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プロローグ

「この世界の命運は、あなたの手に掛かっています。どうか、私たちをお助け下さい」


 その言葉を聞いてから、既に3年の月日が経とうとしているとは、時の流れは早いものだ。

 ゲームジャンルにおいて、最もポピュラーなRPG。その中でも、定番といえるのが、プレイヤーが勇者となって、王国や世界を救うという物語である。

 しかし、それがありふれても廃れず好まれるのは、王道という最も優れた一つの答えだからということに立ち返る。

 家庭用ゲームが普及したのも、昔の話。スマートフォンを用いたアプリゲームがゲーム業界を塗り替えようとしていた昨今、従来の凝った作りで遊び甲斐もあるようなゲームより、手軽にできるソーシャルゲームばかりがヒットして、ゲームの難易度や攻略性としては堕落の道を歩んでいた。

 もちろん、コンシューマーゲーム業界もその波に乗っかろうとする一方で、それを指を咥えて黙って見ているわけではなく、彼らもめげずに打開策を模索していた。

 そんな時代に、隙間時間にできるアプリゲームとは対極に位置する、一つの大きなタイトルが登場した。

 『Anotherアナザー realityリアリティ』。

 完全没入型VRMMORPGという、ゲーマーたちが夢見てきた、仮想世界へ入り込んでゲームをプレイするという画期的なゲームだ。

 近年、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)の発展が著しいものではあったが、これは革新的なものであり、今までの比ではない。

 それこそ、アニメやゲーム、漫画などのフィクションの世界でしか存在し得なかったものが、ついに現実へ現れる時代となったのだ。

 このゲームを開発した企業は、『TerrestRealテレストゥリアル gamesゲームズ』通称『TRgティーアールジー』という無名の新規ゲーム会社で、しかも国産ブランドだったことも、また世間を驚かせた理由の一つ。

 発売を発表した時には、従来のVRと違い、プレイ中の使用者は自らの身体を動かせなくなるということだったので、安全性の問題を指摘された。

 それに対して、TRg側の言い分としては、全神経が通う脳や脊髄に干渉して、身体を動かす脳波を遮断し、ゲーム内に反映することで可能になった技術だという。

 なので、長時間のプレイは注意すべきという点は同意したが、詳しいことは企業秘密で、細かい仕様は教えられないとの事だった。

 3年前の発売当時、チョーカー型の新型ゲームハード、『VRウオーカー』はソフト込みで10万円ほどする高価格だったが、そのゲームの広告を見て、高値にも関わらず手を伸ばす者もいれば、様子見をしたり足踏みをしているものもいた。

 やはり、夢のような事であるが故に半信半疑だったことと、騙されたと思って買うには高すぎることが原因だったとされている。

 しかし、いざ購入してゲームを始めてみたユーザーからの高い評価を得て、足踏みしていた者たちは次々と購入するに至った。

 安全性の問題をクリアできず、海外での販売はされなかったが、その後国内では爆発的な人気を誇り、今も多くのプレイヤーが『Another reality』の世界で生きている。

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