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第2話「巡回騎士」 4

やってきたのは街でも裕福な人々の住む所謂、高級住宅街だ。

立派な家が立ち並び、ガス灯や花壇、用水路などが綺麗に整備されている。

「ここで泥棒を見たのか?」

「そうだ、不審な男を見つけて後をつけるとあそこの家に侵入しようとしていた」

それは庭付きの大きな家だった。

「ほんと嫌ですわね~」

「そうそう、聞きまして?鉱夫の幽霊の噂」

大きな家の前でどこぞのご婦人だろう女性が会話をしていた。

「幽霊?」

「聞いてみようか?」

アルスは女性二人に声を掛けた。

「すみません、幽霊が出るんですか?」

「え?あら坊や、幽霊に興味があるの?」

「えっとまあ、はい」

「そうなのよ~、最近この辺で鉱夫の幽霊が出るって噂なの」

ご婦人の話によるとこうらしい。

大分昔はこの辺りは住宅地ではなく街外れの採掘場から取れた鉱石などを受け入れる受け入れ口だった。

しかし、採掘場は採り尽され閉鎖されてしまった。

最後の方はかなり強引な採掘が行われて死者が出たらしく、それを恨んだ鉱夫の霊が現れると言うのだ。

「それで夜な夜な穴を掘る音や鉱夫の足音が聞こえるって話なのよねぇ~」

「怖いわねー」

ご婦人は顔を見合わせて怖いと言っているがどう見ても怖がっているというよりは話のネタとして楽しんでいるようにしか見えない。

「そうですか、ありがとうございます」

「いいのよ~、こんなお話ならいくらでもしてあげるわ」

「坊やはこの辺の子かしら?」

ご婦人にからかわれるのを躱しつつアルスはルーテシアの近くまで戻って来ると、何故か少し不機嫌なルーテシアに状況を説明した。

「なんだ、よくある噂話だな」

「でも本当に昔はここで鉱石の受け入れなんてしてたのか?」

「ならば図書館に行ってみるか、そこならば街の記録があるはずだ」

図書館に向かおうと歩き出すとアルスは二人組に遭遇した。


「マスター!」

それはリリウムと見慣れない少女だった。

「リリウム!」

新しい衣装のリリウムはアルスを見つけると歩み寄ってきた。

「えっとごめん、色々あって」

「大丈夫です。こうして合流出来たのですから…衣装を調整して頂きました。如何でしょうか?」

リリウムは特に怒っていないようだ。

新しい服の感想を彼女は少し不安げに聞いてきた。

「とても似合っているよ、やっぱその服で良かった」

白ベースの爽やかな服は彼女にとても合っていると思えた。

「そうですか、私も良かったですマスター」

リリウムは嬉しそうに笑った後にルーテシアを見た。

「ところで、そちらの方は?」

「ああ、彼女は」

「ルー!」

するとリリウムと一緒に来た少女がルーテシアに駆け寄った。

「スー!スーじゃないか!!」

すると二人は抱き合って再会を喜んだ。

「知り合いみたいだな」

「ええ、彼女スーさんは街に一緒に来た方を探していたようですが彼女が」

そういえばルーテシアもパートナーとはぐれたと言っていたが彼女がそうなのだろう。

それにしても凄い偶然だ。

「ルーテシア、紹介するよ俺の…シヴュラのリリウムだ」

「リリウムと申します」

「うむ、わたしのシヴュラのスーだ」

それぞれのシヴュラを紹介すると話が進む。

「というかお前はライダー・ナイトだったのか?なるほどな、通りで私の剣を受けるはずだ…まさか、さっきの山賊を倒したというのはお前か?」

ルーテシアは合点がいったようだが、同時にこちらに険しい視線を向けてきた。

「まあ、そうだな」

「何故隠したのだ?」

「あーいや、言う事でも無いかと思って」

「気に入らんが…まあいい」

彼女は納得しなかったようだが、矛を収めた。

「その子がルーテシアのシヴュラ?確かスーだっけ?」

「はい、なにかルーが迷惑を掛けたようですみません」

彼女スーは礼儀正しい性格なのか頭を下げた。

「いやいや、謝って貰う程のことは…あるかもしれないけど」

アルスはいきなり斬り掛かられたことを思い出していた。

「リリウムと言ったか?お前のパートナーか…綺麗だな」

リリウムを見たルーテシアはそう呟いた。

それにリリウムは薄く笑うと軽い会釈で返した。

「うん、そっちもスーって呼びやすい名前だね、あだ名みたいだ」

そうアルスが言うとスーは少しびくっとしてあまりその話題に触れて欲しくなさそうだ。

「コホン!ともかく、これで全員揃った訳だ!ということで図書館に向かうぞ!」

仕切り直すようにルーテシアは我先に歩き出した…図書館の場所を知っているのだろうか?

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