第2話「巡回騎士」 9
「動力伝達、可動域正常、各部チェック問題無し」
イブリスの隣に実体化した赤い機体の中にルーテシアとスーは居た。
「チェック終了、行けますマスター」
スーがそう言うとルーテシアは目を開いた。
「うむ…あれがアルスのMAか」
機体と接続された視野で見ると隣には白いMAが立っていた。
「白い騎士…か」
そう呟くとルーテシアは敵に視線を移した。
「行くぞスカーレット・ルージュ!スーも気を抜くな!」
「はい、ルー!」
赤いMAスカーレット・ルージュは迫る敵MAに向かって動き出した。
図らずも2対2のMA戦になり、アルスとルーテシアはそれぞれに敵MAと対峙した。
「敵MA、ファング・ドッグタイプです。先日のバブーンと同じくルッツ連邦製の機体ですが運動性能に優れた機体です。動きに注意して下さい」
確かにバブーンに比べると細めのシルエットは動きが良さそうだ。
「分かった」
助走の勢いのままエネルギーブレードを振りかざして斬りつけると敵MAもエネルギーブレードを使用して攻撃を受け止めた。
「くっ!」
そのまま二体のMAはつばぜり合った。
「さっきのようにはいかんぞ小娘!」
どうやらこのMAのライダー・ナイトはルーテシアに剣を飛ばされた男のようだ。
「ふん!今度は逃がさんぞ悪漢め!」
ファング・ドッグは大斧を振り上げた。
それと打ち合うべくスカーレット・ルージュも武器を振り上げた。
激しい金属音を鳴らしながら二つの武器は激突した。
打ち合って一度距離を取った二機は獲物を構え直した。
スカーレット・ルージュの武器は槍と斧を足したような独特な物だった。
ハルバードと言われるものでリーチ、破壊力共に優れるが重量もあり扱い辛い武器だ。
「でやぁあああ!!!」
叫びながら敵に向かっていくルーテシア。
そのまま重量武器同士の激しいぶつかり合いが始まった。
一方その頃、クトーナの街は大騒ぎになっていた。
「MAだ!!」
「こんな近くに!」
「に、逃げないと!」
街近くでの戦闘に市民たちは不安と恐怖に駆られているようだ。
「あれは、アルス君か!警備隊に連絡しろ!MAを出すんだ!」
トーションは騒ぎを確認すると警備隊に連絡した。