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第30話 ソル市場の実力が何を起こしたのか?

「おい、シオン。これはな、鉄の農具じゃないぞ」

「ええーー。もしかして、騙された?」

「騙されたじゃないさ。逆だ。鉄というより鋼鉄だ」

「鋼鉄?」


鋼鉄というのは冒険者が鉄の剣の後に入手する武器だったなー。

冒険者ごっこをしていると、定番の武器だね。


「そう、鋼鉄だ。えっと、ここに刻印があるぞ。なんだろうこのマーク」

「牛と斧が刻んでるね」

「えっと、牛と斧って……まさか。ドワーフ!」


へぇ、ドワーフかぁ。

あ、だから火酒との交換なんだ。

強い酒が好きで山に住んでいて鍛冶を仕事にしている種族。

時々、冒険者物語にも出てくるね。


「ドワーフの鋼鉄農具! すごいぞ。よくこんなの手に入ったな」

「まあね」


なんと、ソル市場はドワーフも使っているのか。

これはいいな。


「まだ、これは手に入るのか?」

「うん、たぶん。火炎酒があれば、大丈夫だと思う」

「ドワーフだけに、火炎酒か。よし、火炎酒を沢山手配しよう」

「うん」


どうも、ポーションの代わりに農具がうちらのメイン商品になるようだ。


☆  ☆  ☆


「帝国印のポーションの次は、ドワーフ印の鋼鉄農具とはな」

「まったく、あのふたりの仕入れルートはどうなっているんでしょうか」

「そのあたりを探るのは、モラル違反だな。私としては、便利に使わせてもらうだけだ」

「その通りで」


領主様はドワーフ印の鋼鉄農具を見て、考えているようだ。

普通の鉄農具なら、有力な農園に貸し出すつもりだったが、あまりに高品質な物が手に入ってしまった。

それをどう生かすか、考えているのだろう。


「このドワーフ印の農具はまだ手に入るのか」

「ええ、大丈夫みたいですけ


じっと天井を見つめていた領主様。

決心したようにこちらを見た。


「決めた! 新しい農園を開拓するぞ」

「開拓、ですか?」

「それぞれの農園から2人づつ出させて開拓団を作るぞ」

「そこに行きますか」

「ああ。この農具があれば、手こずって諦めた開拓地が農園にできるに決まっている」

「そのためには、もっとこの農具がいりますね」

「もちろんだ。最低100本は欲しい。頼んだぞ」

「かしこまりました」


☆  ☆  ☆


その頃、街の裏通りではちょっとした悲劇が起きていた。


「ちょっ、ちょっと待ってくれ。返さないとは言ってないだろう」

「言い訳は聞き飽きたわ。とうとう期限が来たんだよ。途中の返済は待ってやったが、今日返せないなら担保は

もらうぞ」

「待ってくれ。もう少しでポーションが売れるから」


そうすべてはポーションが売れなかったのが悪い。

スタンビートが起きてポーションが10倍で売れるはずだったのに。

なぜかスタンビートは起きずに、ダンジョン討伐も終わったからポーションが余ってしまった。


相場の2倍で買った大量のポーションを売ろうとすると投げ売りになる。


「ポーションが売れる? 冗談だろう。今、街にはポーションがあふれているじゃないか」

「そうなんだが」

「もう、あきらめましょうよ。担保をいただければ、借金は帳消しだから。それでいいじゃないか」

「いい訳がないだろう。今年15歳になる娘だぞ。それも美人になると保証付きの娘だ。良い縁談をみつけて幸せになって欲しいというのは親心だろう」

「大丈夫。我々が素晴らしい縁談を見つけてあげますよ。とってもお金持ちのね」


こいつらの言っているのは、縁談じゃなくて隷属契約だろう。

大商人の隷属妾として売り払う算段だ。

そんなこと、させてたまるか。


「もう、1週間だけ待ってくれ」

「分かったよ、1週間だけな」

「分かってくれたか」

「でも、1週間だけだぞ。タイマー付きの隷属の首輪を娘さんに着けることが条件だ」

「なんだと」

「なに。1週間で返せばいいだけのこと。約束したよな」

「・・・・」


こうして、なんとしても1週間で金を作らねばいけない男ができあかってしまった。

そのためには、なんでもするという男が。


☆  ☆  ☆


同じころ。

別の地でも、あせっている男達がいた。


「どうしてだ? もう、こちらは完全に準備ができているのに?」

「分かりません。あの街の戦力ではダンジョンの魔物増殖に対応できるはずがないんですが」

「ふざけるな。できないことができているって言うのか」

「そうとしか言えないのです。兵団レベルの戦力の移動は起きていないのです」


1つで2000人の兵力を持つ兵団。

その兵団を3つ集めた連兵団を指揮いている隊長の報告は要領を得ない。

計画を立てた王国の王としても、納得できる話ではない。


「とにかくだ。もう、動員をかけて国境硬くに連兵団を集めてしまったのだ。何もせずに帰す訳にはいなかいぞ」

「もちろん、そうですとも。王様の素晴らしいアイデアで始まった計画です。なんとしても成功させねばなりません」

「しかし、ただ待つだけというのもしゃくだ。次の案を実行するとするか」

「次の案?」

「それはな・・・」


こっそり、更新再開です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 15の娘にタイマー付きの首輪をつける…わたしの趣味を知っておいでか?
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