【第5話】人生は達人!
※注意事項
この小説は高齢者や認知症を誹謗中傷することを意図していませんが、不快に思われる方は閲覧を控えるようにお願いします。
「人生は一度きり、有限であるからこそ光るのじゃ」
そう告げると作蔵はエクストラモードを選択する。
『ゲーム開始後他のモードに変更することは不可能です。よろしいでしょうか?』
「かまわん」
『エクストラモードは非常に難易度が高く、上級者向けです。特定分野によるテストプレイヤーのため、モードの選択制限が撤廃されておりますが、初めての方にお勧めできるモードではありません』
「ゲームは初心者でも、人生はこの道80年の達人じゃ、どんとこい」
作蔵の自称年齢はずいぶん前から80歳で止まっている。
『モードをエクストラモードに設定しました、次はアバターを設定してください』
画面が変わり鏡のようなものになる。
「アバターとはなんじゃ?なんだか若いころの儂が映っておるのぅ…」
作蔵の目の前には鏡に映った白髪ではあるがシワのない青年と呼べる男が立っていた。
『アバターとかあなたがゲームをプレイする際にしようするコスチュームのようなものです。現在作成されているアバターの平均年齢層に合わせて自動調整したアバターが映っております』
「嘘はいかん。儂はもっと年寄りじゃ」
『かしこまりました』
実年齢に近い形でアバターを変化させつつ、見た目から個人特定に至らないように調整がされた。
「流石に儂はここまで老けておらん!」
88歳という実年齢に近いアバターをみて作蔵は叫んだ。
『かしこまりました、ご希望の年齢はございますか?』
「80歳くらいでよいのじゃ、若すぎず、老けすぎずにな!」
『……完成したしました』
オールバックにした白髪の長髪を後ろで束ね、まるで亀の上にでも乗っていそうな雰囲気のアバターである。
「うむ、これでよい」
『アバターの設定をしました。キャラクターの設定は以上で完了です。キャラクターは他に2つ設定できますが、続いて設定なさいますか?』
「大丈夫、結構じゃ」
『それではテストサービス開始をお待ちください、日時は1月1日0時からとなっております。なおこの空間はテストサービス開始までキャラクターの操作、お持ちのスキルの発動の練習の場として活用できます。ゲームの内容等にはお答えできませんが、不具合・バグ等の報告は専用のサポートをにお申し付けください。それでは【EDEN】をお楽しみください』
宙に浮かぶ銀色の球体は色を失い、真っ白になり沈黙した。
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