第２話「巡回騎士」 ５
図書館へ来た４人は調べ物を開始した。
と言ってもアルスは読み書き出来ない訳ではないがあまり得意ではない。
シヴュラはそういった知識が先天的に備わるので流石に調べ物は早く次々と本を捲っていく。
ルーテシアも貴族だからか二人には及ばないが本を調べていた。
「ありました。これですね」
スーが記録を見つけたようだ。
それによると婦人たちの噂のようにかつて採掘場があって今の高級住宅街がその受け入れ口であった歴史は事実のようだ。
「根も葉もない噂では無いかもしれんな、調べてみるか」
「調べるって採掘場跡を？」
「そうだ」
「今は崩落の危険もあって立ち入り禁止になってるって書いてあるけど」
「問題無いこれは捜査の一環だ！」
自信満々の彼女を見ながらリリウムとスーに視線を送ると彼女らは「いいんじゃないでしょうか」と言う感じだ。
かくして全員は採掘場跡を目指すことになった。
採掘場まではそれなりに遠かったが何とかやってきた。
「ここが採掘場か…」
岩の多い地形に削られた地面、そして岸壁に開けられた穴は地下へと続いているのだろう。
立ち入り禁止の看板があり、入り口は閉ざされているが特に塞がれてはいないようだ。
「どうやら当たりのようだぞ」
しゃがみ込んだルーテシアはそう呟いた。
見ると地面には柵を動かした跡があり、地面にも靴跡を雑に消した跡が残っている。
「じゃあ、中に誰か居るって事か」
「そうだ、泥棒連中かもっと凶悪かもしれんな」
そうしている間にスーは持って来たランタンに火を入れていた。
「気を抜くなよ、いつ襲われるか分からんからな」
ルーテシアとアルスがランタンを受け取ると４人は採掘穴へ入って行った。
暫く進むと中は真っ暗でランタンの灯りが無ければ何も見えない。
注意しながら進んでいるがどうやら一本道のようだ。
相当劣化しているのか天井からは埃のような石クズが落ちてきており崩落の危険もありそうだ。
「崩れそうだ」
「大分、老朽化しているようだからな」
小さく会話しながら進んで行くと奥から僅かな明かりが見えた。
注意深く進むと何やら話声が聞こえてくる。
手近な岩に隠れると会話を盗み聞く。
「準備はどうなっている？」
「地下通路は住宅街の下まで伸びてますよ、確認しました」
「ただ、所々崩落してましてね、通れるようにしてたら思ったより手間が掛かりましたぜ」
「ふん、そうか。話の通りここが住宅街の地下まで通じているなら問題無い」
数人の男達の会話を盗み聞くとどうやらこの地下坑道は高級住宅街の地下まで通じているようだ。
