第2話「巡回騎士」 8
「うっ」
何とか無事だったアルスは立ち上がると周りを確認した。
倒れているリリウムに駆け寄ると彼女も立ち上がった。
「大丈夫か?」
「はい、大きな損傷はありません」
辺りは煙と粉塵が酷いがルーテシアとスーも無事なようだ。
揺れを感じると天井から落ちて来る石などが多くなっている。
「崩れそうだ、逃げよう!」
このままだと坑道は崩落しそうだ、急いで出なければ。
「ああ」
ルーテシアは剣を鞘に納めるとこちらを向いた。
そして、4人は来た道を全力で走って出口へと向かった。
崩れそうな道を走り抜けて外に出ると同時に坑道は崩落したのか轟音と粉塵が噴き出した。
「はぁはぁ…危なかった」
埃だらけになりながらアルスはとりあえずの危機を脱した頃に安堵した。
「だがこれで終わりでは無さそうだ」
ルーテシアの視線の先を見ると少し離れた場所に実体化したMAがこちらに向かって来ていた。
「このままでは済まさん」
「我らの計画を潰してくれた礼はせねばならん!」
「MAを出して来たか、ならば相手をするだけだ」
彼女の覚悟は決まっているのか戦うつもりのようだ。
「戦うのか?」
「無論だ、ここで倒さねば奴らは必ず別の事件を起こす」
「私は準備出来ています。ルー」
スーも準備万端なのかなんだか楽し気ですらあった。
「最後まで力を貸してくれるか?もしそうなら心強い」
こちらを見たルーテシアの表情は覚悟を決めているようだが不安も感じられた。
勿論、ここで引く気など無い。
自分だって憤っているのだ。
「勿論だ、一緒にぶっ倒してやろう!」
力強くアルスはそう言った。
「そうか!ならば行くぞアルス!」
初めてアルスの名を呼んだルーテシアは敵に向き直った。
アルスも迫る鉄の巨人を睨んだ。
リリウムはそんなマスターを見て薄く笑うと意識を切り替えた。
「「マテリアライズ!!」」
二人の騎士の言葉を合図にリリウムとスーのクリスタルが輝き、それぞれの駆るMAが実体化する。
シヴュラの力によって大地に二体の巨人が顕現する。
一つは純白の装甲を持ち、もう一つは真紅の装甲を持っていた。
「神経接続正常、実体化強度正常、マスター二度目の実戦です。落ち着いて対処しましょう」
「ああ!」
リリウムが落ち着かせるように優しく声を掛けるとアルスはそう答えた。