第22話 魔術長も驚くシオンの実力
「で、どうなっているんだ?」
「そうです。どこから帝国ポーションを入手しているでしょうか」
「もし、本当に錬成しているというなら、ワシに見せるのじゃ」
ジョンとふたりで館を出た瞬間、衛兵にみつかり捕まってしまった。
抵抗しても無駄と分かったから、大人しく連れてこられた先にはロジャーがいて、あとふたり知らない人がいた。
ひとりが領主さんの使者で、もうひとりは領主さんのとこの魔術長なんだって。
その3人が僕に詰めよってくる。
うー、そんなに悪いことしたのかな。
「えっと。冒険者さんに売ったポーションは僕が錬金術で作ったんだ」
「ほう。どうやれば、帝国ブランドのポーションが作れるというのじゃ。嘘はいけないのじゃ」
うー、魔術長のお爺さん。
僕の言うことを全く信じてくれない。
じゃあ、やってみせるまでだ。
「うん。じゃあ作ってみるね。材料は普通の薬草だよ」
薬草10本を手に取って、コマンドを唱える。
《スピア》
「ほう、時空魔法じゃな。時空収納。なかなかやりおるわい」
「あ、爺ちゃん、時空魔法知っているんだ」
みんなアイテムボックスって呼ぶんだけど、時空収納が本当の名前だよね。
「ワシを誰だと思っている。カンガルフじゃ。魔術長のカンガルフじゃ」
「えっ、カンガルー?」
「カンガルーじゃないのじゃ、カンガルフじゃ」
憶えづらい名前だなー。まぁ、いいか。
「ワシも時空収納を使えるのじゃ。ほら」
指輪をひとつ外すと、手のひらに載せて何やらつぶやいた。
手のひらの指輪が消えた。
「あ、時空収納だ。他の人がやるの、初めて見た」
「そうなのか。シオン、時空魔法は誰に教わったのか?」
「えっと…独学?」
「なんと! 自分だけでマスターしたと言うのじゃな」
「そうだけど」
それってすごいことなのかな。
あ、そうだ。
魔術長さんって、どのくらい時空収納できるんだろう。
きっと、すごいんだろうなぁ。
「爺ちゃん。時空収納はどのくらいのサイズなの?」
「聞いて驚くなよ。ワシのは60サイズなのじゃ」
「えーーー!?」
そんなに小さいの?
僕のレベルアップ前の半分じゃん。
それってラバ以下確定ってこと?
「ふふふ。驚いたか。坊主はどのくらいか」
「僕のは、240サイズだよ」
「ぶっ。嘘をつくんじゃないのじゃ。そんなに大きい時空収納は建国の賢者しか持っていないのじゃ」
「うそじゃないもん」
うー、この爺さん、むかつく。
じゃあ、見せてやろうじゃないか。
チビ達が集めてきた薬草が背負い籠20個に満タンに入っている。
4000本はあるはず。
「じゃあ、そこの薬草、4000本くらい収納してみるね」
「なんと、そんなことできる訳が・・・うわっ」
うん、楽勝。
薬草だったら、まだまだ入るよ。
「うーむ。シオンとやら。すごい時空魔法使いだと認めるのじゃ。ワシより時空魔法を使える奴は初めてじゃ」
あれ、あっさりと認めてくれた。
よかったな。
「じゃあ、続きをするよ。ポーション錬金してみるね」
「よし、やってみるのじゃ」
まずは1本だけ。
だけど、薬草は全部ソルアしちゃおう。
で、ポーションを1本ソルアして、すぐにスピアだ。
「はい、できたよー」
僕の手に虎封印のポーションが載っている。
これが錬金した動かぬ証拠だね。
「なるほどじゃ。間違いなく帝国封印紙なのじゃ。中身はなかなか質がいいヒーリングポーションなのじゃ」
うん、認めてくれるんだね、爺さん。
「だが、ワシの目は誤魔化せないのじゃ。単に時空収納に入れてあったポーションを取り出しただけじゃろ」
ええーー。そんな。
「どうしたら、錬金しているって信じてくれるの?」
「それならば、じゃ。今、入れた4000本の薬草は何本のポーションになるのじゃ?」
「えっと、0をひとつ取るから、400本!」
「よし、400本錬金してみるのじゃ。そんなには収納してないじゃろ」
うーん、できるかな。
やってみよう。
《130本、成功しました》
えっ、130本だけ?
なんで?
《残り270本予約を受け付けました。想定完成時期1日後》
「えっと、無理みたい。今は130本だけ」
「そーれみろじゃ。無理じゃろ、えっ、130本?」
「今は130本、残りは明日かな」
「嘘つくのはよすのじゃ、なら130本出してみるのじゃ」
うん、やってみた。
130本のポーションがずらっと並んだね。
「ほ、本物か! どういう原理かわからんが、シオン少年は帝国ポーションを錬成できるらしいのじゃ!」
うん、やっと爺さん認めてくれた。
よかった。
「それでは時空魔法士、シオン殿。800本のポーションなら、いつ完成するのでしょうか?」
「あ、使者さん。領主様の欲しがっているのは、800本なの?」
「そうです。まずは800本です」
「ちょっと待ってね」
えっと、どのくらい掛かるのかな。
あと、670本か。
うん、無理だと思うけど、ソルダしてみよう。
《アイテムがありません。クレジットが足りないので670本の予約はできません》
やっぱりそうか。
だけど、予定だけでも知りたいな。
《670本のアイテムは明後日に揃う想定です》
あ、予定だけ聞けた。
あとは、薬草4000本プラスで用意しないと。
「明後日までならできるみたい。薬草集めもっとしないとだけど」
「もちろんじゃ。薬草くらいいくらでも集めるのじゃ」
うん、それならばできるたみいだね。
問題なしと。
「シオン、後でちゃんと説明してくれよな」
「あ、はい」
ロジャーさん、魔法に詳しくないみたいだから、ついてこれてなかったみたい。
説明したら、ちゃんとわかってくれるよね。
プロローグを追加しました。
2年後のシオンの姿がでてきます、はい。




