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第23話 錬金術じゃないんだって!


「薬草が少ないとクレジットが足りないって声がするだよ」

「頭の中で、だよな。シオンにしか聞こえない声だな」

「うん」


今、僕がやっていることをロジャーとふたりだけになって詳しく話した。

今まで、いろんなことが起きてゆっくり話せなかったしね。


「あと、アイテムがありませんっていうのもあるよ」

「クレジットか。なんだろう、その言葉」


そうなんだよね。

クレジットの意味が分からない。

アイテムっていうのは、ポーションのことだと分かるんだけど。


「ははーん。分かってきたぞ。こう考えれば、納得できる」

「どういうこと?」

「ソルアとソルダの意味は、アがアップで、ダがダウン。ソルってとこに入れると、出すって意味だ」

「うん、それは分かる。時空収納のスピアとスピダと一緒だから」


スピっていうのが、時空収納スペースのことだってわかってる。

だけど、ソルっていうのは?


「ソルっていうのは、たぶん市場だ!」

「市場?」

「そう。いろんな人が作った物を売る市場だと考えてみよう」

「うん」


ロジャーが仮設を立てて説明してくれた。

それによると、クレジットというのがお金。


薬草をソルに入れると売れてクレジットになる。

そのクレジットを使ってポーションを買う。


そんなことをソルアとソルダを使ってやっている。


「なんだー。錬金じゃないのか。ただの市場か」

「ちょっと待てよ。ただの市場じゃないぞ」

「どういうこと?」

「帝国ともつながっている市場だぞ」


あ、そういうことか。

帝国の錬金術士さんが、僕のアップした薬草を買ってポーションを作る。

そして、そのポーションをアップする。


僕は薬草をアップした時に得たクレジットを使ってポーションを買う。


「へぇー、面白い。そうなのかな」

「これだと、帝国ポーションが入手できる説明になるだろ」

「うん」


あれ?

ちょっと待ってよ。

変だよ。


「じゃあ、どうして、薬草みたいなそこらへんに生えている物10本でポーションが買えてしまうの? 帝国の錬金術士さん損しちゃうじゃん」

「なるほど。それはな。商売の基本の部分だな」

「商売の基本?」

「安く買って、高く売れ、さ」

「???」


要は帝国だと錬金術士が多くいて、ポーションの価値がこの国より低いって。

それに対して薬草が高い。


「なんで薬草が高いの?」

「薬草はな。魔素が多い地に生えるんだ。だから、ダンジョンがあるこの街の周りにはたくさん薬草が生えている」

「そうなんだ。農園の近くにも生えていたから、どこにでも生えているんだと思ってた」


僕が知らないこと一杯あるんだね。


「帝国は、帝国内のダンジョンをすべて攻略して破壊したと聞いたことがある」

「えっ、じゃあ。帝国には生きたダンジョンってないの?」

「そうかもしれない。だから、薬草があまり手に入らない」

「あ、この街でおいしい魚が手に入らないのと一緒か」


だんだん分かってきた。

オーマの街で安く手に入る魚を買って、エイヒメの街で高く売る。

これが商売の基本、安く買って高く売る、になるんだ。


「じゃあ、ソルでは薬草を売ってポーションを買うのがいいんだね」

「そうだ。一番最初にソルに小麦を入れて小麦を出したら減ったのを覚えているかい」

「うん」

「ソルでは同じ物を売って、買うんだと何か費用がかかって損をしてしまう。そういうものみたいだな」


さすがロジャーは商人だね。

物の売り買いに関することは詳しいな。

だとすると。


「じゃあ、薬草以外にもソルで高く売れる物ってあるのかな」

「そこだ。いろいろと試してみる必要があるな」

「あ、楽しそう」

「まずは、アルミナかな」

「何、それ」


アルミナっていうのは、魔物が多く出る森の腐葉土が原料なんだって。

それを加工すると、真っ白いブロック状の物になって、それがアルミナ。


魔力を流すことでいろいろな物に替えることで出来て便利な魔法素材って呼ばれているみたい。


「それって、どうすれば手に入るの?」

「魔法素材屋にいけば、大量に売っているさ。このあたりだと魔物の森も近いから安く手に入るんだ」


へぇ、それはいいね。

早速、やってみよう。



☆  ☆  ☆


「今度はアルミナだって? 信じられないな」


帝国の錬金術士はソルに出品されたアイテムをチェックしてびっくりした。

アルミナがリーズナブルな価格で出ている。

使い魔の狼剣士が教えてくれた。


今は狼剣士に護衛ではなくソルの監視をさせている。


「とりかく、薬草もアルミナも、ソルに出たらすぐにキープだ。絶対に他の奴らにもっていかれるなよ」

「了解ワオー」


ソルに参加している錬金術士は僕くらいみたいで、錬金材料が安く手に入るのは助かるな。

それも品質が良いし。


出品しているのは薬草もアルミナも一緒のポートみたいから、もしかしたら帝国の地じゃないのかもな。

そんな遠くからソルに参加したのは初めてかもしれないな。


「それとポーションリクエストがありましたのでオッケーを返しておきましたワオー」

「わかった。リクエストは何本だ?」

「670本を明後日までワオー」

「よし、仲間も使って対応するぞ。同じポートからだよね」

「はいワオー」


そのポートが参加してくれたことで、このソルの価値が格段にアップしたぞ。

今後が楽しみだ。

やっと、ソルアとソルダで起きることが分かってきたよ。


錬金魔法じゃなくて、時空魔法なんだよね。

そこんとこ、よろしくっ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほど! 納得しました! こうなってたんですね! [一言] じゃあ誰が作ったの?運営してるの?って話になりますが、そこは続きを楽しみにしておきます!
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