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第31話 シオンの行動の影響を見てみよう

「なんだって、魔物素材がソル市場に出た? それもリーズナブルな価格で」

「ええ。今はほとんど見ることもない魔物素材です。いったいどうやって入手したのか不明ですが」

「もしかして、ポート09か!」

「その通り」


薬草や魔力草だけでは飽き足らず、魔物素材まで出してきたか。

これはなんとしても、手に入れなければならない。


「で、奴は何を欲しがっているのか?」

「どうも農具みたいなんです。すでにドワーフ鍛冶の連中が出品していまして」

「おいおい、ドワーフに魔物素材は必要なかろう」

「そうなんですけどね。ドワーフはポート09から出品されている火酒の強い奴が目的みたいです」


うーむ。

ドワーフクラスの農具はさすがに入手困難だが、もっと普及品ではどうなのか。


「よし、鍛冶師に依頼して、鉄と鋼鉄、あとはミスリルの農具を作らせろ。それも急いで。今ある物があったら、すぐに買い取ってこい」

「分かりました。急がせると多少値が上がるかもしれませんが」

「気にするな。多少高くても魔物素材が手に入るなら十分元は取れる」

「了解しました」


しかし、魔物素材とはな。

それさえあれば、新しい錬金アイテムが作り放題ってことだ。

今まで魔物素材が入手できなかったから錬成できなかったアイテムがやたらとある。

錬金レベルアップのためにも、新しいアイテムを作ってみたいな。


しかし、ライバルは多いぞ。

錬金術士だって最低3人はソル市場に参加している。

商人も儲かると分かると手を出してくる。


他の連中にみつかる前に魔物素材の主だった物は押さえておきたいな。


しかし農具とは意外だった。

ポーション以外の錬金アイテムはいらないのか?


そうだ。

普通に使う錬金アイテムをソル市場に並べてみるか。

ポート09が興味を持つかもしれないしな。


☆  ☆  ☆


「シオン、なにかしらこれ」

「アリアにお土産だよ。魔導カマドって言うらしいよ。あると便利だと思ったから買ってみた」

「どうやって使うの?」

「これを押すとほら、火がつく」

「すごいわ。柴もないのに火がつくのね」


初めて買った魔道具。

セットしてある魔貯石に魔力を込めると動作する。


このあたりでは魔道具をもっているのは相当なお金持ちだけだ。

まぁ、魔道具を買うより人を使った方が安いから、あまり普及していない。

帝国ではどうも、人を雇うのが高いらしいから、魔道具が発達しているらしい。


「他にも魔道具があったから、そのうち買ってくるね」

「嬉しいっ」


毎日おいしい料理を作ってくれるアリアのためだから。

ちょっとクレジット使ってしまったがいいだろう。


お掃除魔道具もどうなんだろう。

円盤みたいなのが床を廻りながら動いて掃除するらしい。

ソル市場に出品があるのは確認済みだ。


「また出てくる。夕方には帰るから」

「うん。おいしい御飯作って待ってるわ」


こういうちょっとした会話が嬉しい。

自分の帰る場所なんだなーって。


☆  ☆  ☆


「分かりました。領主様。帝国印やドワーフ印の商品は領主様にお渡しすることにしましょう」

「そうしてくれるか」


執事に呼ばれて来てみれば、商品流通の話だった。

いつの間にか、私、自由商人ロジャーは、領主御用達商人になっていた。


まぁ、あまりにも上質な商品なのは確かだし、入手経路をさぐられるのも避けたいし。

領主様がバックについてもらえれば、いろいろと問題があっても対処がしやすくなるしな。


「こちらにもひとつ、お願いがありまして」

「なんだ? 言ってみろ」

「私とシオンに、なんですが。護衛を付けて欲しいと思いまして」

「そのぐらい、こちらで用意しよう。そもそも、君たちに何かあったら我が領の損失になるからな」

「ありがとうございます」


うん、領主様が用意した護衛がいるのを知って手を出してくる奴らはいないだろう。

これで、少しは安心できる。


あまりに大金がうごく商品が多いから、用心した方がいいのは間違いないな。


販売ルートは確定した。

後は商品を安定的に入荷するだけか。


もっとも、それはシオンまかせになってしまうが。

今のところはうまくいっているから、これなも続くことを祈るとしよう。


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