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4話:衝撃

 その日、達也は学校に夜遅くまで残っていた。夜遅くまで残っていた理由は教師の手伝いだ。達也は倉庫の手伝いを行っていた。達也は教師にとって問題を起こさず、こちらの言う事を聞いてくれる優等生という立ち位置にいた。その為、今回も手伝いをお願いされ達也は断ることは行わずに教師の手伝いを行っていた。


「先生、帰ります。さようなら」


 職員室前の廊下で教師に別れを告げ、学校を出て帰路に帰ろうと思う達也。

しかし、廊下の先にある階段を上がる見慣れた2人の姿が一瞬だけ見えた。1人は自他共に認める親友である樹。そしてもう1人は親友が懸想していた生徒会長である一夏。


「あいつら、こんな時間に何をしているんだ?」


 達也はよく見かけるし、話もする人物。純粋に2人がこの時間に何をしているかが気になって仕方が無かった。2人を追いかけて声を掛けようか迷う達也。


「でもなぁ……」


 達也としては樹が一夏に懸想していることを知っている。そんな樹が勇気を振り絞って2人になる機会を得たのかもしれない。そんな事を考えると2人に声を掛けることは気が引けた。

 しかし達也としては2人がこんな時間に内をしているのか、考えれば考える程気になってしまう。


達也は結局、折衷案のような事を行う事に決めた。2人の後ろをバレないように追いかけて何をしているのかを見ようと考えた。いい感じの雰囲気になっているのであれば、そっと立ち去ればいい。もし、バレても何か疚しい事があるわけじゃないし平気だろう。と、疚しさ100%でそう判断していた、。


 達也は急いで、しかし音は立てないように2人の後を追って階段を上っていく。職員室がある階層から上には1つしか階層が無く、達也は当たり前のことだがその回のそこかにいると判断した。


「2人もどっちにいったんだ……?」


 階段から顔尾を出して左右を確認する達也。少し追うか追わないか、逡巡してしまった為2人から引き離されてしまっていた。


「まじか……まぁ、諦めようかな」


 達也は少し落ち込みながら階段を下ろうと身を翻した時に微かに聞こえた。


「あっ?」


 誰かが微かに話し込んでいる声が達也の耳には聞こえてきた。達也は階段を下ることを止め、音を立てないようにコッソリと近づいてく。微かに聞こえる声を頼りに声の出所に近づいていった。廊下で足音を立てないように移動していく達也。近づくにつれ声も大きくなっていき達也は会話の内容を認識できるまでになっていた。


 そして声の発生源となっている部屋の前にたどり着いた達也は此処がどこだか理解する。生徒会室。生徒会室は防音になっているが、今回に限って生徒会室の扉が微かに開いていた為、達也に話し声が聞こえるようになっていた。


 達也は話の内容を聞き取ろうと集中する。しかし、ここで1つの疑問が浮かぶ。


(あの2人じゃないぞ。権田先生か? これ)


 しかし疑問も一瞬。権田先生が誰かに話しかけてるように喋っていた為、すぐに生徒会室には3人いることを理解する達也。


(でも、なんで3人がこんな時間にいるんだ?)


 今は夜遅くまで仕事が必要なイベントは生徒会では無いはず、と最近聞いた内容を思い出し思考する達也。


(とにかく、話聞いてみるか。どうでもいい事ならすぐに帰ればいいし)


 そして達也は聞こえてきた内容に驚愕を覚える。


「さて本題に入ろう。君たちを呼び出したのは他でもない。先日のカルト宗教に関する案件だ」


 達也は声が出すことが出来ない程の衝撃を受けた。


(は? 何を言っているんだ?)


 権田先生は至って真面目に話を続ける。達也は壁に背を預け、息を殺しながら話の続きを聞き取ろうと集中している。カルト宗教と聞き、先日に見たカルト宗教に関する報道を思い出した達也。


「カルト宗教の残党が潜伏している場所が判明した。目撃情報がSNSに上がっていたようだ。君たちには他でもない。カルト宗教の残党の執行をお願いしたい」


「「了解」」


 2人の声が達也の耳に入ってきた。別に異常な事などないように返事をしている声を聴き、ますます混乱する達也。混乱が収まらない内に話はどんどん進んでいく。


 自分のコンプレックスとでもいうべき部分を刺激されて茫然とする達也。しかし、偶然にも場所を聞き逃すことは無かった。


「場所は軍港近くの石油コンビナートの空き倉庫。抜かるなよ」


 達也は話が終わりそうな雰囲気を感じ、急いで音を立てずにその場所から逃げた。




「どういう事だよ。あの2人が。というか、樹が!?」


 帰路に帰る途中にも関わらず、思わずそう口に出す達也。これ以上無い程の衝撃を受け、樹が異能統括機構の一員であることが信じられそうになかった。


「分からない。けど……」


 軍港近くの石油コンビナート。達也は、そう権田先生は言っていたと思いだし決意を固めている。


「行ってみるか」


 そして達也は動き出す。荷物を纏め、権田先生が言っていた石油コンビナートに行くための準備を行っている。多分今日始まるだろうという軽い考えで行くことを決意してしまった。


 達也は2人が異能統括機構所属という事に深い衝撃を受けていた。その為、決行日が明日という事を聞き逃していた。しかし、達也は石油コンビナートへと今夜向かう。

 この達也の勘違いがどうなるか、未だ誰も分からない。


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