヴィがいないこともあり、放置の方向性でいくことに決める。



「……ヒルダのアレは、構ってもらいたいがゆえの行動でな。わかっておるからミルカ殿も邪険には扱わぬのだ」



 とは、のちのちジグルから聞いたふたりの関係性。構ってもらいたくてちょっかいかけるとは、どこの幼い少年だ。そんな理由で命を狙われた飛鳥からすればたまったものではないのだが、当然のようにヒルダリアが反省することはない。ついでに、ジグルの談にも好敵手だと言っていると猛然と抗議していた。顔が真っ赤であまり説得力はない。

 そんなヒルダリアの腕はアヴィの魔法できれいにもとに戻った。治癒魔法としても、ここまでできるのはなかなかに高度らしい。傷跡も残さずきれいにくっついた自身の腕を見て、さすがのヒルダリアも感嘆していた。

 ついでに、そんなアヴィを偽聖女だと追い出した人間たちに盛大に呆れてもいた。


 そうしてそれで帰ると思っていたヒルダリアは、なにを思ってか村に住みつくことにしたらしい。



「貴様からこの地を奪うには、この地にいたほうがいいだろう」


「え、諦めてないの?」


「だれが諦めるか。案ずるな。私は正々堂々奪い取る。寝首を掻くような真似はせぬ。ついでに、この地の護衛もしてやろう。なに、遠慮はいらぬ。いずれ私のものとなる地だからな」



 きれいに治った腕を組み、胸を反ってとんでもなく偉そうな笑みを浮かべて告げられた。護衛ならもとよりジグルがいるし、なんならいまは飛鳥もアヴィもいるのだから、割と間に合っているのだが。


 そんな反論はまったく聞き入れて……というよりも聞く気さえ持たれることはなかった。


 飛鳥はわが身の危険を思い……けれど割とあっさりまあいいかと思うことにする。襲われたら襲われたときにまた対処をすればいいし、住みたいなら勝手に住めばいい。ただし、必要な仕事はしてもらう。

 追い出すのも面倒そうだから、という正直な心境には蓋をして、これからいろいろと設備などを整えていくにあたり、人手はあるに越したことはないだろうと結論付けたのだ。


 そしてそんな彼女が役立つ機会は早々にやってくる。





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