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第10話 錬金実験は手探りで

朝起きたら、宿にロジャーが帰っていなかった。

夜通し、どこかで遊んでいるのかな。


まぁ、今日はオフだと言っていたし、そのうち帰ってくるだろうと気にするのをやめた。


代わりにジョン達がやってきた。


「薬草もってきたぞー」


朝も陽が出る前から仲間と一緒に薬草取りに行っていたらしい。

このあたりは、薬草がたくさん生えているというほどではないけど、そこそこ魔物も出るから薬草もそこそこ生えている。


ただ、錬金術士はいないし、薬師はおばあさん一人になので、そんなに薬草は必要ないと冒険者ギルドでも買い取りしてくれないらしい。


「こんなにたくさん! 必要かな?」


薬草が大きめの背負い籠の半分とくら入っている。

100本以上あるだろう。


「大は小を兼ねるっていうだろう。多くて困ることはないよな」

「そりゃ、そうだ」


これだけあれば、錬金実験をし放題だ。

でも、時空魔法は秘密だから、ジョン達、ジョンともっとも小さな少年3人は帰ってもらった。

気が散るって理由でね。


「ちぇっ。錬金魔法見たかったのに!」


そう言って帰っていった。


宿屋の部屋に僕だけになった。


ベッドが2つと小さな円形サイドテーブルがあるだけの部屋。

どうせ寝るだけだとロジャーが安い宿を選んだ。

ロジャーは寝ることもなかったけどね。


「さて」


ロジャーのベッドの上に薬草がたくさん入った籠を置いた。

その中から10本ほど選んで右手に握る。


《スピア》


一度、時空収納に入れてと。


《ソルア》


錬金時空に入れる。

うん、いい感じだ。


ここでパープルポーションだ。

紫色の瓶入りポーションをイメージする。


《ソルダ》


あれ? 駄目だ。

なんでだろう。


《「クレジットが足りません」》


あー、そういうことね。

もっと約束がいるのか。


今度は籠の中から、薬草を判断くらい出して僕のベッドの上におく。

その薬草に触れながら。


《スピア》


うん、時空収納に入ったな。

これだけあれば、十分だろう。


《ソルア》


うん、時空収納からは薬草が消えた。

奥の時空に移動したんだろう。


そして、今度こそ。


《ソルア》


やっぱりダメか。


《「クレジットが足りません」》


ええー、まだ足りないんだ。

よーし、全部入れてしまえ。


《スピア》からの《ソルア》


そして、《ソルダ》


あれ、なんか来た。

次元収納に新しいアイテム入ったぞ。


取り出してみよう。


《スピダ》


瓶入りの紫色の水薬、パープルポーションに違いない。


やったー、やっぱり、新魔法は錬金魔法だったんだ。


「できたぞーー」

「おおーー、確かにパープルポーションだ」


瓶に入っていて、コルクの蓋がしてあって、虎の絵が描かれた封印紙がほどこされている。


「ちゃんと封印されているのか。すごいな」

「うーん、そうだね」


錬金でポーション作ると封印までしてあるの?

そういう物なのか。


「よし、シオン。これを持ってエレナんちへ行くぞ」

「うん」


喜んでくれるかな。

そうだといいな。


ピンクの髪がかわいらしいエレナの笑顔を思い出していた。


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